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王都で薬

「ジェシー、こんなに大きな魔物だったんだよ」


僕は、お昼にギルドに報告をして、暇にしているジェシーを城壁の周りで走らせた。


「それもね2体もいたんだ、強かったよ」


ジェシーが快適に過ごしてる様でよかったと思う。


街に来た時よりも疲れは取れているのか目に力がみなぎってる様に見える。


のんびり走る様に伝えたて髪の所を撫でる。


軽い運動を済ませ宿に帰る。


「おいユーリ、昨日帰ってこないから逃げたのかと思ったぞ」


「なんでそうなるの。仕事で街から出てただけだよ」


「ジェシーを置いて行ったのかと思ったぞ」


「置いていくわけないよ、友達なのに」


ジェシーに飼い葉を与えブラッシングする。


「そうだ、お金貰ったから払っとくね。はい、大銅貨7枚」


「おいおい、どうやって稼いだんだ」


宿に戻りながら話す。


「クエを受けたんだよ、ワイルドベアが農村に出るから討伐して欲しいと大至急」


「おいユーリ、ワイルドベアを倒したのか?」


「うん、倒したよ、まあちょっと強いのかなワイルドベアは」


「ちょっとなのかワイルドベアが」


首をかしげるレックスさん。


「まあいいじゃない、宿代も払ってもらえたんだから、部屋に荷物置いて何か食べてくるよ」


「そうだな、これで踏み倒されないで済むな」




「おばちゃん焼き鳥3本と野菜1本ください」


「あいよ、銅貨1枚でいいよ」


「ありがとう」


焼き鳥を買いスープの露店に並ぶ、人気が有るのか結構な数の人が並んでいる。


前の人の器の中が辛い系のスープなのか赤い色をしている。


お店のおじさんが「辛いけど大丈夫か?」と言ってきた。


「はい、大丈夫です」


市場に有るテーブルで食べる事にする。


「辛いけど美味しいな、人気があるはずだ」


肉が大きいのが合わないけど、これはこれでいいのかも。


焼き鳥は塩味で特にインパクトはないけど普通の味だ。


テーブルで食べている人が多くいるけど、男の人がほとんどだ。


僕の隣に何故か幼女が座って僕の焼き鳥を見ている。


周りを見回して両親を探してみるが、それらしき人が居ない。


「焼き鳥食べる?」


幼女は嬉しそうに。


「マキノが食べていいの?」


「いいよ」


食べ始めるマキノちゃんに質問してみる。


「ねえ、お母さんはどこに居るのかな?」


「え、今は居ないよ。旅に出てるよ、冒険者なのよ」


「そうなんだ、お父さんはどこに居るのかな」


「お父さんは仕事してるの冒険ギルドで」


お母さんが冒険者で、お父さんが冒険ギルドの職員なのか。


「マキノちゃんは誰か大人の人と一緒に来てるのかな?」


マキノちゃんは2本目を食べ初めて話す。


「うんとね、おばあちゃんが家にいるよ。今は寝てるけど」


なるほど家を抜け出してきたのか、連れて行ったほうがいいのかな。小さい子を1人で行かせるはダメだよな。


「マキノちゃんの家は何処なのかな?」


「わかんないよ」


迷子なのになんて心の強い子なんだ。普通泣いたり、叫んだりしてそうなのに、今は辛いとスープの味見をしている。


ギルドに連れて行くか、スープを受け取り急いで食べる。


「そうだ、僕の名前はユーリ、これから冒険ギルドに用事があるんだけど一緒に行かないかな?」


「どうしようかな、仕事してるお父さんの所には行っちゃいけないと言われてるの」


「それなら僕を冒険ギルドのお父さんに合わせてくれないかな、頼むよ」


「わかった一緒に行く」


容器を返して冒険ギルドに向かう。


途中眠くなったと言い出したマキノちゃんをおんぶしてギルドの中に。


受付のお姉さんに話す。


「すいません、この子のお父さんは居ませんか?」


「迷子なの、ギルドに届けられても困るのよね」


「違いますよ、この子マキノちゃんがギルドでお父さんが働いてると言ってたので連れて来ました」


「マキノちゃん、ギルマスのお嬢さんだ。ちょっと待ってて」


慌てて奥に行くお姉さん、ギルマスの娘さんか。


ドンと横の扉が開く、ビックリしたなもう。


「マキノなんでここに来たんだ。君は誰だ?」


「僕は、ユーリです。市場の露店で買い食いしてたら、マキノちゃんと知り合ったんですが、家の場所がわからないと言っていたので、父さんが冒険ギルドで働いていると伺いましたので一緒に来ました。眠たいと言うのでおんぶしました」


