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西の魔女の森

アサルト村に帰り、グールの住処と思われる地下洞窟の中のグールも倒したと村長にカタルさんが伝える。


僕達冒険者の仕事が終わり、村はねぎらいを込めてささやかな食事会をする事になった。


僕は食事会を辞退してアーネストに帰る事にした。


今回のグール討伐クエは数が多いので必要部位は不要で各自の申告が優先される。


全体の討伐数をカタルさんが把握しているらしく、僕の申告を一緒にして貰う事にした。


「気を付けて帰れよ、大丈夫だとは思うけど」


「はい、ありがとうございます」


「また、組めるといいな」


「はい、また機会があればよろしく」僕とカタルさんは握手する。


お世話になったお礼を言って、アサルト村を出る。


僕を待っているジェシーの所に早く帰るため全力で走る、夜になる前に着くように。





「ジェシー聞いてくれよ、ブラックドラゴンを見たんだ。証拠の品も持って来たんだ」


ジェシーにピーズをあげながらアサルト村の事を話す。


「ジェシー、二刀流が何とか形になってきたよ。しかし、美味しい肉の魔物がこの辺にはいないんだよ」


足音が聞こえてきたレックスさんだ。


「ユーリがいない間、ジェシーの運動にと外壁の外に連れ出したんだが、物凄い速さで走るんだな」


「そうですよ、ジェシーは馬の中で一番早いはずです。それに体力もありますよ」


「暇な時にはブラッシングもしといたからな」


「ありがとうございます」


ジェシーは大事にされてるな、僕の友達だからな。


「そろそろギルドに行ってきます、後宜しく」


「ユーリ、そろそろ宿代切れるからな」


「分かりました、そのうち払いますよ」





「ギルマス、美味しいクエありませんか?」


「美味しいクエ?」


僕の今の気持ちを伝える。


「この頃、オーク肉を食べてないんですよ。この辺にはいないんですかね」


「なるほど、美味しいクエはオーク討伐クエの事か。西の魔女の森ならオークが沢山いるぞ」


おお、響きがいいぞ。西の魔女の森。ついに魔女に会える日が来たのか。


「魔女が住んでるんですか?西の魔女の森に」


「ああ。伝説では大魔導士のリリカ・クライスが住んでたと伝えられているが、本当かどうか分からない」


「その西の魔女の森関連のクエは無いんですか?」


「西の魔女の森は迷子になり易く出て来るのに何日もかかるので、森の中の様子を探るクエも出しづらいんだ」


そんな、冒険の匂いがしたのにクエ自体が無いなんて、オーク肉がそこにあるのに~。


「そうだ、特別クエを発行しましょうよ。西の魔女の森の探索、ギルマス権限で」


「無理だな、ここの領主権限がないと特別クエは発行出来ない」


「それならオーク肉は買値はいくらですかね?」


「確認してくる待っててくれ」


ギルドのテーブルに座りギルマスを待つ。


西の魔女の森に行くぞ。クエが無くても行ってやる。


「待たせたな、1体分で銀貨1枚だな、少し安くなってきたな」


ええ~、確か去年あの村、名前は忘れたが1体大銅貨5枚で喜んでたのにそれの2倍だ。


「思い出した、マルネ村で1体大銅貨5枚だったのに銀貨1枚で買ってくれるんだ」


「ああ、大都に近いのとオークが西の魔女の森限定だから高値で取引されてる」


「僕行ってきます、西の魔女の森に」


ギルマスは何か考えて。


「ユーリ、ついでに高熱の薬の素材を持って来てくれ、素材は分かるか?」


「分かりました、素材は分かるので持ってきます」


話は終わり、西の魔女の森に行く準備に市場に向かう。




市場で西の魔女の森の事を聞いたが、迷子になる、何故か入口に戻される、何回も同じ所を通る。


西の魔女の森に着いたけど、別に普通の森に見える。


「もう少し入った所に荷車を置こう。西の門から出るの僕だけだったな」


入口から数分の所に荷車を置く。後ろを振り返るが何も起きてない。


その場所から更に歩く、後ろを見る何も変わらない。更に歩いて後ろを見る、あれ荷車が見えない?


