第41話 不穏
次の日、俺はハロルドさんに呼ばれて村の広場へ行く。
広場では村人がたくさん集まっている。
「ソウ。こっちへついて来てくれ。」
俺は言われるがまま、ハロルドさんの後ろを歩く。
広場の中心でハロルドさんは立ち止まる。
「村人の諸君、本日は集まってくれてありがとう。魔物から村を守れた。皆が協力してくれたおかげじゃ。そこで、今日は祭りを開催したいと思う!」
ハロルドさんが村人の皆に視線を送る。
「いいぞー村長!」
村人たちから歓声があがる。
「村の外で魔物と戦った者。村の中で戦いに備えていた者。そんな彼らを村から出ずに信じていた者。村の皆、本当に礼を言う。」
ハロルドさんは頭を下げる。
「そして、皆ももう知っていると思うが、今回最大の功労者は、この者……ソウじゃ!」
ハロルドさんが俺の背中を優しく押し出す。
「よくやったぞ!」「まだ小さいのにすごいな!」「私たちの分まで戦ってくれてありがとう!」
村人からの喝采を一斉に受ける。
俺は少し照れくさくなったが、皆を見渡してこの村が無事で良かったと改めて思った。
俺は頭を下げて、そそくさと広場の中心から離れる。
村の皆は、飲んだり食べたり、踊ったり歌ったりと楽しそうだ。
「ん?あんな人この辺にいたかな?」
軽装な旅人という格好の、村ではあまり見ない人物に目を奪われる。
この村に来るのは、近隣の村の人たちか、ガレスさんたちみたいに村のために留まってくれる冒険者くらいしか来ないので何か引っ掛かる。
「新しく来た冒険者の人かな?」
俺は『識想』を発動する。
???
Lv43
種族 人間
職業 暗殺者
適性 暗殺者
スキル
???
ーーー
(暗殺者かぁ……このタイミングで現れるってことは、俺の職業のことが知られたか?)
魔物襲撃から暗殺者が村に来るまで、あまりにも早すぎる。村人が外部に漏らしたとも考えにくい。
(もしかして、どこかから監視されていたのか?)
もしそうなら油断ならないな。現れたのが暗殺者なら、
(俺を暗殺しに来たのか?……いや、未知の職業を持っているだけで暗殺は飛躍しすぎている気がする。けど、単騎で魔物をあれだけ倒せる八歳だと危険視されてる危険性もあるか。)
いろいろ可能性を考えてみる。
(いや……まだ決めつけるのは早い。偶然、ここへ来ただけかもしれない。)
念のためレオンに話しておいた方が良さそうだ。
(鬼族の里へ行くにしても、あの暗殺者が俺を監視しているのなら、人間と鬼族の関係を考えると簡単には動けないな。)
俺はさっそく家に帰り、レオンに先ほどの旅人風の暗殺者について相談する。
「なんだって?暗殺者がソウを狙っているかもしれない?そいつの顔はどんなだった?パパがさっそく話し合いに行って来る。」
声は冷静なのだが……レオンを見ると、鬼の様な形相で両手を組んで指を鳴らし、剣を腰に掛ける。俺が狙われているのかもと知り、殺る気満々である。
(待て待て待て、話し合いとは?)
俺は慌てて、
「パパ!まだ可能性の話だから。本当に狙われているかも分からないんだ。でも、もしもの時はパパを頼りたいんだ。」
レオンを必死に宥めて、
「そうか、パパを頼ってくれるのは嬉しいな。その暗殺者の特徴を教えて欲しい。」
相手の特徴を知らなければ警戒のしようがない。
「えーっと……あれ?どのような人物だったか何も思い出せない……。」
(暗殺者だから正体を隠すためのスキルでも持っているのか……?)
「仕方ない、ソウに近づく相手を注意深く見ておくさ。」
「ありがとうパパ。」
あとは鬼族の里のことだな。
寝る前に考えをまとめよう。
第41話 終




