メリルリ古代迷宮、第3階層 ~ファイアドラゴン~
「「「ごちそうさまでした!」」」
名前も知らぬ冒険者たちと流しソーメンをして、笑顔で別れた。
お腹がいっぱいになると、イカツイ顔のベテラン冒険者も優しそうな表情を浮かべる。
暑さでギスギスしていたパーティも、なんだか仲良くなったようだった。
「よかったですね、アビゲイルさん!」
「まぁ、私たちの食事のついでだ」
「そんなこと言って、アビゲイルさんだって張り切ってたじゃないですか」
「まぁ、それは……そうかもしれんが」
第三階層に降りると、さらに熱気が強まった。
「うっ、ひどい暑さだな……」
「く、くらくらします……」
「エミリア、アビゲイル。我の背に乗れ。我が氷狼フェンリルの権能で、冷気結界を形成する」
「わぁ、ありがとうジョン!」
ジョンの背中は、もふもふと温かくて一瞬「うっ」となったが、遠吠えひとつで周囲にたちまち冷気が満ちる。
「ふぁ……涼しいですぅ……」
「ああ、気持ちいいな……! 冬の寒さには暖炉があるのに、暑さには何も救済策がないのはどういうことなんだ」
「アビゲイルさん、なにかそういう魔導具って作れないんですか」
「ふむ……冷蔵庫と同じ原理で作れるのか……? まだ分からんが、ジョンの氷の権能とエミリアの魔力があれば可能かもしれないな」
「やったー!」
暑さを和らげるための氷の魔術は発動に多大な魔力が必要で、夏にそういった魔力をふんだんに使えるのは王侯貴族くらいのものなのだ。かつて、大気にマナが満ちていたころ……世界樹が『世界の果て』へと消える前は、もっと氷の魔術もカジュアルなものだったそうだけれど。
「がるる……様子がおかしい。熱気がひどすぎる」
「ジョン?」
「ファイアドラゴンの発情程度で、このような熱気が生まれるものだろうか?」
「ほかに原因があるというのか?」
「それはわからんが……」
「第3階層は素通りして、一気に下の階層に行きたいんだが。セーブポイントの設置も、第3階層はもう終わっているしな」
「待ってください、なんだか……苦しそうな気配がします」
「苦しそう? 何も感じないが……」
エミリアは目を凝らす。
そして、ジョンの背中から飛び降りると、その気配のする方向に駆け出した。
「あ、待てエミリア! 危ないぞ!」
「大丈夫です、何かが……誰かが苦しんでる!」
助けなきゃ。
エミリアは、熱気の中をかける。
「これは……」
「ファイアドラゴンだ。だが、様子がおかしい……」
第三階層の奥、ファイアドラゴンの巣。
以前、クエストのために卵をわけてもらったファイアドラゴン――その、ひときわ大きな個体がぐったりと目を閉じていた。
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