第五百二十四話
アステル エイミー オウガ 天理 千春
これがチームアステルのメンバーである。
圧倒的な性能を誇る『眼』を持っているアステルを筆頭に、膂力重視となっているオウガ、剣の精鋭からは、文明兵器を使うエイミーと、元勇者の天理、そして研究職の千春である。
「うわー……こんなに遠くからでもあたるのね」
「アステルさんの遠距離の鑑定が素晴らしいですね。全員の場所がここからでもわかります」
椿や高志を狙った狙撃。
確かにこれらは、エイミーがライフルを使って行ったものだ。
とはいえ、チーム高志のメンバーは粒ぞろいであり、エイミーが狙撃ポイントについた瞬間に、何らかの『雰囲気』で察してしまうメンバーもいる可能性は十分にある。
ちょっと意味不明な領域だが、何となくで気がついてしまうのだから仕方がない。
「勘がいいメンバーが多いなら、それを気付かせないような位置から狙い撃つっていうのは分かるけど……私たちからも向こうが全然見えないのに、よく狙えるわね」
チーム高志とチームアステルがいるのは森の中。
エイミーは一応木の上にいるのだが、実は高志が見えていないのだ。
枝はさすがにないが、葉っぱが多くて高志が見えないのである。
そしてそれを、アステルが口頭で指示して発砲させているのだ。
そのため、よく当たるのである。
……その結果として、眉間や後頭部に弾丸がぶち当たるのだから、アステルの考え方が何となくわかるというものである。
「さてと、隠れられたというのなら、警戒している間にさっさと離れよう」
「え、戦わないのか?」
「私は高志と戦うのは嫌だ」
リーダーが思いっきり逃げ腰である。
「まあ、気持ちは分からなくもねえけどよ……もうちょっと頑張れよ。アステル」
「高志みたいなやつは高志しかいないと思ってたのに、最近は来夏まで高志みたいなやつだとわかってちょっとテンションが下がり気味なんだ」
「アステルって色々見えてるから常にテンション下がってね?」
「うるさいぞ。オウガ」
軽口をたたいている余裕はあるようだ。
「で、どうするんだ?」
「私と同じ常識の範囲内で戦ってくれそうなチーム基樹を探すぞ」
「同じ常識の範囲内の意味がよくわからん」
天理がアステルの言い分に首をかしげるが、天理としても高志を相手に真正面から戦いたくはない。
単純に、アステルが言っている日本語の意味が分からなかっただけだ。
「単純に、同じ次元で戦ってくれるということだ。ギャグパートに一々付き合ってられるか」
とはいうアステルだが……。
物事はギャグの方から寄ってくるのである。
「アステル~。つれないこというなよ~。俺と遊ぼうぜ~」
ものすごく腹立つ言い方をしながら高志がアステルたちがいたエリアに入ってきた。
その後ろにはチーム高志のメンバーが続いている。
「……ん?てっきり椿は秀星に挑みに行って、そして負けて退場していると思っていたのだが」
「フフフ……挑んだんですけど追い出されました!」
「そうか」
「全然当たらなかったです!なので、みんなで遊んでおいでと言われて戻りました!」
「なるほど」
「なので、トランプを持ってきているのでポーカーをやりましょう!」
「するとしてもバトルロイヤルが終了してからだ」
確かに。
「というわけでアステル。俺と遊ぼうぜ!」
「却下。と言いたいところだが、どうにかして意志を貫いてくるのがこの馬鹿だからな。ちょっと相手するしかないか」
アステルは右手を構えると、そこに黄金の槍が出現する。
「さて、狼煙の代わりだ。派手に行くぞ!」
黄金の槍をぶん投げて、高志を狙う。
「こんなもん効かねえよ!」
高志は槍を殴った。
ちなみに素手である。
殴った槍は……高志の拳にあたると同時に、爆発した。
「うごはあああああ!」
「フフフ、真正面から槍を投げても殴り倒されるのは目に見えているからな。着弾と同時に爆発するようにしておいてやったぞ。本体は無理でも、決闘用の障壁は長くは持つまい。そっちを削って場外に直送してやる」
ガチではなく、あくまでも決闘用の障壁などを使った『遊び』ゆえに、いろいろと抜け道があるものだ。
「なるほどなぁ、いいだろう。かかってこいやオラアアアアアアア!」
「行きますよオラアアアアアアア!」
「椿。真似してはいけません」
「え、でも私、未来でおじいちゃんから必要なことだって言われて『ヒャッハアアアアアアア!』ていう練習をしてましたよ?」
全員の冷たい視線が高志に向けられる。
「……え、俺が悪いの!?未来の話だろ!?」
「フフフ。こういう時に味方がいないのがあなたの欠点だ。チームワークを崩壊させるのはチーム戦の鉄則だからな」
ただし、もともとチークワークなどというものが存在するかどうかは別である。
「まさか……狙ったのか!?」
いや、自爆だ。
「フフフ、さすがアステル。いろいろなものが見えているな」
「あなたの本質が見えているなら私はここまで苦労してない」
ご愁傷様。
「まあ。それは置いておこう。せっかく大勢が集まって遊んでんだ。楽しんでこーぜ!」
「楽しんでこーぜ!」
「椿、真似してはいけません」
全員から風香に『え、今のもダメなの?』という視線を向けられたが、風香はどこ吹く風。
「よし、レディーゴー!」
高志がアステルに向かって突撃した。
「ゴー!」
そして椿も突撃。
……思っていたよりおじいちゃん子の可能性が出てきた。
まあ、大人になって落ち着いた秀星や風香よりも、高志の方が接していて楽しいかもしれないが。
「仕方がないな」
それはそれとして、どうにかしなければやられて終わりだ。
チームアステルの方も苦笑しながら、それぞれの武器を構えた。




