閑話
閑話
僕は船の上で初めての経験ばかり体験出来た。
塩の香りに船上の揺れにテッドの軽口……テッドの軽口はいつものことだった。
というかテッドのせいで、よく見られなくないか?
絶対埋め合わせはしてもらうからな、テッド。
「どうしたケント、早く降りるぞ」
「言われなくても、分かってる」
「なんか考えごとか?」
テッドは僕に絡んでくるけど、悪い気分はしない。
「テッドは僕が考え事をしてないとでも思ってるの?」
「いや全く」
島に到着した時、無意識のうちに足を動かした。
「おいケント待てって!!」
休息のためという言い訳より好奇心が勝ってしまった。
しばらく歩みを進めた時、僕の手首を握られた。
手の感触からテッドだとすぐに気づいた。
「……はぁ、はぁ、一人は危ねえだろうが、突っ走るなよ」
「ごめん、気になっちゃって」
「ケントのことだからそうだろうと思って俺がすぐ走ったから良かったものの、一言声をかけてから走れよ。ほら戻るぞ」
テッドは照れくさそうに口を開いた。
「ケントのそういう色々知りたいって思うところ素直にスゲェって思ってんだぞ」
「突然何?」
「いやたまには素直に口に出そうと思ってな」
「テッドってたまに恥ずかしいこと言うよね」
「そうか?」
僕がテッドに連れられみんなのところに戻った時、ケルヴィンさんに怒られてしまった。
突然走り出した僕が悪いんだし、仕方ない。
ケルヴィンさんが僕たちの宿をとってくれて各々が部屋に入った。
僕はさっきのことを反省していると、扉を二回叩く音が聞こえた。
僕が扉を開けるとそこにはアヤさんがいた。
「こんにちはケントさん、今お時間よろしいでしょうか?」
僕はアヤさんに用件を尋ねると
「休息ということなので図書館に向かいませんか?」
アヤさんの提案はとても魅力的に見えた。
僕はアヤさんにひとつ提案をした。
「アヤさん、僕も図書館に行きますので向かう前に魔法を教えてもらえませんか?」
僕にはみんなと足並みを揃えるような力がない。
攻撃魔法だってまだ中級風魔法と初級火魔法しか使えない。
はっきり言って僕は足手まといでしかない。
「私が教えられる範囲は少ないですが、それでもよろしければ」
「アヤさんは謙遜しすぎです」
僕はアヤさんと宿の外にある浜辺に移動して魔法を指導してもらうことになった。
「まずはケントさんの使える魔法を見せていただけませんか?」
僕が魔法を見せているとテッドのやつが冷やかしにきた。
といっても実際のところはテッドは木刀を持っていたから自主練だろうな。
「あれっ、ケントとアヤさんじゃん。こんなとこでもしかしてデートだったり?」
「デデデデデートなんて、そんな」
アヤさんは動揺して顔を赤らめている。
「お前分かって言ってるだろ」
「そりゃあ分かってますとも、魔法の練習だろ。俺も鍛錬だよ。柄じゃないだろ?」
「いや全く」
テッドは最初は『強い奴はモテる、だから俺も強くなるんだ』とか言ってたが、結局鍛錬自体が習慣になってるし、時々村に入ってきた魔獣を一人で倒したりするぐらいになってる。
部屋に篭って本ばっかり読んでる僕とは大違い。
「なぁケント、魔法の鍛錬したいなら俺に撃ってこいよ。その魔法を俺がこれで斬る。そうすりゃ俺もお前も鍛錬になるだろ」
テッドの提案も一理あると思った僕はその提案を受けた。
するとアヤさんが僕に使いやすい防御魔法を教えてくれた。
「これで防御魔法の練習も出来て一石二鳥……というやつです! テッドさんには私が防御魔法をかけるので、思う存分鍛錬してください」
「お言葉に甘えさせてもらいます。全力でいくから覚悟してろよテッド!!」
「おう、そうでなきゃ鍛錬にならないだろ!」
僕はみんなを守れるぐらい強くなるんだ!
読んでいただきありがとうございます!!
更新は出来る時にしますね




