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2917話 急に現れて、急に帰っていきましたね。


時間にしたら、実はそんなに経っていないと言うか……暫しの交流の後、再び仕事を再開。少しだけ仕事に集中して、机の上から目線を外していたら……シャボン玉クラゲさんは、居なくなっていた。


恐らく影の精霊が何かしらの対応をしたのだと思うのだけど……急に居なくなると、ほんのり寂しいと思ってしまう。出会った時は、『面倒事だ……早く帰ってくれないかなぁ。』とか思っていたのにね。人間って不思議ですね。


これアレだね。シャボン玉クラゲさんに触れてしまったからそう思うのかもね。あの独特というか……不思議だけど心地良い触り心地を知ってしまったから。


人間、一点でもステキとか心地良いポイントを見つけてしまうと……何かその存在から離れたくないと思ってしまうよね。……物理的、精神的暴力を振るうパートナーや親から離れられない人って、こう言う心理なのかな。


暴力的な事を振るわれた後の優しさ。昔優しくしてくれた思い出。他人に見せる優しい姿。単純に見た目が好み。……もっと極端な事を言ってしまうと、家族やパートナーって言う『関係性』。


……シャボン玉クラゲさんの触り心地から、何故重たい内容の話を考えてしまっているのか。それだけ魅力的だったって事なのか。


流石と言うか、依代とはいえ神様を触れ合ってしまったらこう言う事になってしまったのかもなぁ。触らなきゃ良かった。


……いや、私がこんな変な思考をするのは、今に始まった事ではなかったな。シャボン玉クラゲさんのせいにするのは、間違っていますね。不敬過ぎるよ、私。ごめんなさい、シャボン玉クラゲさん。


「あれ?夜風さん……あのフニフニしてそうなステキな、多分精霊さんみたいな存在は?」


変な思考は、軽く頭を振って追い出して……時間にしたら、五分ぐらいの交流だったのかなぁ……とか思いつつ、仕事をしていたら……通りすがりの方に、そんな事を聞かれた。


まぁ……シャボン玉クラゲさんが居た時に私の近くを通って来る人って、基本そう言う目的ですよね。


あれ、だったら五分は流石に言い過ぎ?シャボン玉クラゲさんとは、十分ぐらい交流時間あったって事?


少しどうでも良い事を考えつつ、声を掛けてくれた方……ぶっちゃけ、あまり交流はない女性職員さんに声を書けられた。ええ、すっごくビックリしました。心臓が跳ねるみたいに、大きくドクンッと脈打った。咄嗟に現実逃避を挟んでしまう程度には、ビックリしてしまった。


「いつの間にか、帰られましたよ。」


シャボン玉クラゲさんが、実は神様である……って事は、黙っていよう。


いや、上司には後で報告しますけどね?だって、シレッと現れたとは言え……私の机の上に、神様が居たのでね。影の精霊が報告入れてそうではありますけど……それはそれって言うか。


「そう……とてもステキだったから。良かったら触らせてもらおうかと思ったのだけど」


相手神様なんですよ、と言う言葉は……私の乾き気味の愛想笑いで掻き消えた。いや、その女性職員さんを困らせたかったとかそう言う意図ではなく。いや結局言っていないのですけど。


シャボン玉クラゲさんが居ないと分かると、そんなにハッキリしたリアクションを取った訳じゃないけど……私の側から離れる時に、さ。女性職員さん、心なしか悲しそうと言うか、寂しそうな背中だった。


ごっ、ごめんなさい。クールな見た目の方から発せられる、この何とも言えない悲しそうな雰囲気って……ソワソワしますね。


いや、私が謝る事ではないのは分かっているのですけど……何故かこう言う時って、咄嗟に謝罪が出てくるんですよね。多分良くない事だよね。


……反省した所で、今後も絶対出ると思いますけど。いつもの事ですから。


って、良く見たら……あの女性職員さんと私の会話を聞いていたのか、何人かの職員さんが、あの女性職員さんと同じ反応をしてる。


まぁ、うん。そうですよね。



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