↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
67/72

67.意味のない時間

「わたしがいま、死んだら、どうなります?」

「トウコ」


 カナタがわたしの名前を呼んだが、わたしは少女から目を離さなかった。

 少女はすぐに答えた。


「私とカナタが逃亡者を捕らえる。そうして、我々はテリトリーに帰る。それだけだ」

「わたしは行方不明ということで処理される?」

「もし望むのなら、どうとでもしてやろう。他の人間の記憶を書き換えてもかまわない」

「伝説の小説家として、惜しまれつつ逝った、ということも可能?」

「お前の望みがそうなら、そうしてやろう」


 ランプの魔人との問答のようになってきたな、と場違いなことを考える。

 そこまで聞いておいて何だが、わたしの答えは決まっていた。


「それで、お前はどうしたいのだ」

「魅力的な提案もありましたが、やっぱり、死ぬのは嫌ですね」


 彼女はじっとわたしを見つめて、それからカナタへ目を向けた。


「これで、三つの意見が出たわけだが、私の案とお前たちの案は、明確に対立している。私は中山トウコを殺すという。お前たちはいずれも、それを望んでいない。だが先ほども言ったように、私はここで決断を下す。私の案を採用するかどうかは、ここで決める」


 わたしとカナタは目を見合わせた。その後で、わたしは彼女にたずねた。


「どうやって?」


 彼女は表情を変えずに言った。


「……きゅ、みゅ、りゅ、……この体では言いづらいな」そうして、彼女は、わたしにはどう言ったかわからない、小さな虫の羽音にも似た、聞き取れない謎の音声を発した。「   で、決めよう」


 カナタは、その言葉に驚いたようだった。


「本当に、それで、いいんですか」

「争いごとを収めるには、そう珍しい解決方法ではないだろう」

「でも、こういう場で用いるのは、あまり聞きませんが」

「構わない。どうせ、どの方法をとろうともいずれ我々は逃亡者を捕まえるのだ。私が疑問を呈していたのは、お前が何の行動もせず、ただ対象と共に意味もなく時間を過ごしていたことだ」


 そう言われて、カナタは苦笑いをした。

 彼らの会話はよくわからなかったが、その笑顔を見て、わたしは安心した。

 何だか話はいい方に転がっているらしい。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。