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┗見ている者 彩度の断片

●2025年10月1日全編書き下ろしノベル7巻&8巻発売

◇予約ページ◇https://tobooks.shop-pro.jp/?mode=grp&gid=3106846

◆攻略対象異常公式アカウント◆https://twitter.com/ijou_sugiru?s=20/


枠を組みながら、彼女を想う。

もうすぐ、もうすぐ彼女に会いに行ける。だから早く、早くしなければと思うけど、

中々そう簡単には出来ない。昔から、僕は何をするのも遅かった。

全然器用じゃなくて、何も出来ない。得意なことは何かと聞かれても、答えられない。

目立つ短所はいくらでもあるけど、長所は何も無い。

好きなものはあるけど、得意だなんて言えない。

枠を一度机に置いて、窓を空け外の景色を見下ろす。

下に彼女がいたら良かったけれど、そこには誰もいない。

ただ、人が行きかっているだけだ。



「ミスティア、きみはいま、どこにいるの」


目を閉じて、彼女を思い描く。

彼女は、変わらず女神のように美しい。


毎日、毎日彼女のことを考え、想いを告げる間に、

僕はふと、疑問を感じることがあった。


……どうして彼女は僕を見てくれないのだろう。


僕はこんなに彼女を見ているのに。彼女はちっとも僕を見てくれない。

見るのはいつも僕じゃない。笑いかけるのはいつも僕じゃない。

僕ばかりが、彼女を見ている。


初めはそれでいいと思った。僕とは釣り合わないし、

住む世界だって違う。だけど最初に彼女が話しかけて来た。

最初に僕を見つけたのは彼女の方だ。

ずっと日陰にいた僕を見つけたのは、彼女だ。彼女が僕を見つけた。

これは、とても不公平なことだと思う。

僕はいつも彼女を見て、彼女の事を考えているのに。


枠を取る手に力が入り、軋む。



……おかしい。彼女はおかしい。もしかして、妬かせようとしている?

ノクターの子息は転入してきた令嬢にかかりきりなのに、

どうして君は奴のことばかり気にする?

ハイムの子息と楽しそうに話す? ネイン家の令嬢と仲良くする?

ネイン家の令嬢には兄がいる。もしかして、兄と何かあるの?


僕はこんなにも君を想っているのに。

僕ばかり君を好きで、想いを贈っているのに、

君は僕には何もしてくれない。

どうしたらいいんだろう? どうしたら、君は僕を見る?


叩き付けるように黙々と腕を動かしていると、ノックの音ではっとする。

僕の部屋の、扉が開いた。

●2025年10月1日全編書き下ろしノベル7巻&8巻発売

◇予約ページ◇https://tobooks.shop-pro.jp/?mode=grp&gid=3106846

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― 新着の感想 ―
「中々そう簡単には出来ない。昔から、僕は何をするのも遅かった。〜好きなものはあるけど、得意だなんて言えない。」あああ〜!!胸を張れる経験がない世界、暗い空に差した虹色のミスティアちゃんという光に…魅せ…
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