ギルマスは「ハアー」と息を吐いて安堵する。


「ありがとう、ユーリ。マキノを連れて来てくれて、まさか家から抜け出すとは」


「寂しかったんじゃないですか、お母さんが冒険者だから」


「え、家内は商館の売り子をしている」


「マキノちゃんが冒険者で今は居ないみたいの事言ってたので冒険に出てるんだと思いましたよ」


「バターン」


ギルドのドアが凄い勢いで開いて壁に当たる音に入口を見る。


禿げたおじさんが、凄い形相で入っきた。


「おいギルマス、急いで王都に行ける者はいないか?」


入って来た勢いのままギルマスに問う、禿のおじさん。


「おい、先に説明しろ、何があったんだ?」


「俺の息子が病気になって、医者の話だと王都の薬屋なら在庫があるはずだとそれで王都に誰か薬を買いに行ってくれる者を探してる」


「今からか、どんなに急いでも6日はかかるぞ」


「それじゃ間に合わないかもしれない、それでも急いで行ける者を探してくれ」


「しかし、この時間だと冒険者は見つからない。それと王都まで行って帰って来るの無理だ体がもたない」


「僕が行きます」


「君には無理だ」


「僕、馬を持っているので急いで行ってきます」


ギルマスがハットして気がつく。


「そうだ、馬の方が断然速い。ユーリ、馬を持ってるのは本当か?」


僕は大きくうなずく。


「はい、宿屋にいますよ」


禿のおじさんが言い出す。


「こんな子に任せることは出来ない。馬を貸してくれ誰か乗れる者に行かせる」


「おい、今はユーリしかいない、任せた方がいい」


「こんな子に任せれるか、まだ私が行った方がいい」


「それじゃ僕帰りますね」


「おい待て、馬を貸せ」


僕の服を掴んですごむ禿おやじに僕も言い返す。


「僕の馬は誰にも貸しません、おじさんが自分で行くのなら他の馬を用意して行ってください。それに僕が行くと言い出したのは早く薬があれば助かるかも知れないからで、おじさんを満足させる為ではありません。それとも僕が行く事を許しますか?」


「ユーリに任せよう、馬も用意できないし、ユーリの言ってる事は正しいぞ」


「ああそれと、僕のジェシーなら1日もかからず戻って来る事が出来るかもしれません。急いで王都とアーネストの門の緊急入国許可書の用意と絶対に間違えないで薬屋まで行ける地図か、案内を用意してください」