どうなってるんだ。更に歩いて行く、あれ入口に向かってる?荷車が見える。


反転してもう一度、森の中に進む今度は周りの景色を気にしないで。


5分ぐらい歩いて周りを見ると最初の時と景色が変わっていた。


後ろを振り返ると荷車が見える。歩いた分だけ荷車から離れた様だ。


次に剣で地面に跡を付けながら荷車に戻る。


「あれ、地面の跡が斜め後ろになっている。どうしてだ、後ろになければいけないのに」


どうなってるんだろう、しかし斜めを気にしないで跡を付けてみるか。


地面に後を付けて荷車の所に戻る。途中で何回も荷車が見えなくなったが戻って来れた。


荷車の横に立ち地面に付けた跡を見てみる。


途中で切れていて、その先は二度と跡が付いていない。


「原理は分からないけど、真っ直ぐに進めばその分進めるが、景色を気にすると迷子になるか入口に戻るのかな」


それなら、用意してきた糸を荷車の横の木に結んで森の中に入れば迷子になる事はない。


「途中で切れると困るから長い枝に糸を付けて歩こう」


高い場所に糸を結わいて手をあげて進む。直進を心がけて途中木を1回転してたるまない様にする。


振り返ると見えてもいい入口は見えなくなっていて糸も2メートル先からは切れてる様に見える。


振り返る時に付けた足元の跡を見て直進する。4時間ぐらい直進だけをしてきたが、糸が切れてる様には見えない。


近くの木に結わいて糸が切れて見える所まで戻る。糸が切れて見える所と切れてる様に見えない所の境界と思われる場所に目印を付ける。


目印に入口と分かる様にしてこの作業を続けた。


「オーク発見、二刀流回転斬り、二刀流連続突き」


2体のオークを倒して解体する。


「名刀ナイフで解体だ」


解体が終わりリュックに詰めると糸を持ち先ほどの作業に戻る。


このままだと糸が足りなくなるので、オーク1体を倒し街に戻る事にする。




ギルドでオークを買い取って貰い、市場で糸を買う。糸は切れにくそうなのと色を何種類か選んだ。


西の魔女の森に着くと干し肉を食べて森の中に入っていく。


目印の糸の近くを通つて迷子にならない様にする。


今は分かっているのは、森全体の端から数分までが普通で、その後が視覚によるご誘導がおきる地域になっている。


その地域が長く続くので迷子になる。真っ直ぐに進むことが出来れば普通の場所にたどり着ける。


まだ分かってないがドーナツのリングの部分が迷子になる地域だと思っている。


色々な方向に糸を結んで同じことの繰り返しをした。


最初の頃にコンパスがあれば迷子にならないと思ったが、材料が揃わない、そもそもコンパスが使えるかも分からないのでやめた。


地道でコツコツも好きなので、今は糸による検証に夢中だ。


「この罠ぽいのは、オークにはどうなるんだろう」


境界の所で見つけたオークに試してみたら、見事にこちらが見えないみたいなので一撃で仕留められた。


僕自身が迷子にならない様にして一撃で仕留める作業に没頭する。


ドーナツのリングの部分で戦うのに慣れて来た。たまに見えないはずなのに攻撃がくる事が有るが、左の初代で防御して右で仕留める。


荷車を引いても4時間ぐらいでアーネストに戻れるので頻繁に帰ると西の門番のおじさんと仲良くなった。


おじさんはジルトさんで西門は他と比べると人の出入りが極端に少なくて暇なんだとか、どうも上司に間違いを指摘したら西門に配置換えされたと、僕の知っている言葉だと窓際族。ここの言葉になおすと西門族なのかな。


「おい、ユーリ。稼ぎすぎじゃないのか。朝一番に来て、その後2回も来てるぞ、一日3回だぞ」


「いいじゃないですか、今稼いどかないと学園が始まると、貴族の子供に奢らないといけないんですよ。幾らあっても足りない位ですよ」


「しかしな、なんで平民が貴族の子供に奢るんだ。さっぱり分からないぞ」


「その辺は、僕の失敗と言うか提案のせいなので引き下がれないんですよ」


「まあ、俺は話し相手がたまに来てくれるだけで嬉しいがな」


ジルトさんは気のいいおじさんだ。左遷とかされなければいい上司にいつかなったのにな。


「そうだ、僕の料理をあげるよ。確か奥さんがいるんだよね」


「ああ、嫁と今は2人だ。子供は仕事で他の街にいる」


「2人分はあると思うけど、足りなかったごめんね。」


「おい、本当にくれるのか。嫁が喜ぶな」


僕は鞄から温まるんですを出して使い方を教える。


「便利な魔道具だな、温める事が出来るのか凄いな」


「シチューが入ってるからパンと食べると美味しいよ」


ジルトさんは鍋の蓋を開けて美味しそうだなと言って嬉しそうだ。


「それじゃ西の魔女の森に行くね」


「ああ、ありがとうな。明日この鍋持ってくるから」


「じゃあね~」


「気を付けろよ」


「ありがとう」



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― 新着の感想 ―
[一言] 「ユーリ、ついでに高熱の薬の素材を持って来てくれ、素材は分かるか?」 「分かりました、素材は分かるので持ってきます」 薬草なんて分からないからと、ポーターばかりしていたのに、いつのまにか、…
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