第五百二十話
椿がこの時間にやってくることになった原因のものは手に入れた。
ただ、これまで椿が結構自由に行動していることを考えればわかるが、まだ少し時間はある。
椿が乗ってきたタイムマシンを確認したのだが、設定上、帰るときはすべて同じ時間に飛ぶように設定されていた。
ある程度制限時間はあるのは間違いないが、基本的にまだ時間的に問題はない。
「さてと、なんだかいろいろあるし、何か催し物があればいいんだけどなぁ」
「だな。とりあえず、今すぐにする必要があるものは終わってるし」
高志と来夏が話していた。
「ぶっちゃけ、椿ってどれくらいいても大丈夫なんだ?」
「秀星が言うには、今日の夜まではいても問題ないって言ってたな」
「たったの二日間だけしかこれなかったんだな」
「でもまぁ、二日間にしては充実していたと思うし、いいんじゃね?」
そんなことを言い合う二人。
充実していたかどうかはともかく、風香とはいろいろかかわることができていても秀星とはそこまで時間を共にしていない気がしなくもないが、椿が悲観している様子はないので問題はないだろう。
というか、かなり爆弾をばらまきすぎである。
もちろん、未来の自分たちの言葉が巡り巡ってきただけだが。
この場合、今の自分たちに罪はあるのだろうか。謎である。
まあ、高志と来夏限定で罪があると思っている人が多いというのは事実なのだ。味方の存在を気にしても仕方がない。
「最後になにか大きなことやりてえな」
「そうだな……剣の精鋭とユニハーズを合わせるとそれなりの人数になるし、全員でバトルロイヤルでもやるか?」
「おお!そりゃ面白そうだな!チーム戦にするか?」
「だな、何人かリーダーを決めて、その中に当てはめていくようにしようぜ」
どうやら、そういうことらしい。
「細かいルールが必要だな」
「そうだな。というより制限といったほうがいいか?開始一秒で秀星チームが優勝したら興ざめだし」
「俺ら全員を相手に開始一秒か……できそうだからあれだな。強く育ったなぁ。秀星」
「強すぎだろ」
「まあ、弱くて損することと、強くて損することを比べれば、まだ強いほうがマシだろ」
「それもそうだな!」
早々に脱線している。
「で、どんな制限にしたほうがいいかなぁ。ルール聞いて『どうせ秀星が勝つじゃん』ってなったら面白くないし……」
「多少緩い程度がいいか?そうだな……『優勝できるのは女だけ』とかはどうだ?俺としては丁度いいと思うが」
緩い、と丁度いい、という単語の意味が知りたくなるようなルールである。
「……いや、秀星って確か、魔法で生物学的に女になれるはずだぞ」
「そんな不思議生物になってんの?」
ギャグ担当の父親から不思議生物と言われたらどうしようもない。
「むぐぐ、ルールを決めるのって難しいな」
「いっそのこと、秀星抜きでやるか?」
「いいのかそれ」
「あくまでもバトルロイヤルに参加できないってだけで、ボスキャラとして配置するってのはどうだ?」
「待ち受けるタイプのモンスター扱いだな」
「そう。そんな感じだ」
元魔王が他にいるのに……。
「で、秀星に勝ったら即優勝だ」
「アッハッハッハッハ!」
……意外に採用されそうなので始末に負えない。
とまぁ、こんなノリと勢いで、バトルロイヤルルールが定まっていくのだった。
きっと……意味のないものになるだろう。そんな感じがする。




