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第七百話

 バトルロイヤルはとても便利である。


 加えて、『より多くの者がその力を発揮しやすいシステム』として『ポイントチケットシステム』が存在するとなれば、それだけで複雑すぎてゲロはいてぶっ倒れるものもいるくらいだ。

 ……それは言いすぎか。


 そこに椿が参入するとどうなるのかと言われても、どうなるのかわからないものは多い。


 ただ、一つ決定したことがある。


「ええっ!お父さんとお母さんは、今回はボスキャラなんですか!?」


 椿。驚愕!

 椿は恐らく、『お父さんとお母さんとチームが組めたらいいなぁ……』みたいなことを考えていたと思われるが、今回は秀星に加えて風香もボスキャラ扱いとなった。


 今回彼らは、『挑戦してきたもの達がポイントチケットを多く獲得できる可能性がある部屋で待ち構える役』である。


「そうなんだよね。今回からは私もそっちの組に入れられちゃうんだ」


 風香はとても不服そうだ。

 ……とはいえ、今までボスキャラ扱いされていたのは秀星たち神器持ちと、ギャグ補正で生きている来夏だ。

 風香が一体どういう枠で採用されたのかいまいちよくわからない。

 清涼剤だろうか。鬼みたいに強いけど。


「むうう。まあルールなら仕方がないですね。私はいろいろな人と組んで、たくさん学びたいと思います!」


 それでいいと頷く秀星と風香。

 正直な話をすると、秀星と風香の遺伝子で産まれた椿が、チーム戦で役に立つと思えない。

 『みんなと同じことをする』ならば椿にも問題はないはずだが、チームの一員として、周囲の人間と力を合わせて戦うということは出来ないだろう。


 いろいろな人と組むことで、チームという存在の意義を理解して、そのなかで自分の『役割』を自覚することができたら、それで構わない。

 秀星と風香は諦めました。


「そういえば、未来でお父さんが言ってましたけど、私がこっちの時間に来て初めて参加するバトルロイヤルが、『この時間軸でも初めてポイントチケットシステムを前提に開催される』そうですね」

「あー。確かに」


 導入したのは天窓学園のバトルロイヤルだが、そこでは運営側は何も聞かされておらず、秀星が勝手に導入したものだ。

 運営側がその存在を認識した上で開催されるのは今回が初めてである。


「そういえば椿ちゃん。未来でもポイントチケットシステムって名前なの?」

「いえ、未来では『セフィコット・システム』という名前になってますね」


 セフィアのマスコットが主体となって動かしているシステムなので、セフィコット・システムという名前なのだろう。


「セフィコットねぇ。その名前、誰が考えたんだ?」

「未来のアトムさんですね。マスコット・セフィアっていちいち打つのがなんか語呂が悪くて心がざわつくということで、セフィコットと言う名前を最初に使ったそうです」

「そこまでマスコットという名前を打ち込みまくる書類って一体何なんだ……」


 未来のアトムがどれくらいの大物になっているのかよくわからない。

 魔法省の役人ではあってもトップではないのが現在のアトムだ。

 未来では大臣になっているかもしれない。二十年後ならちょうど四十歳だ。

 ……正直、政治の世界だと若手の部類に入ると思うが。


「セフィコットさんを使ったダンジョンのシステムはとても人気ですよ。戦略の幅が広がりますし、自由度も高いですからね。バトルロイヤル開催会社が未来のお父さんと契約して使ってますよ」

「未来でも人気なのか」

「冒険者と動画配信者を兼業している人がよく使ってますね。『ゲーム性が高くなって見ている側も面白い』だそうです」

「まあ、それもそうか」


 ポイントチケットを持っていたら、セフィコットを見つけるたびに『支払い』をして、運営部に決められたサービスを受けられる。

 商品もそうだが、契約書などもそうだ。

 確かに『ゲーム性が高くなる』というのはそのとおりである。


「椿は未来で参加したことがあるのか?」

「ありますよ!よく一緒に遊んでる友人二人と星乃を誘って潜ってます!」


 笑顔の椿。

 それを見て、秀星は『魔戦士とは言うが、その本質は戦うことか』と思った。

 モンスターを倒して、魔戦士市場を活性化させることが役割ではあるが、やはり『戦い』というエンターテイメントは人を熱狂させる。

 しかも、それが広いスペースを使った遭遇戦となれば臨場感は増す。


 そしてそこに広いゲーム性が加われば、動画配信としてもやりやすいだろう。

 セフィコットに頼めば、ある程度のカメラワークはやってくれるし。

 生配信なら醜態もしっかり撮られるけど。


 魔戦士の本質は戦うことであり、モンスターを倒すことだけが、魔戦士で食っていく道ではない。


 今の風潮とかなり異なるが、未来では冒険者の数が増えていった結果、過剰供給な市場なのかもしれない。

 詳しいことはその時になってみればわかることだ。秀星個人に限定すれば大して重要なことではない。


(ただまぁ、あれだな。椿がその友人と組んで入っているのはいいが、椿にチーム戦ができるかどうかはまた別問題だろうな)


 マスコットというよりは小動物と言う表現がより近いだろう。

 動画での見栄えはいいが、チーム力はまた別の話である。

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