第22話 意思のあるもの
『新たな機能を解放します。』
『意思疎通を獲得しました。』
「えっ!?会話できるの!?」
『はい。』
「やっぱり意思あったんじゃん!」
『はい。』
「たまにタイミング計ってた?」
『………。』
「なんだその沈黙は!」
『………。』
「えっ…これ聞こえてるんだよね?」
沈黙されると伝わっているのか不安になる。
『はい。』
「聞こえてるのかよ!」
(…もしかして簡単な返答しかできないのか?)
『はい。』
「…それはどっちの返事なの?聞こえてるってこと?それとも簡単な返答しかできない?」
『………。』
「………。」
俺も黙ってしまう。
よし、少し試してみよう。
俺は頭の中で、
(簡単な返答しかできない?)
『はい。』
「なるほど、声に出さなくても意思疎通はできる感じか。」
『はい。』
(これが意思疎通かぁ…意思…疎通…なのか?)
『はい。』
……これはまずい、考えたこと全てに反応されたら手に負えない。
「名前はあるの?」
『………。』
「えっと…名前がないと呼びづらいよね。」
『はい。』
(呼べれば名前はなんでも良いか。)
「意思だからイシさんと呼…
『いいえ。』
最後まで言わせて!?」
(うーん…意思…考え…発想…アイデア。)
(…ideaでイデアがいいかなぁ?)
『はい。』
頭の中に少し大きな声が響く。
気に入ってくれた…のかな?
(なぜか呼び捨ては失礼な気がするな。)
「ではイデアさん、できるだけでいいんだけど…俺が名前を呼んだ時にだけ反応してくれると助かる…いいかな?」
『はい。』
「ありがとう。今後ともよろしくね、イデアさん。」
『はい。』
「イデアさん、この世界について何か知ってる?」
『………。』
沈黙…肯定でも否定でもない。
(イデアさんの今後に期待しよう。)
『はい。』
俺は思わず笑みがこぼれた。
第22話 終




