パパの稽古!?
パパさんの強さは?
「基本は出来てるだろ?さ、かかって来なさい。」
「うん!!」
ワタシはパパと裏の解体場で向かい合っている。それだけで冷や汗が出ているのが解る。パパは本気で少し大振りなナイフを構えている…それだけだ。
ワタシは左手に小太刀をぶら下げてジリジリと間合いを詰める。
「やっ!!」
掛け声と共に左下から斬り上げる。途中からは両手持ちだ。適度以上に緊張しているのが自分でも解る。剣速もいつもより少し遅い…変な力みが有るな…
パパは軽く躱した。
「緊張してるな?それでもそこの見物人よりは遥かに動けてる…大したモノだ…」
「余裕たね。」
「そりゃぁ、彩奈から殺気が感じられ無いからね。」
「解った…」
パパとワタシの決定的な違い、ワタシは殺気すら消す術を身に付けた。忍者は暗殺もする。殺気を出して暗殺なんか出来ないからだ。パパはワタシから殺気を感じて無い…パパは正面からの戦闘を得意にしている。今はパパの土俵…それでも、ワタシは忍者の末裔の娘だ!!殺気なんか出してやるもんか!!
今度は[宿地]で間を詰める。パパは目を見開き驚いた表情を見せるけど、対応しよぉとしている。やはり強いな…
ソコから[抜き足]で横に回り込む、そりゃ振り向くよね?
膝横を蹴る!!それだけで速さを少し奪える。
蹴った足を下ろしながら斬り付ける!!
「はぁっ!!」
「ぐっ!?」
それをナイフで受け止める。しかし、ワタシは止まらない、連撃を繰り出す!!苦し紛れの連撃と思われれば言う事なしだけど…
「あああああぁ〜!!」
かんこんこんこんかん!!
パパは完璧に凌いで見せた。その時にはワタシは距離を取っていた。
「正直驚いたよ…最初とは見違う動きだ…私の殺気に慣れたか?」
パパがそぉ言うと殺気が更に増した。粘り着く様な重苦しい殺気だが、もぉワタシには効かない…殺気くらい受け流せるからね。
「今度はこっちから行くぞ?」
一瞬だ、一瞬で間を詰められた!!
「くっ!!」
凄まじい連撃だ!!
かんかんかんかんかんこんかんこん!!
コレが八つ裂きと云われた男の力の片鱗?
瞬間的に八連撃!?ワタシは防ぐだけで手一杯だよ!!それでも腹を蹴れたけど…
「ふむ…全て防がれたか…こんな事は初めてだな…」
何やら周りが騒がしくなっているけど気にしない。
「そぉ?父親として鼻が高いでしょ?」
「いや…それより、防ぎながら私の腹を蹴った事に驚いてるよ…だが、少々力がたりなかったな。」
あんな軽い蹴りに気付くのか…
「あれは力の入ってない蹴りだからね。」
「牽制か…普通ならそんなことも出来ないハズなんだが…」
「おじぃちゃんならワタシの蹴り足を斬ってたよ?」
「それはまた凄まじいな…」
「今度はワタシから行くね!!」
ワタシは[抜き足]をしながら左右に動く、多分身体がぼやけて見えるか…
「んな!?」
この歩法を見たヤツ等が付けた名前が[分身の術]なんだけど…只の目の錯覚…周りも騒いでいる。その状態からの剣戟…受け切れる?
「やぁ!!」
四方八方からの剣だ!!
パパは受けるより逃げを選んだ!!ソレが正解!!でも…
ぶん!!
逃げた方向に逆足(左足)で踏み込み振り下ろした剣を跳ね上げる!!
躱せる間は無いよ!!
がつっ!!
パパは二本のナイフで、しっかり受け、そのまま後ろに吹っ飛ぶ!!
