「人助け」
タンシチューを堪能すると、食器洗いは全自動食器洗い機に任せて畑に出る。
全自動水やり機が午後の水やりをするので、メンテナンスをするというアビゲイル。エミリアも暇なのでついていった。
「うん、メンテナンスもしばらく大丈夫だな。順調だ」
「すごいです……これが修道院にあれば、もっと寝る時間も、お祈りする時間もとれるのに。アビゲイルさんすごいです!」
「……宮廷魔導師団では、こういった魔道具の研究をしていたんだ。同僚たちときたら破壊兵器やら防御壁やらばかりで、くだらんやつらだった」
「うんうん! これってぜんぶスゴイ発明ばかりですよ! この子たちが広まったら、きっとすごく便利なのになぁ」
「……。そうだな」
畑に水まきをしてくれる魔導具・自動水やり機の前で、あちこちにかかる小さな虹を眺めながらアビゲイルはため息をつく。
「この森のように、魔力やマナに溢れた場所ならいいのだが……市街ではなかなか上手く動かないものも多いんだ」
「そうなんですか!」
マナ、というのは自然界に溢れているエネルギーだ。
【世界の果て】に生えている世界樹から発生しているけれど、近年は減少傾向にある。
それで、自分の体内の魔力を他人に分け与えられる、天歌教の『聖女』たちがもてはやされているわけだけれど。
「魔力消費が大きくてな。さらに研究をすすめれば、消費する魔力を抑えたり、小型化したりと発展させられるのだが……なにぶん資金が足りない」
「資金ですか」
「あぁ。研究には莫大な資金が必要だ。金はあればあるだけいい。そうだな……たとえば、もっと畑や薬草園を拡張したりして手広く商売ができれば、また話が変わってくるんだがな。私の保有魔力とこの土地のマナで動かせる魔導具を使った栽培だと、今の規模が限界だ」
「……むぅ」
「……難しい話をして悪かったな」
アビゲイルが、こほんと咳ばらいをした。
マジメな話が、気恥ずかしかったのかもしれない。
「あっ、いえ……すみません。ちょっと嬉しくなっちゃって!」
「嬉しく?」
「はい。アビゲイルさんって、ちょっと怖い人かなって思っていたんですけど……私と同じで『人助け』をされたいんですよね」
「なっ!」
「アビゲイルさんが常連だっていう『飛ぶ蛙亭』さんもあんまり立地がよくなくて人が少なかったですし、ソーセージバゲット屋のお婆さんの義手だってわざわざ作ってて……あと、ナディアさんに聞きました。メリル市の財政が傾いて孤児院の売却が噂されていたときに、どこからともなくアビゲイルさんがやってきて、あのおっきい魔力測定装置を作って強い冒険者を呼んでくれたって」
「あいつ……余計なことを」
「アビゲイルさんって、とってもとっても優しいんですねっ! とっても偉いです!」
「ぅっ」
「私も、ギルドのお仕事をするのが楽しみですっ! いっぱい人助けしたいんですっ!」
「そ、そうか……そろそろクエスト依頼が届く頃かもな……」
アビゲイルは、エミリアからのド直球の褒め言葉に真っ赤になった顔をそむけた。
畑は、青々としている。
――よく食べよく眠り、体内の魔力を着実に増やしたエミリア。
彼女のおかげで間もなくこの生活、というかこの畑にある『異変』が起きることを、アビゲイルはまだ知らない。
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