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第15斬 "再会のpiece"


再会……


一度は別れた二つかそれ以上の存在が、再び出会う事……


しかし、別れた存在が同じ視線に立ってるとは限らない……








『きゅくるぅ〜〜〜っ♪』


"ゴパァァァ〜〜ッ!!"


「ぶわちゃぁぁぁ〜〜〜っ!!」


上空を楽しげに旋回しながら飛ぶニーくんこと、ドラゴン幼体の"ニーズヘッグ"からの火炎系ドラゴン・ブレスにより、思い切りパニックになる僧兵の一角であった。




実際、まだまだドラゴンとしては幼いニーズヘッグの火炎は、ありとあらゆるレジストを無効化して鎧を溶かし、僅か数秒で人間を消し炭に変える成体ドラゴンほどの火力はなく、派手な見た目に反してさほど殺傷力は高くない。


簡単に言えば、火炎温度がさほど高くはない……のだが、人間も動物である以上は火を本能的に恐れる。


しかも、ニーズヘッグには軽い認識阻害(ステルス)効果のある首輪型アイテム"忘却の戦慄"が装備され、今はそれがアクティブになってるのだ。


戦いの興奮や眼前の敵への集中、更にはニーズヘッグが名前に反して肩乗りサイズの大きさと相まって、かなり効果覿面だった。


要するに、攻撃もしくは防御の為に数名で密集し陣形を取った矢先に、いきなり前触れもなく図上から火炎放射を浴びせられれば、どんな歴戦でもパニクるし、陣形だって崩れる……その実例がアチコチに広がっていた。




無論、それを立て直す前にテンペストやアハトが乱れた陣に突っ込み、片っ端から蹂躙する。


これに先のエピソードに出てきたレイのフォトン・メーザー照射の援護射撃が加われば、いかに30名いようが物の数ではない。


四人……正確に言うなら、二人と一体と一匹のパーティー【疾風怒涛(シュトゥルム・ウント・アングリフ)】の戦闘力は、おおよそその規模では推し量れぬレベルの物であった。


その正面戦闘力は、冒険者パーティーというよりむしろ戦争と戦闘をメインとする傭兵団と比較すべきものだろう……









**********




では一方、非パーティーのバスタープリースト(?)のトーリオとデモイン教会の追跡猟犬(チェイサー・ハウンド)役の虎猫系獣人バーサーカー、犬なのか猫なのか少しややこしい"ミーコ"と言えば……


「うりゃりゃりゃ!!」


「にゃにゃにゃにゃ!!」


"ギンッ! ゴンッ! ゴキッ!"


バスターワンド(仮称)と巨大ウォーハンマーという大重量武器同士がが有り得ない速度で激しくぶつかり火花をあげた!!


連続した重力/質量操作で、バスターワンドをまるで細剣のように振り回すトーリオも見事な物だが、なお目を見張るのは獣人ミーコだ。


魔法補助無しの純粋膂力だけで、巨大戦鎚を振り回しバスターワンドと相対してるのだ。


体格はまさにアハトと同じ合法ロリ、ぶっちゃけ人間の見た目に合わせれば年齢一桁だが、その圧倒的なパワーはまさにパーティー一番の馬鹿力を誇る、アハトと比べてもなんら遜色は無いようだった。




「流石は"小虎(シャオフー)族"、獣人族屈指のパワーと瞬発力は伊達じゃないってか?」


「むぅぅぅ〜。それでも"ご主人しゃま"の防御を崩せにゃいのニャ……!!」


……

……

……

……はい?


どうやら、衝撃の急展開の予感が……




「まだ、オイラを主人と呼ぶか……ならミーコ、何故にお前はオイラに"本気の鉄槌"を向ける?」


バスターワンドを構え直すトーリオだったが、


「どうしてニャ……」


ふるふるとミーコは小刻みに小さな肢体を震わせるが、


「ん? 何がだ?」


その明らかな非難にどうにも要領を得ない顔をトーリオは浮かべた。


「どうして……どうしてミーコを捨てたのニャン!?」




衝撃の告白であった。




☆☆☆




「Just a moment Please!!」


"バッ!!"


トーリオはバスターワンドを背中に背負い直すと、右手を開いて伸ばし、左手で頭を抑えるという


"ちょっと待ったポーズ"


を作ると……


「ミーコ……ちょっと待て。誰が誰を捨てたって?」


「ご主人しゃまがミーコをニャ!!」


ひじょーに"怒ったニャー!!"という憤慨と威嚇の気配を出しながら、ミーコはハンマーをトーリオに向け、


「ご主人しゃまがミーコを捨てて出奔したって教会の人に聞いたニャ!! だからミーコは"ご主人しゃま討伐隊"に加わったのニャン!!」




トーリオは、ガチな頭痛を感じていた。


「どうやら、相互に重大な情報齟齬があるようだなぁ〜ヲイ」


「にゃ?」


今度はミーコが不思議そうな顔をする番だった。


「ミーコ……お前、『処刑されそうだから教団から脱出する。後で合流されたし』って旨のメッセージを読まなかったか……?」


「そんなの知らないニャ!!」


何故か真っ平らの胸を張り、大威張りのミーコである。




☆☆☆




(あんの300歳超えのロリ婆ァ〜〜〜っ!! 何が"人の身において最も偉大な魔女"だっ! 中途半端な仕事しやがってぇ〜〜〜っ!!)


どうやら、今回のトーリオの脱出劇には、黒子の役割を果たしたもう一人の人物がいるようだが……


まあ、それも何れ出てくるだろう。


「ミーコ、よく聞け。俺はある人物に、お前に隙を見て脱出し、後で合流するようメッセージを託したんだが……」


トーリオは頭をグシャグシャと掻き、


「てっきり首尾よく追撃隊に紛れ込んで、一芝居うった後に俺と合流って手筈だと思ったんだけど……」


「ミ、ミーコがそんなに頭回る訳ないニャン! 考えるのはご主人しゃまの役目ニャ……」


「そうだったな……オイラもミーコが追撃隊にいる時点で、メッセージが伝わってない可能性を考えるべきだったな」


"ゴトン……"


唐突にミーコの手から戦鎚が滑り落ち、地面にめり込んだ……


「ご主人しゃま……もしかして、ミーコはまだ捨てられてない……ニャ?」


「あったりまえだろ?」


トーリオはサムズ・アップしながらニカッと笑い、


「ミーコほどよく出来た可愛い"ペット"を、オイラがすてる訳ないじゃん♪」




「ご……ご、ご主人しゃまぁぁぁ〜〜〜っ!!」


"どぉん!"


「ふごっ!?」


感極まったのか思いの丈をそのまま解放するように"物理的"にぶつけるミーコ。


いや、ぶっちゃけ抱き着くというよりフルチャージの重心を低くした鋭角気味のタックルをまともに喰い、もんどりを打って三回転半"縦方向"に転がるトーリオ。


言うまでもなく、これが捕縛/拘束されてからトーリオが受けた最大のダメージである事は、言うまでもなかったのである。

……合掌。

もしくは……爆発しろっ!!







次回へと続く……うん。きっと……







皆様、ご愛読ありがとうございましたm(__)m


ニーズヘッグの空飛ぶステルス火炎放射器(笑)型の戦闘と、そしてトーリオとミーコの再会と誤解の氷解は如何だったでしょうか?(^^;


実は今回のエピソード、某地平線のEDの一つ"piece"を聴きながら書きました♪


もし、この曲を聴きながらエピソードの最後の方を読んで頂ければ嬉しいなぁ~と(;^_^A




それでは皆様、また次回にてお会いできる事を祈りつつ(__)





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