周りからは剣戟に負けた様に見えるだろぉけど…自分で飛んでいる、ワタシも使える[浮葉]って防御技だ!!あんな完璧には使えないけど。
パパは空中で体勢を立て直して着地して間髪入れずに向かって来て、みぎのナイフをワタシの胸に突き出して来た!!ワタシは木剣を捨て、左腋にその腕を抱え込み後ろに回り込…ませては貰えず、パパは自ら回転して組技をさせて貰えなかった。感も鋭いな…
「正直、恐ろしいな…ココまでの使い手だったか…」
「ワタシもパパが怖いよ。ワタシの技もほとんど通じないし…」
ワタシは落とした木剣を拾う。
「殺気が無いと云うのがココまでキツいとは思わなかったぞ…」
「来るのが解ってて後手に回るとは思わなかったよ…」
ワタシはパパに向かって走る。
右腰に挿していた木の枝を投げ付ける!!コレは躱されて当然だ…って弾いた!?結構な速さだったんだけどな…
それでも胴を薙ぐ様に剣を左から右に振るけど、パパは右の逆手に持ったナイフで防ぎ、左手のナイフを顔に突き出して来る。
木剣を捨てその左手のナイフを躱し、パパの左手首を左手で取り、巻き込みながら右肩に担ぎ、そのまま投げる!!ヤケに軽い!?パパは自分で飛んだ!?ヤバい!!
ワタシは手を離し、その場に伏せる。
ぶぉん!!
ワタシの頭が有った場所をナイフが通り過ぎる!!
パパってなんだよ!?
「危ないアブナイ、危うく腕を持ってかれるトコだったぞ?父親にする技か?」
「パパこそ娘の頭をかち割る気?」
「そのつもりだったんだけどな…」
「こわっ!!パパ怖過ぎるよ!!」
等と言いながら木剣を拾う。
「そぉ云う彩奈も、他のヤツなら何度もやられてたぞ?」
「パパ、余裕だね…」
「ギリギリだったぞ?」
「そぉは見えないけどね。」
そろそろお昼だ、コレが最後だね!!
パパとほぼ同時に間を詰める!!
パパはナイフを投げて来た!!
それを地面を滑る様に躱し、蟹挟みでパパを倒す!!そして立ち上がり足を極めたそのまま剣を刺せない。その前にパパの持ってたもぉ一つのナイフが脇腹に当たったからだ!!
これは負けたって事かな?
「ワタシ…負けたのかなぁ?」
「そんな事は無いだろ?最後のナイフは当たりはしたが刺さる程の威力は無かっただろ?」
「まぁそぉだけど…」
「お前はそのまま剣を突き刺せたハズだ。」
「殺し合いだったらそぉかもだけど…試合としては負けだよ…」
「そぉだな…そんな風にも受け取れるか…」
「コッチに来て初めてだよ!!技を全部凌がれて反撃されて冷や汗かいたのは!!」
「ヤケに嬉しそぉだな。」
「そりゃ嬉しいよ!!真剣勝負だったら負けてたんだもん!!久しぶりに勝てなかった相手が大好きなパパなんだもん!!」
「そぉか…」
頭を撫でて貰い満面の笑みが自然と溢れた。
「うん!!」
ワタシとパパはそれぞれ汗を拭き、汚れを落とした。
ソレから家族でご飯!!ママが屋台で買い込んでくれていた。
家族での最後の晩餐がコレかぁ…こんなのも良いかな!?
食後に馬車が来て、ワタシはパパとママとおねぇたんに抱き着いて、さよならを云えなかった…代わりに涙が止めどなく流れ、何も言えなかったんだ…
ママが優しく涙を拭いてくれておでこにキスされた。
「彩奈ちゃん、元気でね。風邪とか引かない様にね。」
「彩奈、たまには手紙を送ってくれよ。」
パパは優しく頭を撫でてくれた。
「うん。」
「彩奈ちゃん、寂しくなったらいつでも戻って来ていいんだよ!!」
「うん…」
またおっぱいに顔が埋まって息が…鳴き声も出ないからいっか?
少しして解放されるけど…今知った!!おっぱいは凶器です!!
「パパもママもおねぇたんも元気でね!!」
ワタシは涙を流しながらも笑顔を作り馬車に乗り込んだ。
馬車が進んで、涙で良く見えない家族の顔を目に焼き付けながら手を振った…見えなくなるまで…
道中、涙が止まるまでに少しかかった。涙が止まったら、御者台に移動した。見張りも兼ねてだけど…
「もぉ良いのかい?」
「泣いてた事、内緒ですよ?」
「泣かない方が薄情ってなもんですよ。」
「でも恥ずかしいよ…」
「その年齢で家族と離れるんです、泣いて当然だと思うけどね。私も貰い泣きしかけたくらいだしね。」
等と話してる内に、日も傾きケタタが見えて来た。
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