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19話 良く人材見付けてくるなぁ。


影の精霊にナビゲーションしてもらいながら、目の前に黒ずくめが現れたら伸して無力化していく方針で、私は最前線に急いだ。


…好戦的に交戦している訳ではないが、先程の毒の例もある。下手に意識を残したままにしておくと、後が怖いからね。体の傷なら、私で治せるし。…影の精霊に負わされた心の傷は、無理だけど。


「失礼な。今日の空気椅子の兄ちゃんらと、マッサージで凝り固まった脂肪を解して美ボディに近付いた姉ちゃんは、それほどネッチョネチョに絡んどらんで!?」


「あの目が光ってた人お姉さんだったんですか!?」


影の精霊は言わない事があるだけで嘘は言わないと分かってるけど…ギリギリ男性でも通りそうな長身で、何か良く分からないプレッシャー感じたし、顔下半分隠してたし、声も出さなかったから分からなかった。プロだからか知らないが、身のこなしに女性独特な雰囲気を感じなかったし。…私もまだまだ勉強不足って事か。


「女性って言うのは…まぁ、分かりました。でも、外でマッサージ始めるのはどうかと。…いやまぁ、昔わたしもされましたけど。」


いつされたかは覚えてないけど…何か良く分からないタイミングで外でマッサージされたのは何となく覚えてる。


「あの姉ちゃん、脂肪を消費して物質を転移させる先天性加護(ギフト)持ちやからかかなり脂肪がガッチガチでなぁ。いくら先天性加護(ギフト)を発動させたら脂肪がなくなる言うても、皮は残るからなぁ…服の下、結構凄い事になっとったで。」


「デリカシーのない事言うなバカ。」


つまり、あの人が影の精霊が言っていた置き引きや引ったくりの要的人物って事か。確かに、食事を摂っても直ぐ消化されてエネルギーになるわけではない。最低でも半日は待たないと、いくら脂肪分を食事で接種したとしても体に脂肪として蓄積されないだろう。…でも、一度体内に蓄積する脂肪となったら、その先天性加護(ギフト)は強力だ。何せ、脂肪とはいえ自身の体の一部を捧げている訳だからね…そりゃ強力だよ。…まぁ、脂肪も体外から減らしすぎると何かヤバイとか何とか聞き齧った気がするが。


対象に接触しなくてはいけないやあの目の発光は、その強すぎる先天性加護(ギフト)へ神々が与えたペナルティーなんだろうか。…そう言えば最近夢の中に神様的な…公務員みたいな人達出てこないな。まぁ、出てこなくても構わないが。もっと言うなら、寝不足になるから出てきてほしくない。


「脂肪管理が大変そうですね、それ。」


「ほんまなぁ。にしても、あの皮の余り方…あん人、赤ん坊ぐらいの子供を自分等の所に転移させたんやろうか?」


そう言うの良いから。色々想像してしまうから、そう言うの良いから。…ここ数年の内で、赤ん坊や小柄な幼児が行方不明ってニュース聞いた事ないが、何もニュースで報道されている事が全てと限らない。


「そう言えば、お嬢さん今日は武器違うんやな。」


「へ?…ああまぁ、ちょっと思う所がありまして。」


いつも使っている棒は狭い所だと分が悪いと思い、代わりに今はガントレットを使っている。ただ私は蹴りや投げ技メインだから、基本は防具として使ってる。…棒以外の私の手持ち武器は他のだとナイフとかで、攻撃力は高いけど防御力が心許なくて…。


…ナイフ刺された事に対してちょっと警戒して防御力重視した結果、こうなった。盾にしなかったのは、盾はあんまり扱った経験がないから。簡単な話、棒を持った状態で盾とか構えられないから。普通に邪魔だし。


「何の変哲もないただのガントレットやけど、お嬢さん気に入ってくれたみたいやなぁ。」


「ええ、まぁ。…今更ですが、本当に何の変哲もないただのガントレットなんですよね?」


緊急時だからスパッと頭から抜けていたが、影の精霊はナチュラルに呪いの品を渡してくるからな…だ、大丈夫だよね?


「大丈夫や、呪いの品はウチから手渡すって決めとるから。」


「…微妙に安心できないけど、取り敢えず安心できたからまぁ良いや。」


…今後影の精霊から手渡されるアイテムには警戒しておこう。




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