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第三十三話 キャシーの過去

 短いです。

 1930年3月6日、ハワイ・ホノルルの病院でキャシーは生まれた。

 身長52㎝、体重3,146g、五体満足での誕生だった。

 彼女の父親はハワイ駐留の陸軍第二十八部隊に所属していた。軍内では優秀で、階級は中尉だった。

 そんな父親を見て、キャシーは憧れた。自分も父の様に合衆国の為に尽くしたい。そう考えて始めたのが、8歳の時だったと言う。

 そして彼女には、もう一つ尊敬していたものがあった。隣近所に住んでいた、リュウジ・オオハラと言う同い年の日本人だった。

 日本人にもかかわらず、英語がすらすらと喋れて、尚且つ差別的行為をするアメリカ人に対しても、何一つ不満を言わずに接していた。

 キャシーはそんな彼にいつの間にか好意を抱いていた。

 毎日遊びに行き、そのたびに新しい日本語を教えてもらって、15歳になる頃には日本人並に喋れるようになっていた。

 しかし、世界情勢はそんな彼女らの中を引き裂いた。

 1941年10月中旬、悪化する日米関係が原因でハワイにいた日本人が次々と帰国していった。オオハラ一家も例外ではなかった。

 帰る前日、リュウジはキャシーにこう言った。

『必ず、迎えに来る。』と。

 卑劣と教えられてきた『日本人』の中で、唯一信じる事のできたリュウジ、彼女は待っている。必ず迎えに来てくれると。

 しかし、彼女の希望は叶う事の無い幻想に変わってしまったのだった。

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