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第五百四十四話

「秀星!聞いたぞ!神がお前の家にいるみたいだな!」

「……どこから漏れたんだ」


 急に押しかけてきたようだ。

 そして、それは当然来夏である。


「おお、君が諸星来夏だね。よろしく。僕はラターグだよ」

「ほー……なんかダラダラしてるな」

「そりゃ堕落神だからね。働いたら堕落じゃないでしょ?」

「弱み握られて働いてるよな」

「まあそこは別枠だよ。うん」


 別枠というか、そもそもの枠ってどういう基準なのだろうか。


「堕落神ねぇ……オレよりも強いのか?」

「いや、俺も勝てないよ」

「え、秀星も勝てないのか?」

「まあ堕落神ゆえにいろいろと社会的な問題を抱えてるから、そこを突けば何とかなるけどな」

「怖いこと言わないで……」


 何かしらの因縁があるのか、ラターグに対してかける言葉に容赦がない秀星。


「で、来夏。なんで来たんだ?」

「神が来たって言ってたんだ。そりゃ当然くるだろ」

「……当然なのか?」

「いや、僕に話を振られても困るよ。神ってめったにこっちに来るわけじゃないからね」


 秀星としてはいろいろと出会っているような気がしなくもないが、文字通り桁違いの年数を生きているラターグからすればほんの少しの話なのだろう。

 ダラダラ生きる上に、サブカルにも深く手を染めるため、日々更新を確認するために一秒一秒を大事にするタイプのはずだが。


「よし、ならダンジョンに行こうぜ」

「えー……ちょっと前に雫ちゃんといったばっかりなのに~」

「うだうだ言わないで行くぞおおおおおお!」

「おわああああ!は、はなせえええええぇぇぇぇぇ」


 ラターグのジャージの襟をガッとつかむと、そのままドアから走って出ていく来夏。

 ラターグが悲鳴を上げるものの、どうやら来夏には通用しないらしい。


「……そういや、神獣と戦ってた時、来夏って神の力が宿った武器を何も使わずに戦ってたよな。いったいどういうことなんだろう」

「一応、オリジナル・エッセンス・スキルは、神が作った力とは別枠であり、優先順位に影響されないということはありますが……」


 セフィアが出てきて返答するが、意見として苦しくはないが弱い。


「まあいいや。来夏が振り回してる間。俺は平和だからな」

「そうですね」


 秀星がソファに座ったので、セフィアはそれに合わせてコーヒーとチーズケーキを出す。


「……それにしても、来夏は普通に触れても問題ないのか……俺も『ギャグ補正』みたいなスキルがあればラターグに触れても問題ないのかね?」

「であれば、今すぐに触れても問題はないと思いますよ」

「なんで?」

「おそらく秀星様は、すでに『ギャグ補正』のスキルを持っているはずですから」

「……」


 セフィアのあんまりな指摘に黙る秀星。


「高志様や来夏様の影響でかすんでいますが、もともと、『悪乗り同盟』というものを、来夏様、秀星様、アトム様の三人で結成していたのをお忘れですか?」

「いや、あれって別に正式に結成したわけじゃないけど……」

「そういう話ではありませんよ」

「あ。はい」

「そのため、秀星様も持っていると思われます」

「……俺って来夏や父さんと同族なのか」

「秀星様は格下ですが」

「……まあいいや。二人よりも格上だからって何か得することがあるわけじゃないし、別にいいけど」


 本当に、格上だからってどうすればいいのだ。という話だ。


「今頃、ラターグはどうなってるんだろうな」

「来夏様に今も引きずられてると予測します」

「……そうだな」


 来夏は足は速いが、転移などは使えない。

 今もまだ引きずっている最中だろう。

 ジャージは頑丈そうなのでおそらく無傷だろうが。


「……しかしあれだな。神って結構面倒だけど、それ以上に来夏が非常識すぎたな」

「はい。ラターグ様に触れて、何も問題がなく行動できる人間がいると初めて知りました」


 世間は狭いが、世の中というのは深いものである。

 漠然と、そんなことを考える秀星だった。

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