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ようこそ、心清堂へ  作者: みい
第一章/第三幕「本当の悲しみに誘う真実の扉」
17/40

日記に記された真実






一人になった店内でカウンター席の椅子に腰掛けて、静かに日記のページをめくった。

そこには一ページ毎に一日の出来事がきちんと書かれていた。

そしてある日にちの日記に目が止まった。






――――――――――――――


10月23日



なんかもう自分がよう

分からんくなってきた。


一ヵ月前に突然病院で

癌を宣告されて寿命まで

宣告されてもうた

こっちの気持ち



それから一ヵ月間これから

どうしようか考えてみた……


どうせ苦しみながら、

誰かに世話になって

死ぬぐらいやったら

一人で誰にも見られる事

なく、この命終わらせた

方がええって……



でも、俺には果たさな

あかん約束が残っている。

その約束をどうにかして

でもやり遂げな


あの約束だけは……



――――――――――――――



「………………………………」

読めば読むほど胸が詰まる気持ちになったが、ページをまためくった。

次々とページをめくっていくとあの日に書かれたであろう最後の日記を見つけた。

それを見つけた瞬間にこの日記にほんまの真実が書かれているんやなと思った。


何度も途中で日記を閉じようとしたが、思いとどまって小さく深呼吸をしてから日記を見つめた。



――――――――――――――


11月20日



俺は、ある場所に向かった

そのある場所とはあいつと

俺の思い出の場所でもあり、

ある約束をあいつと

交わした場所でもある。

その場所で、今日あいつに

伝えなければいけない事が……

今まで言えんかったある事を






今日あの丘の上に

あいつを呼んだ。ずっと

隠していた事をちゃんと

告げるために……


もちろん自分の寿命も

告げた。



丘の上に呼ぶ前に約束を

果たす事が出来た


高校の時に交わした約束を











高校の時から俺は何回も

死のうと考えていた。

自分が嫌で生きてる事にも

疲れていた。でもそんな時

に思いとどまらせてくれた

のは、あいつやった



死のうとする度にいち早く

気付いて止めてくれたな



でも今回は、許してな

今回は、もう止めても

やめへんから……


これも家族のためやから

こうせな家族に対して

お詫びする事が出来へん



高校の時家族が死んだん

知ってるよな?

家族の死んだ理由は、全て

俺のためやったんや


事故に見せかけて家族三人

とも俺のために……



これを知ったんはちょうど

寿命を宣告されたあの日


久し振りに墓参りをした後

誰もいない家に寄って

荷物を片付けようと昔

自分が使っていた部屋を

掃除していたら手紙が

机の奥から出てきてな


それを読んだ瞬間

今までの記憶が甦った。

同時に丘の上で交わした

約束も……



――――――――――――――



日記は、次のページまで続いていた。



――――――――――――――


この時に決めてん

自分のためでなく、

家族のために死のうと


どうせ近い内になくなる

命やしな……出来る事なら

苦しまずに死にたいから


こんなん言うたら絶対に

止めるやろうな


だから丘の上で言う事が

出来んかった。

だから日記にして残す

見ないかもしれへんけど


こうする事でしか

言う事が出来へんから……



勝手にこんなん言うて

すまんと思ってる

だけど、元々高校の時

までしか生きる事が出来ん

て言われてたこの命が

こうして十年以上も長く

生きる事が出来ただけで

家族に恩返しが出来たと

思てるから満足してん

自分の今まで過ごして

きたこの人生に……



日記書くのもこれで最後

になるけど、この日記を

読んで理解して欲しい


ほんまにごめん

でも感謝してる


今まで色々と支えてくれて

ありがとう



P.S.

このノートの一番最後

見てくれへん?

ずっと渡さなあかん物

渡せずにいたから……



――――――――――――――



「相変わらずアホやん……」

あいつらしいけど、日記を全て読み終えると小さく笑みを浮かべて呟いた。


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