第42話 森の先へ
レオンに暗殺者について相談した後、部屋で世界の理のことや鬼族のことを考える。
今まで、世界の理の一部を覆した内容ってなんだったっけ?
うーん……思い出してみる。
共想で職業を目覚めさせた時。
精霊の職業を目覚めさせた時。
転想で適性を発露させた時。
転想で魔石からスキルを獲得した時。
どれも俺は悪いことをしたとは思わない。
そして朧響から聞いた鬼族の扱いに、理と関係した予言。
夢があるのに職業がない人。
森に帰り守りたいと願う精霊。
魔物が落とす魔石スキルの獲得。
鬼族の予言……
これが世界の理だというなら、裏を返せば、
人や精霊に職業を持たせすぎたくない。
魔物のスキルを獲得させたくない。
鬼族と人を仲良くさせたくない。
そんな風にも考えられる。
「普通に考えれば神や女神が理を定めるよな?でもこの理は悪い方へ定めている気がする……これって世界の理を操作してる黒幕がいたりするんじゃない?なんてね、さすがに妄想のしすぎか。」
『………。』
イデアさんは理について相変わらず答えられないようだ。
ぐるぐると、同じ考えが巡り埒が開かない。
「よしっ!鬼族の里へ行ってみよう!」
『はい。』
しかし理の真相を確かめるのには協力的だ。
今日はもう遅い、出発は明日にしよう。
俺は明日に備えて布団に入る。
(イデアさん、おやすみ。)
『おやすみなさい。』
次の日の朝、
俺は『隠密』を使い、村を抜け出す。
森へ差し掛かった時、木の陰から、レオンが出てくる。
「ソウ。そんなに、急いでどこに行くんだ?」
「うわっ!?」
俺は驚いて声を上げる。
「うわっ!?って……暗殺者に狙われてるって話したばかりなのに、俺が目を離すわけないだろ。それに森でのことを話した時、何か隠していただろ?もしかしてと思って少し先回りしてみた。」
どうやら俺のことはお見通しらしい。
俺は鬼族のことを伏せつつ話す。
「実は森で人とは違う種族と知り合いになって、とても困っているみたいなんだ。僕の職業でその種族を助けたいと思ってて……でもその種族は人間を警戒していて、僕一人の時じゃないと出てきてくれない。他の人には頼れないんだ。黙って出て行こうとしてごめんなさい。でも行かないと。」
レオンは溜め息を吐き、
「はぁ……ソウ。俺は今回の件でソウが強くて賢いと思い知った。だから止めに来たわけではない。ただ、出掛ける前に言うことがあるんじゃないか?」
そう言って笑いかけてくる。
俺はハッとなり、レオンの顔を見て、
「ありがとうパパ!いってきます!」
俺は優しく理解力のあるレオンが父親で良かったと改めて思う。
「いってらっしゃい。ママには俺が説明しとくから任せとけ!」
……そこはあまり期待できないな。帰ったらエレナから説教かな。
「あと、もしも暗殺者が来たらそれもなんとかするから心配するな。」
レオンに任せておけば安心だな。俺は森の奥へ進んでいく。
振り返るとレオンの姿が遠目から小さく見える。もう一度、いってきますという風に手を大きく振る。レオンも手を振り返してくれた。
レオンの姿が見えなくなったところで、
「リュネアいる?さっそくで悪いんだけど鬼族の里へ案内して欲しいんだけど。」
するとすぐに、小さな光が現れて、
〔ソウが来たの!さっそく案内するの!〕
元気いっぱいのリュネアの後をついて行く。
森には魔物の気配が全然しない。
〔ソウがたくさん魔物倒したから森が平和なの。〕
「だから全然魔物と出会わないのか。なら鬼族の里へどんどん行けるな!」
〔どんどん行けるの!〕
………。
木々の隙間から夕日が差す。
(前回、朧響と別れた場所から村まで結構遠かったもんな。そこからさらに先か。)
「リュネア、あとどれくらいで着きそう?」
(もっと早く聞いておけばよかった。)
〔もう森を抜けるの!そこから少し進めば、鬼族の里なの!木々で隠されたような岩場にあるの!〕
「教えてくれてありがとう!」
(後少しなら、もうひと頑張りだな。)
『はい。』
イデアさんも応援してくれてる気がする。
日が暮れ始めた頃、森を抜ける。
森を抜けた先には、これまで見たことのない岩場が広がっていた。
42話 終




