第五百二十一話
午後四時。
何をするにしても中途半端な時間だが、高志と来夏にはそんなことは関係ない。
「バトルロイヤルをするぞ!」
「おーーーー!」
それぞれのリーダー命令により『全員集合!』とお呼びがかかったのでロビーに集まってみると、これである。
ただ、ある程度予想はしていた。
全員集合というからには全員でなにかするんだろうな。と考えていたが、このメンバー全員で何かをするとなれば、もうバトルロイヤルくらいしかない気がする。
それと同時に思う。
『最終的に秀星が勝つんじゃね?』と。
「これがルールブックだ」
「チーム戦だけど、メンバー表はオレが書いておいたぜ」
ルールブックとは言うが、たった一枚の紙しかないのでルールペーパーである。
ちなみに……来夏が書いたメンバー表はすごくきれいな文字なのだが、高志のルールペーパーの方はクッソ汚い。
読めなくはないのだが、汚すぎた。
そして、速読ができるメンバーは、『チーム』の中に、秀星がいないことに気がついた。
「簡単なルール説明だけど、基本的には魔法で作った別空間で行うぜ。で、秀星は挑みたいやつが挑むラスボス役だ」
「時間制限付きの生き残り合戦だぜ。決闘用の障壁魔法を使うから、派手にやろうな」
「まあ一部、本気出したらやばいことになる連中がいるから、いろいろな制限が書かれてるけどな」
「そこまで制限するものじゃないから、十分派手な展開にできることを期待するぜ」
「というわけでみんなでルールを守ってバトルロイヤルだ!……レフェリーもジャッジもいねえけどな」
最後の部分に『そこは重要じゃないのか?』と思うメンバーだが、一部、『まあ、制限を無視したら一発でわかるわな』と考えて自己完結。
何も問題はない。多分。
「俺は指定エリア留守番か」
「秀星様はいろいろあれですから、仕方がないですね」
「いろいろあれってなんだよ」
「わかりませんか?」
「いや、そんなことはないけど」
自覚はしている。
本当にいろいろと暴れすぎているのだ。
そもそも、高志と来夏がやった不祥事をなんとかできるという時点でおかしいだろう。
「今回は秀星様は待ちですね」
「沖野宮高校でもそんなのやった記憶があるな。まあ、基本的に暴れただけだけど」
「大体は宗一郎様か基樹様と一騎打ちになりますけどね」
「生徒会長と元魔王が同列ってすごいよな」
「あの生徒会長もギャグ補正全開だと思いますが」
「頑丈さ特化だけどな。あー。二日間見てないだけなのにすごく懐かしく感じる」
「その二日間でいろいろありましたからね」
本当にいろいろあった。
一番驚いたのは……。
「お父さん!勝負です!」
未来では、こんな娘が生まれていることだろう。
こんな素直で元気で可愛い娘がいたら、そりゃ平和になるだろうな。と思う。
「……速くね」
「速いですね。私は下がっています」
セフィアが下がって、秀星は椿を見る。
「フッフッフゥ!お父さんの全盛期の実力。見せてもらいますよ」
「それなら、よく目に焼き付けておけ」
秀星はプレシャスは抜かず、魔法で即席で作った剣を構える。
椿は刀を抜いた。
「行きます!」
「来い」
椿は刀を構えて、地を蹴った。




