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129話 笑う場面ではないのだが。


アルベロ先生のあっけらかんとした態度にモヤッとした気持ちを抱えつつ、そして自分の考えに内心で苦笑いをしつつ…購買でお昼ご飯を買って、一食分をアルベロ先生に差し入れてから、私はアルベロ先生の部屋を後にした。


…ああ、うん。脳内で自分の一人ツッコミが地味に聞こえてくるけど…私は勝手に部屋に来て、勝手に話したのに、私から返せたのはお茶を一杯淹れただけ…それは、アルベロ先生が気にしないにしても、私が気になってしまう。だから購買でお昼ご飯買ったのだ。


「個人的ツッコミとしては、そこはお嬢さんの手作りやないんやね?って感じなんやけど…その辺は、どうお考えで!?」


「どう言うテンションなんだよ影の精霊…単に面倒だっただけだよ。」


普通にそこそこ親しいだけで何の関係でもない相手から手作りの弁当渡すとか、渡す側にそう言う意識がなければ無理だろ。後、今朝起きた段階で普通にアルベロ先生相手に手作り弁当を差し入れる発想がなかった。作りすぎたオカズ差し入れるイメージしか湧かねぇよ。


「お嬢さんらしいなぁ。…あ、そやそやお嬢さん。今日はお休みな訳やけど、今日はギルドの方に顔を出した方がええと思うで〜。」


「え…何でまた。」


影の精霊の言葉に怪訝な気持ちになりながら、それでも今までが今までなだけに拭いきれない嫌な予感があったので、私は気持ち急ぎ足でギルドに向かった。…あ、普通に徒歩です。転移魔法使おうとしたら、一回アルベロ先生の部屋に戻らないといけないので。




タイミングが良いのか悪いのか、私がギルドのエントランスに入った瞬間、ギルド職員を突き飛ばして暴れだした瞬間だった。


咄嗟に私は駆け出して、暴れだした男性の足払いをして体勢を崩し、腕を後ろに引っ張りながら床に押さえ付け、いきなりで状況が把握できない状態で影の精霊に拘束させた。…良し、これで取り敢えずは大丈夫…かな。


「はぁっ!?ンだよコレ…離しやがれ!!」


私がふぅ…と溜め息を吐くまで、水を打った様に静かだったが…やっと周囲が状況を把握した様で、見る見る間に周りが騒がしくなっていった。勿論拘束した男性も叫び声を上げながら暴れだしたのだが…影の精霊に拘束されたら、暴れた方がどんどん体に影の精霊…じゃなかった、縄?が絡んできて、抜け出せなくなっていくんだけど…知らないって、怖いなぁ。


「すすす、すみません!!き、今日の昇級試験で、思っていた結果にならなくて…。」


私が、男性に対して静かに哀れみの目を向けていたら…どうやら私が拘束した男性のパーティーメンバーらしい男性が、慌てた様に私に話し掛けてきた。


「ううん…この辺の冒険者さんは、礼儀や人情のある良い人だと思っていたのですが。」


私も、たまに昇級試験に落ちて落ち込んでいる人を見た事あるけど…ここまで荒ぶってなかった。まぁ、気持ちは分からなくもないけどさぁ…何か、呆れてしまう。


「っざけんな!!俺はちゃんと条件を満たしただろ!?何で昇級どころか降格処分なんだよ!!」


「降格?」


哀れみのに呆れを混ぜた目を向けていたら、拘束していた男性が吠えた。昇級出来なかったのは分かるんだけど、降格って…私は今まで会った事ないわ。えぇ…どんな状態なの。


「いやぁ、面白そうやから密告してみたんやけど…思った以上やったね!!」


彼を拘束していた影の精霊からニュイッと体が生えて、何とも腹の立つ煽り顔をしていたので…全く関係ない私も少しイラッとした。


「オメェの仕業かぁぁっ!!」


分かる…その気持ち分かる。もう、分かりすぎて辛いわその気持ち。それとこの人がやったらしい所業は、話を聞いていないから良く分からないが…その気持ちは凄く分かる。


「心中お察しいたしますが、暴れると痛いでしょう?大人しくしてください。」


「こんなん痛い訳ねぇだろバカにすんなっ!!」


いや、そりゃ影の精霊に体を拘束されている関係で、体は痛くないだろうけど…自身を拘束している存在に対してキレてジッタンバッタン暴れている様が…もう何て言うか、今までの所業を水に流せてしまうくらい滑稽で…この男性は気付いていないけど、もうギルド内が地味な笑いに包まれている。


あ~…これは、無意識に周囲のざわめきが気になって、ただでさえ気が昂ってるのに、余分にキレてる感じなんだろうか。分からないけど。




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