第七百五十三話
現代人と比較することにおいてなんの役にも立たない秀星は除外するとして、相対評価も可能なアトムが戦ったことで、とりあえず『直接戦闘とは関係の薄い概念の神祖』との戦いをはかることができた。
……できたということにさせてもらおう。
まあ結果としては『真似できっかゴルア!』となるわけだ。
第一世代型の最高神。および神祖にとっての『戦い』のレベルがあまりにも高すぎるのである。
相手の攻撃の特性を瞬時に把握し、一秒間に十回以上、本来なら溜めて発動する必殺技クラスの攻撃を行い続ける。
この時点で意味不明すぎる。
もしこれを普通の会話で出したとして、信じられる方が頭がおかしいだろう。まだ寿命が百年延びる薬があると言われた方が納得できる。
魔法省の中でアトムがレポートを作成して提出したが、正直、これが本当だとわかった時点で神器を捨て去りたいと考えるものが多い。
最も秀星の予測では、最高神の神器を持っているのはその殆どが天界にいる最高神たちなので、地球が攻められるよりも天界が攻められることのほうが考えられるが、それはそれとしよう。まあラターグの枕がいるかと言われると『別にいらん』となる神祖の方々が多いと思うが、最高神の神器であることに変わりはないので多分戦いに行くと思われる。
神祖たちは殺すということに対してこだわっているわけではないので、基本的には『殺し合い』ではなく『戦い』になる。
そもそも、最高神の神器を使いこなすほどの人間となれば、殺すよりも手元に置いておきたいのだ。
生きている人間でなければ神兵にすることができないという制限があるので、彼らは殺すことはない。
戦っているときに勢い余って、ということはあるが、基本的に最高神の神器を持っているからと言って神に対抗できるほどの『価値観』を持っているとは限らないので仕方がない。
「むっはふぉーい!」
椿の謎の叫びが秀星の家で響く。
「……どうしたの?椿ちゃん」
風香がそんな椿に対してどこか驚いた様子で聞いている。
「むふふ!私なりに、神祖と戦う方法を考えたのです!」
「そ、そうなんだ……」
一体何なのだろうか。
正直、最近強くなっている風香としても、求められる次元が違いすぎてどうすればいいのかわからない領域だ。
椿が何かを思いついたようだが、正直期待してはいない。
「おじいちゃんと来夏さんが戦うことができていたといっていましたよね。それなら、ギャグ補正を極めればいいと思います!」
確かに一理ある。
そもそも、神というものを殺すことができない以上、求められる最大が『封印』だ。
本当の意味で戦うことと比べれば、確かにそっち方面で攻めていけば何とかなる部分はあるかもしれない。
……のだが、ギャグ補正を極めるというのはどういうことなのだろう。
「椿ちゃんはそもそもギャグ補正ってどんなスキルだと思う?」
「そうですねぇ……おじいちゃんみたいな感じだと思います!」
「まあ、確かにそうかもしれないけど……」
ギャグ補正を極めるということが、朝森高志のような人間になることである。
という主張に対しては何とも言えない。
とはいえ、実際にそれで神祖と戦ってしまったため、無下にできる意見でもない。
「おじいちゃんに何か聞いてみるのもいいと思います!」
「……そう……なのかな」
神祖と戦った高志と来夏に失礼かもしれないが、なんだかそれは求める方向性が何も解決しないような気がする。
ライズの全力をパライドが認識していたとは思えないので、高志と来夏の戦いの内容に関して文句はないが、レベル的にどうなのかと思う。
風香の望みすぎなのかもしれないが。
「でもまあ、聞いてみることは悪いことじゃないか」
「むふふ!おじいちゃんと来夏さんはすごく強いですからね。きっとすごいことをたくさん考えているはずです!」
そんなことはないと思う。
ただ、元が人間であるならば、いつ事情が変わるかわからない。
もしも戦うときになって、『最高神の神器を持っていなかったので大丈夫だと思ってました』は通らないだろう。
倒すことも封印することもできない可能性が高いが、せめて逃げられる程度の実力は必要だ。
「それもそうだね。ちょっときいてみよっか」
「はい!」




