第十八話 大熊作戦―牙―終了宣言と米大統領激怒
今回は米本土に目を向けてみます。
1941年12月7日正午、アメリカラジオ周波数に突如、割り込み放送が入った。
『全アメリカ合衆国国民に継ぐ。本日ハワイ時間9時丁度、アメリカ太平洋艦隊泊地及びハワイ諸島は我々大日本帝國が制圧した。
卑劣なアメリカの陰謀に打ち勝つ為に、そして亜細亜諸国解放の為に亜細亜連合軍は米英蘭三ヶ国に対して宣戦布告を行った。白人優位主義はこの戦争を持って終了するだろう。
世界が平等になるその日まで我々は戦い続ける!』
アメリカ国内は衝撃に包まれた。特に軍は今まで日本にアメリカを攻撃する事は出来ないと豪語していただけに、半ば放心状態に陥った。
ワシントンDC
ホワイトハウス
大統領執務室
「どういう事だ一体!?ハワイが落ちたのは本当なのか!!」
こう怒鳴っているのは、アメリカ合衆国第33代目大統領フランクリン・D・ルーズベルトだった。3期目の当選を果たし、対日戦開始の前日に『日本にはアメリカ本土は愚か、ハワイを攻撃できるだけの戦力は無い』とラジオで言っていただけにショックは大きかった。
ルーズベルト
「欧州ではドイツ第三帝国相手に手間取っていると言うのに、太平洋の向こうの黄色い猿共にハワイ上陸を許したのか!」
粛々と聞いているのは、フランク・ノックス海軍長官とヘンリー・スティムソン陸軍長官の2人だ。
ノックス
「Mr.President、キンメル大将率いるアメリカ太平洋艦隊はハワイに向けて急行しております。5日以内には必ずハワイに到着出来ます。」
ルーズベルト
「奪還は?奪還出来るのか?!」
ノックス
「敵艦隊は、新型戦艦4隻を投入している筈です。主砲が16インチ(40.6㎝)だとしても、門数で圧倒出来ます。我が海軍には、戦艦ネヴァタ級2隻、ペンシルバニア級2隻、ニューメキシコ級3隻、テネシー級2隻、コロラド級3隻が有りますから、相手が3連装砲だとしても、勝てます。」
ルーズベルト
「陸軍はどうなのかね?」
少し落ち着いたのか、静かにルーズベルトは訊いた。
スティムソン
「はっ、陸軍としては海軍が敵艦隊を殲滅出来れば上陸も可能かと・・・」
その言葉の裏に、奪還が失敗すればそれは全て海軍の責任と語っていた。
ルーズベルト
「よし分かった。ノックス長官、必ずジャップの艦隊を殲滅しろ。これは大統領命令だ!」
ノックス
「はっ!キンメル大将にそう伝えます!」
大統領命令の下、ハワイ奪還作戦は開始された。
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