僕の勢いに押されて、「わ、わかった」とどもりながら頷いて急ぎだす禿おじさん。


「おいギルマス、緊急の入国書の用意をお願いできるか?俺は地図ともしもの時の案内を書く」


「わかった」


急いで書類を用意に向かうギルマス、禿のおじさんは紙に地図を書く。


僕は急いでジェシーを連れてこないといけない。


「僕は、ジェシーを連れて来るから、全て用意しといてよ」


2人に告げて走り出す。遠くの方で禿のおじさんの声が微かに聞こえる。


「おい、どこの宿に・・・・・・・・もういない」




「ジェシー、急ぎの冒険だよ。この仕事は時間との闘いだから、帰ったらゆっくり休もう」


ジェシーに乗り冒険ギルドについて、薬を買って戻って来る為の準備をしている二人を待つ。


「夜通し走る事になるけど頑張ってね」


ジェシーと話していると二人が出てきた。


「これが緊急通行書、それと地図に案内も書いといた」


「病名と必要な薬の名前も書いてある、無くすなよ」


準備は終わりみたいな顔をしている禿のおじさんに催促する。


「おじさん、お金が無いと買えないよ」


「あ、忘れてた。ギルマス貸しといてくれ金貨1枚だ」


急いで取りに戻るギルマス。


「いいな、全て用意したんだから急いで帰って来いよ」


今、お金忘れてたのに偉そうに・・・




「ジェシー、よく頑張ったな。少ししか休めないけど待っていて」


乗合所に着いた僕は飼い葉と水を用意してすぐに門番に話をすために走る。


「すいません、緊急入国許可書です。薬を買ってすぐにアーネストに帰ります」


僕の話を遮らずに聞いてくれた門番がすぐに門を開けてくれる。


「君、薬屋の場所は分かるのか?」


「分かりませんが、地図があります」


僕は門番に地図を見て貰う。


「近いぞ、曲がる所がここから見える。だいぶ先に長い煙突が見えるなそれが地図にも書いてある目印だ」


「はい、見えます」


「そこから8軒目位にある、扉が豪華なのですぐに分かる」


「ありがとうございます」


お礼を言って走る。今のところ王都に早くついてる、このまま急げば1日はかからない。


「ここを曲がって8軒目、扉が豪華・・・あった」


扉を叩いて「すいません、急患で、薬を売っってください。アーネストから来ました」


建物の中で物音がして扉に近づいて来るのが分かる。もう一度要件を言う。


「急患です、お薬を売ってください」


扉が開いて初老の男性が僕を見降ろして。


「何か病気の事が書いてある物はあるかな?」


僕は急いで鞄から診察書と手紙を出して渡す。


確認すると慌て出して僕に告げて建物の中に急いで戻る。


「すぐに用意するからそこで待つように」


入口から男性が奥の部屋に向かうのが見えた。


「確かここにあったはず・・・・あった」


「これが薬だ、急いで持って行きたまえ」


「はい、ありがとうございます。これ料金です」


僕は、薬代の料金の金貨1枚を渡す。


「君、多すぎるぞ、今お釣りを」


「いえ、迷惑料込みで受け取ってください。ありがとう」


僕は返事もきかないで走り出す。


「おい、君」


走りながらもう一度お礼を言う。


「ありがとう~」


見えてきたぞ。


「ありがとうございます、買えました」


「それは良かった、無事に届けなさい。頑張れよ」


門を開けて貰いお礼を言う。


「門番ご苦労様です、お陰で早く帰れそうです。ありがとう」


後ろから「頑張れよ~」と聞こえる。


「ジェシー、済まないが急いでくれ」




「お待たせお薬です」


僕の声にテーブルでウトウトしていた禿のおじさんが僕に気がつく。


「君、もういって来たのか?」


「話は後です。薬をどうぞ」


薬を受け取り「ありがとう」と言ってギルドを出て行った。


僕の声が聞こえたのか、中からギルマスが出てきた。


「もういって来れたのか、それで奴に渡したのか?」


「はい、お帰りになりました」


「ユーリ、ありがとう。薬もだがマキノを連れて来てくれて、お礼がまだだった」


「マキノちゃんは大丈夫でした」


「ああ、元気だよ。焼き鳥が美味しかったと言ってたよ。それに母さんは冒険者じゃないと教えといた」


僕もジェシーも疲れたので帰る事にする。


「僕帰りますね。もう限界です」


「そうだな、ゆっくり休んでくれ」






ゆっくり休んだ。時折ジェシーに飼い葉と水を用意しただけでよく寝た。


「お腹すいた、最後食べたの焼き鳥だ・・・1日半位食べてない」


ジェシーを撫でて「ご苦労さん、疲れはとれたかい」


美味しいのかな飼い葉は、僕も何か食べに行こう。


「すいません、肉少な目のシチュー売ってる店有りませんか?」


野菜の露店のおじさんに聞いてみた。


「肉少な目がいいのか、それならあそこの青い服を着た男性の店が肉が少ないぞとお客に言われてるな」


「ありがとう、この果物に見えるのは美味しいですか?」


「これか、ピーズて名前の甘い果物だ。とても美味しいよ」


甘いのか、これいいかもな。


「ピーズを2個ください」


「買ってくれるのか、2個で銅貨1枚でいいか」


「はい、銅貨1枚です」


「ありがとう」


「ありがとう、また買いに来ます」


お礼を言って、シチューを買うのに並ぶ。


「ピーズか見た目、桃に似てるな、甘くておいしいのか」


あれ昨日もこの席に座った。周りを見渡しやっぱりこの席だ。


昨日じゃない、一昨日だ。


王都までジェシーに頑張ってもらった、街道沿いは魔物があまり出ないので遭遇する事はなかった。


カルテド方向と王都の街道の交差するところで野営している人達は困っただろうな。


行きも帰りも僕が通ったから慌ててたな。一応「すいません」と謝ったからいいか。


お腹に沁みる、ポワーンとお腹が温まる感じで幸せて感じかな。


これからどうするかな・・・、ジェシーにピーズをあげてギルドに行こう。

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