幕間4 料理の○○
壮行会の翌日。いつものように身支度を整えたリーネは操舵室に向かう。
「おはようございます。アントニオさん。」
「うん。おはよう。」
昨夜操舵室の椅子の上で寝てしまったヤマトは夜中に起きたのか今は居ない。
「あのあとヤマトさん起きたんですね。」
「うん。今は部屋で寝ているよ。それと『朝食はいらない』との伝言だよ。」
「わかりました。」
「今日の洗い物はどこにありますか?」
「今日はどこにもないね。」
「わかりました。」
ゆっくりと朝食を摂り掃除をしているとヤマトが起きてきた。
「おはようございます。ヤマトさん。」
「ああ。」
ヤマトはリーネの方に眼をやると気だるそうにしている。
「二日酔いとかなってないですか?」
「大丈夫だ。」
「朝食はいらないとアントニオさんから聞いたので買ってきてないです。」
「ああ。」
「お昼は食べるんですか?」
「食べる。そう言えば昨日食材もらってたな。昼は何か作ってくれ。」
「わたしがですか?」
「クロシェットやアントニオに作らせるわけにいかないだろ?」
「それはそうですけど。わたし作ったこと無いですよ」
「誰にでもはじめてはある。道具の使い方はアントニオに聞け。」
「わかりました。」
ローリスでは自動調理器が普及しているため自分の手で料理をする事が少ない。リーネは文字通り料理を作った事が無かったのだ。
リーネの苦闘の結果昼餐が出来上がった。
「ヤマトさん、お昼ご飯できました。」
「ああ。」
「ちょっと変かもしれないんですけど。」
「かまわんさ。頂くぜ。」
「はい。」
「これはどうやって作ったんだ。」
「パンは焼くこと出来ないんでいつも朝ご飯を買ってるサンドイッチ屋さんから買ってきました。それとサラダのドレッシングも分けてもらいました。サラダはカスネさんから頂いたお野菜です。スープもカスネさんから頂いたお野菜で作りました。あとメインはお豆とお魚を加熱加温器っていうので軟らかく煮てみたんですけど見た目が悪くなっちゃって…。」
「ふむ。作って見てどうだった?」
「思ったより大変でした。」
「そうだな。料理をするのは大変だ。それにその食材を揃えるまでにも色々と手間がかかっている。」
「はい。」
「これから他の星にいく事になるが他の星では当然食文化が違うんだ。それはわかるな。」
「はい。」
「その星で出されたものはたとえ口に合わないものでも嫌な顔をせずに食べなければならない。不味いだの変なものだの言うのは相手に対して失礼になる。」
「そうですね。」
「それとなるべく残さず食べる事。満腹でこれ以上食べられないという場合は別だが出されたものは残さず食べる事。これらは相手に対する敬意だ。」
「わかりました。」
「わかればいい。じゃあ食べよう。」
「はい。」
リーネはヤマトの言葉がかなりの困難であるということ、そしてヤマトは尊敬に値すると言うことを知った。
リーネのお買い物リスト追加分
『キッチンABC』
『料理の基本』
『おかず百一品』
『はじめての家事 料理編』