序章 ある老人は語る
とある街の片隅に子どもたちが集まっていた。彼らは一様に耳を傾けて、とある人物の語りを聞いている。
――これにて話は一区切り。
勇者の冒険はこうして幕を引いたのじゃ。
しかし、実はこの話には続きがある。
それをワシは魔王の話と呼んでおる。
あ? なんで魔王が主人公になるんだって? なんじゃお主、藪から棒に……。
……ああ、いや失礼。ちょいと知人に似てたから、よもややつの子孫かと。
いいや、ありえんな。すまん。これはワシの悪いくせなんじゃ。まったく、直さないとなぁ。
話を戻すが、別に魔王が主人公になっても構わんじゃろ。
……悪人に興味ない、だったら剪定の剣について教えろ?
はー。剪定の剣とは何か。それは確かに永遠の謎とも言える話題なわけじゃろうからな。しかし、それだけポンと教えたところでのう……。
なんじゃ。別に知らないわけじゃないしもったいぶっている訳でもない。そうではなくて、気持ちがのらないのじゃ。あるじゃろそういうこと。
……そうじゃな。話しているうちに偲ぶこともあるかもしれん。
とにかく、ワシは魔王の話をするぞ。どうせお主暇してるんじゃろ? ちょっと聞いてけ。数日かかるが、暇なら構わんよな。
はあ……芸を見るまでの時間潰し。構わんが、お主素直じゃないのう。
ほれほれ、他の童も集まれ。
今から話すは魔王と、彼の元に集った因果を背負った者たちの話。勇者に敗れた魔王のその後。
しかし最初に補足してしまえば、そうさな、これは。
――蛇足の物語じゃ。




