第十七話 太平洋艦隊引キ返セリ
時間を戻して、アメリカ太平洋艦隊に目を向けてみます。
時系列は戻り、12月7日午前7時5分(ハワイ時間)、アメリカ太平洋艦隊はグアム島に向かっている大日本帝國艦隊と亜細亜連合艦隊撃滅の為、マーシャル諸島を抜けようとしていた。
太平洋艦隊は、太平洋艦隊司令長官ハズバンド・キンメル大将率いる第三艦隊、猛将『ブル』の別名で知られる、ウィリアム・ハルゼー提督率いる機動艦隊が中核をなしている。
太平洋艦隊旗艦はペンシルバニア級戦艦1番艦『ペンシルバニア』が、機動艦隊はヨークタウン級空母2番艦『エンタープライズ』が務めていた。
ペンシルバニア 艦橋
約5日後にグアムに着く予定だが、会敵はそれより早くなるとキンメルは考えていた。
敵は空母を10隻以上持つ大艦隊らしいが、所詮空母は空母。戦艦に適う訳が無い。艦砲射撃で全艦火だるまにしてやればいい、とキンメルが思っていた時、
通信兵
「ちょ、長官!緊急事態です!」
通信兵が叫んだ。
キンメル
「どうした?ミッドウェーに日本艦隊が現われたか?」
最も現実味のある意見を出した。日本に遠征する能力は無い、出来てミッドウェーが限界と政府関係者だけで無く陸海軍人は思っていた。
しかし、報告は全く違うものだった。
通信兵
「違います!オアフです!オアフ島海軍基地が、日本軍の攻撃を受けているとの事です!」
キンメル
「な・・・!」
キンメルは言葉を失った。
ペンシルバニア会議室
「・・・であり、敵航空兵力は我々戦艦部隊が食い止め、敵艦隊に接近し艦砲射撃を実行します。」
これからの作戦を説明しているのは、太平洋艦隊旗艦ペンシルバニアの艦魂、ペンシルバニアである。
金髪に黒眼鏡、青い瞳が印象的だ。
現在、ここペンシルバニア会議室には、戦艦・空母の艦魂が集まっていた。日本艦隊並びに亜細亜連合艦隊撃滅作戦『オペレーションR』、ローズマリー作戦の最終説明を行っていた。
そんな中、1人の艦魂が会議室に飛び込んで来た。
「ペンシルバニア大将、緊急事態です!」
ペンシルバニア
「何があったのです、カリフォルニア?」
彼女の名はカリフォルニア、テネシー級戦艦2番艦の艦魂だ。伝令として、艦橋に向かわせておいたのだ。
カリフォルニア
「はっ、先程ハワイオアフ島より緊急入電が入り、フォード島海軍基地並びに陸海軍航空基地が日本軍の攻撃を受けていると・・・」
ペンシルバニア
「な、何ですって!」
一気に会議室が騒めく。
「何かの間違いでは?」
こう訊くのはコロラド級戦艦1番艦コロラドの艦魂、コロラドだ。
カリフォルニア
「平文で送られて来ておりますが、副数ヶ所から同様の電文を傍受しました。ほぼ間違いありません。」
「キンメル大将の判断は?」
次に訊いたのは、ネヴァタ級戦艦2番艦のオクラホマ。
カリフォルニア
「全員待機との事です・・・」
「何?!待機ですって!!」
ブロンド色の髪を乱暴に捲り上げたのは、ヨークタウン級空母2番艦のエンタープライズだった。
エンタープライズ
「ぐずぐずしていると、ハワイがジャップの手に落ちてしまうと言うのに、何をもたもたと!ジャップのオンボロ戦艦なんて、16インチ砲(40.6㎝砲)で叩き潰せるのに・・・!」
座乗しているのがブルならば、その船も似たような性格になる。『飼い主に良く似る』とは良く言ったものだ。
その時、艦内スピーカーから声が聞こえてきた。
『全太平洋艦隊乗組員に継ぐ。たった今、オアフ島より日本軍の攻撃を受けているとの情報が入った。これより全艦隊はオアフ島へ急行、日本艦隊を殲滅する。我がアメリカ合衆国海軍に栄光あれ!』
そう言うとスピーカーは静かになった。
それとは逆に、艦内は慌ただしくなった。
ペンシルバニア
「会議は一時中止します。全員解散!」
こうして、アメリカ太平洋艦隊はローズマリー作戦を中止し、ハワイオアフ島奪還作戦に変更した。
日米艦隊の衝突は近かった。
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