第千二十二話
「三十分でマッピング完了だぜ!」
「速っ……」
やってやったぞおらああああ!と言わんばかりの叫び声を出す清磨。
彼の手にはスマホが握られており、そこには完璧に地図が埋められた最下層のマップが存在する。
最下層でダラダラ稼いでいた星乃はその現場に遭遇したが、雄たけびを上げる清磨に対してげんなりしているところであった。
「どうだ星乃!アドバイスを貰ってから三十分でマッピング完了だぞ!すげえだろ!これでグレイをぶっ倒せる!」
「……マッピングした情報を使って何かを手に入れないとダメだろ」
「今はそれを調べてもらっているところだ。妖しいポイントがこれでもかってくらいにあるからな!」
「お前、それ全部スルーしてたのか」
「そういうことだ!」
この計画性のない会長という属性。どこかで見たことがあるような気がするが……まあ、実力というか戦闘力だけはバカ高いので、救いがないわけではない。
周りが苦労するということに変わりはないのだが、ま、突っ込んだところで無駄だろう。
「で、なにか見つかったって報告はあるのか?」
「いろいろなところに宝箱が置かれてるっていうのはわかったぞ。ただ、その通り道がなかなかハードだから、ちょっと手こずってるってところかね?」
「門番がいるのか?」
「門番はいないさ。というか、門番って中ボスだろ?このダンジョンは、グレイ以外のボスキャラはいないからな」
「そうだったな」
まあ、方針が決まったようで何より。
「良いアイテムが手に入ると良いんだけどなぁ。そろそろ第一形態を突破したい」
そういった時、清磨のスマホから着信音が。
「お、どうした?」
『清磨様。宝箱に到着したのですが……大量のポイントチケットを投入する必要があります』
「性格悪すぎんか!?」
あんまりな仕様に愕然とする清磨。
「……思うんだ。秀星先輩って、一般的な生徒が三年生に上がる頃にはボスを倒せるような設定にしてないんじゃないかって」
「でもそれくらい強くしておかないと、一部の『意味不明な強さを持ってる人』が乱獲しちゃうんだよな」
「あ、あーなるほどね」
もちろん、いくら沖野宮高校がいみわかんねえ奴らの巣窟であるとはいえ、グレイを単独で倒せる生徒はそういない。
しかし、複数人でチームを組んで戦えば、勝てるチームはいくつか存在する。
当然、そういう連中は『そもそもお前らって義務教育じゃないのに学校通う必要あるん?』と思わなくもないが、通っているのだから仕方がない。多分そいつらが卒業したらグレイは弱体化するさ。
まあ、その前にポイントチケットがなくなる可能性があるので、グレイはお役御免になって自営業でダンジョンマスターをやりだすだろう。
……そこまで行くとなんだか末期状態だが、いつものことだ。
「で、どうするんだ?払うのか?」
「……グレイを攻略したら大量のポイントチケットが手に入るはずだ。とりあえずそれを狙って今まで行動してきたんだし……払うしかないだろう」
「なるほど」
『かしこまりました。では、ポイントチケットを払って宝箱を開けるよう指示します』
通話終了。
「……ちくせう。面倒なことになったなぁ……」
結論、秀星が優しいわけないのである。




