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ようこそ、心清堂へ  作者: みい
第二章/第一幕「夢を捨てし者と夢を追いかけし者」
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心清堂の店主と店員







一方心清堂では……



「……あっ」

村井が急に声を漏らし、立ち上がった。


「どうしたんですか?急に立ち上がって、おまけに声まで出して」

そんな村井の近くで作業していた糸田が村井を見て、不思議そうに問い掛けてみれば、新しいお客さんが現われる予感がした。とだけ答え、また静かに椅子に腰掛けて机の上に頬杖をついた。


「新しいお客さんですか」


「……これまた複雑そうな問題を抱えるんだろうなぁ」

言葉とは裏腹に嬉しそうに微笑みながら呟く村井はさらに続ける


「今回のテーマは、夢だね」


「えっ?」


「だから、夢だって」


「夢、ですか……」

またいきなり訳分からない事を、糸田が本音をボソッと首を傾げて呟くのを横で聞きながら頬杖をついていた手で右目に被せた。


「……それも関係者だね」


「いったい誰のです……」


「俺らの関係者といえば、伊野部さんや」

糸田が村井に聞き返そうとしてそれを店の奥から姿を現した後藤が代わりに答えた。


「うわっ後藤さんいきなり……伊野部さんの関係者なんですか?」


「って多分そう言いたいんちゃうんか?店長さん」

表情が変わる事なく、村井の方に目線をやって、わざと店長さんと呼んで糸田に目線を戻して告げれば、相変わらずだねぇ後藤君と村井は満更でもない様子で笑いながら言った。


「……でどうやねん?」

村井の言葉を聞きながらも聞き流すようにまた問い掛けてみれば


「さすがだね、後藤君の言う通りだよ」

村井もそんな後藤の反応を気にする様子もなく、そのまま問い掛けに答えた。


「もったいぶらんでさっさとそう言えばええやん。感じ悪いわぁ」


「後藤君にその言葉そっくりそのままお返しする」

村井のそんな切り返しにおもわず深いため息を漏らすと



「なんか分からんけどあんたと話してると疲れるわ」

そう言い残すとまた店の奥へと消えていった。


「お二人相変わらずですねぇ」

後藤と村井の会話を黙って見ていた糸田が村井に向かって言った。


「まだまだみたいだからね、後藤君が僕を認めてくれるのも」


「認めてるんじゃないんですか?」


「どうだろう」

糸田の問い掛けにそれ以上答える事なく、すくっと立ち上がると店の奥へと消えていった。



「もうなんなんだよ。二人共」

訳分かんねぇよ……自分だけ意味が理解出来ない様子におもわず首を傾げながら呟くと急いで二人の後を追いかけるように店の奥へと消えていった。


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