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『ズズズッ……ズッ。』
いつの頃からか、あの音を意識するようになっていた。
「あれは、なに?」
クラウドがびくっとしてぼくを見た。しばらく音の方を見上げていたが、やがて小さくうなずいて腕を組んだ。
「うん、そうだね。ぼくも知ってる」
ベインはトンネルの向こうに顔を向けて、言った。
「残響だよ」
クラウドが両腕をぐるぐると絡めて空を仰ぎ、深く唸りながら続けた。
「走ってるんだ!」
ぼくはベインの視線を追って、同じ方向を見た。暗闇の中には、何も見えなかった。
音はぼくたちを通り過ぎ、トンネルの終わりへと遠ざかっていった。そして通り過ぎた跡には、何もなかった。




