第20話 護る力
「それじゃまたなノア。」
ガレスさんと共に部屋を出る。
ノアさんとの別れ際に目配せをされる。
(なんとかしてみせる。)
俺はそう決意して小さく頷き返す。
気持ちが伝わったのかノアさんは笑顔で見送ってくれた。
宿屋の主人に挨拶をして外へ出る。
するとガレスさんは後悔したような溜息をつき、
「ソウ坊、ノアから話聞いたか?…ノアは俺が油断したせいで怪我しちまったんだ。もっと俺に力があればノアを護ることができたのによ。」
さっきまでの元気がなくなっていた。
「ごめんな、こんな弱音はいちまって。こんな話されても困るよな…ソウ坊はまだ小さいってのによ。何故かいろいろと話しちまう。」
作り笑いをしてそう呟く。
俺はただ黙ってガレスさんの話を聞く。
(識想)
ガレス
Lv 31
職業 戦士
適性 騎士
スキル ???
(適性は…騎士、おそらく護る力。)
「ガレスさん…。」
俺はガレスさんの本心に呼びかける。
「ガレスさん…ノアさんや仲間を守る冒険者になりたいですか?」
「あぁ…俺は仲間が傷つかないような…いや、仲間だけじゃない…皆を護れる冒険者になりたい。」
ガレスさんの目には迷いがなかった。
その瞳に宿っていたのは、皆を護りたいという一心だった。
(うまくいく保証なんてない。)
(でも俺はガレスさんの力になりたいんだ。)
(共想。)
ガレスさんの想いが伝わり胸の奥が熱くなる。
『共想中…』
『完了。』
ガレス
Lv 31
職業 騎士
適性 騎士
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スキル 挑発Lv3
盾防御Lv3
薙ぎ払いLv3
カウンターLv2
(うまくいった!スキル多い!レベルや経験が関係しているのか…?)
(…って今はそんな場合じゃないな。)
「ガレスさん、ステータスを確認して。」
「なんだ?藪から棒に、ステータスを見たって何も……!?」
ガレスさんの目が見開く。
「なんだこれ!?職業が戦士じゃなくて騎士に変わってやがる!しかもスキルが四つ…!?」
(と言うことはスキルはレベルに左右されてないのか…って、だから今は違うんだって!)
悪い癖が出てしまう自分を諌める。
「これ…ソウ坊がやったのか?」
ガレスさんは険しい顔でこちらを伺う。
(もしかして…戦士のまま努力して護る力が欲しかったのか…。)
なんでもできる気になって調子に乗ってしまった。
俺は頭を下げて正直に謝る。
「ガレスさん、ごめんなさい。神様から授かった職業を勝手に変えてしまいました。一生のものなのに…。」
救いたいと想う一方で相手のことを考えているつもりになっていた。
「ソウ坊、謝るなって!そんなつもりで言ったんじゃないんだ。マジでビックリしちまってな。騎士とか格好良くて最高じゃないか!皆を護れるスキルも増えてるし言うことなしだぜ!誤解させてこっちこそすまん。」
俺は顔をあげるとガレスさんは嬉しそうに笑っている。
その笑顔を見て心の底からほっとした。
(本当に焦った…次回からは職業が変わるって伝えた方が良いかもしれない。)
俺は心の中で気を引き締める。
ガレスさんは嬉しそうだったのだが、
「あっ!」
俺はまた何かやってしまったのかとビクッとする。
「…ってことは盾や防具を新調しないといけないのか…やばい…稼がないと。」
ガックリという感じでガレスさんの表情がコロコロ変わる。
でも無理して笑っていた時よりはずっと良い。
そんなガレスさんにつられて笑顔になった。
「笑うなよソウ坊!格好良い装備を新調してやるからな!」
ガレスさんの明るい笑い声が村に響いた。
第20話 終




