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 終

 まるで夢のような映像が目の前で繰り広げられているのを

ぼんやりと見ていた弘毅は段々と忘れていたことを

思い出してきた。


 どうして、自分が存在しているのか?

 何をしないといけないのか?


 『そうだ!私は……』

 弘毅がそう思った途端、弘毅は身体を揺さぶられた

感触を受けた。

 それと共に弘毅の周囲の空間は歪んだ。

 気が付くと、弘毅は三度、強化ガラスで出来た円錐の中にいる

狭間と加奈子の前に戻ってきた。

 弘毅は俯いていた顔を上げ、目の前の狭間と加奈子に

 「やっと、思い出したよ!…… 今、助けるから。」

 というと狭間と加奈子がいる強化ガラスで出来た円錐を

壊しに掛かった。

 そんな弘毅の行動に危険を感じた狭間と加奈子の円錐の

後ろにあるマスターコンピューターは

 「危険、危険…… 排除、排除!」

 と言いながら、自分の中に隠し持っていた駿一とそっくりな

ウイルス達を弘毅に向けて、放った。

 弘毅は必死に同じ強さのウイルス達と懸命に戦ったが

数に勝るウイルス達に弘毅は段々と疲れて行った。

 『もう、ここまでか……』

 弘毅が諦めかけたその時……

 弘毅の後ろの重いドアが


 ドン!……


 ともの凄い音と共にそのドアが吹き飛んだ。

 そこには駆けつけた駿一と彩香の姿があった。

 駿一はまさに弘毅に襲いかかろうとしている自分と

そっくりなウイルス達を目にもとまらぬ速さで全て倒した。

 マスターコンピューターは突然、自分の前に現れた

駿一と彩香に

 「裏切ったのか?……」

 と言った。

 彩香は疲れきり、今にも倒れそうと弘毅のもとに近寄り、

弘毅の身体を支えながら

 「裏切ったのじゃないわ…… 全てを思い出し、

大切な物をあなたから取り返しにきたのよ!」

 と言った後に弘毅に

 「大丈夫だった?」

 と優しく声をかけた。

 「ああぁ。大丈夫だ!…… さあ。奴を倒しに行こう!」

 弘毅は彩香と共に立ち上がると懸命にマスターコンピューターを

倒そうと試みている駿一のもとに駆け寄った。

 弘毅達は力をあわせて、マスターコンピューターに挑んだ。

 始めはまるでマスターコンピューターに歯が立たなかった。

 だが、徐々に弘毅達の息は合ってきた。

 「こ、これはいける……」

 弘毅がそう思ったとき……

 彩香はマスターコンピューターに捕らえられた。

 弘毅と駿一はマスターコンピューターにそれ以上、

攻撃が出来なくなった。

 「私に構わないでコイツを倒して!」

 彩香は弘毅と駿一にそう言った。

 駿一はマスターコンピューターへの攻撃を躊躇い、

後退りをした。

 「必ず、助けるから!」

 弘毅は小さく頷くと思い切って、マスターコンピューターに

攻撃を仕掛けた。


  ドーン……


 爆音と共に弘毅と彩香はマスターコンピューターの爆発に

巻き込まれた。

 

 ……


 気が付くと弘毅と彩香は眩いばかりの光の中の世界にいた。

 彩香は何も言わずに自分を見詰めている弘毅に

 「ここはどこなの?」

 と訊いたが弘毅は何も言わずに優しく彩香に微笑みながら

 『ありがとう!…… やっと元の場所に帰れる……

君たちの事は忘れないよ!』

 彩香の脳に直接、語りかけてきた。

 「ど、どういうこと?」

 彩香は弘毅に訊いたが弘毅はそれ以上、何も言わずに

彩香の前から消え去った。

 爆雲が晴れ、駿一の前に現れたのは彩香一人だけだった。


 それから数日。 駿一と彩香はあらゆる手を講じて、

弘毅の行方を捜した。

 だが、弘毅の姿は何処にも無かった。

 「今日も暑いなぁ……」

 サラリーマンの格好をし、暑そうに首筋から流れる汗を

吹きながら、天を仰ぐ弘毅の姿が新宿の交差点にあった。

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