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118話 言い出しっぺだからかな。


昼休憩に、誰でも利用できるギルドのフリースペースでまったりしていたら、どことなく変なテンションになってるのが伝わってくるルナさんが、こちらに近付いてきた。お、おう…私が知っている学生時代とは、何やら雰囲気が濃くなった感じがする。


「コトハ、キャンプ行こう。」


「と、唐突ですね。」


「最近室内に居すぎな気がするの。大自然の息吹を!!感じたい!!あ、後サンドイッチありがとう。美味しかった。」


「い、いえいえ。」


ジェスチャーでルナさんに断りを入れてから、私は自販機でルナさんと自分様に飲み物を買った。


ルナさんの雰囲気に気圧された私は、少しだけルナさんから離れたかったし…ルナさんはルナさんで、私から離れた事で少しクールダウンしたみたいだ。


「あ、ジュースありがとう。…ごめん、ちょっと変なテンションになってた。」


「落ち着いたようで、良かったです。…そう言えば、ルナさんからは夏にどこか出掛けようって話を前からしていましたね。」


ふと、少し前にルナさんに言われた言葉をぼんやりと思い出した。…うん。いきなりの申し出でビックリしたけど、久しぶりに友人水入らずでキャンプと言うのも、良いかもしれない。


「はっ…そう言えば、僕ってばそんな事言ってたね!?」


「…忘れていたんですね、分かります。」


まぁルナさんの事だから、あの時の言葉も勢いとノリで言ったんだろうけど。でも、その勢いとノリで言った事を実行に移せるんだから、ルナさんは凄いんだよね。


…私の周りには、凄い人が多いんだよなぁ。私もその人達から色々学べば、こんなに色んな事でウジウジ悩まないで済むのかなぁ。


「取り敢えず、どこでキャンプするかは僕が決めとくよ。良く外に泊まるし。」


「お願いします。すみません、私本当詳しくなくて。」


ルナさん的に言う『外に泊まる』と言うのは、要するに依頼で野営をする事があるって事だ。…まぁ、前の話を聞いていたら何となく分かると思うけど。


私達の会話を聞いていた周囲の…ギルドの関係者が私に向ける目が二種類変わった。コソコソと「ギルド職員なのに…。」とか「これだから…。」とか聞こえてくるが、奥の方のコソコソは…うん。


「あ〜…コトハだからねぇ。」


「その生温かい目線止めてくれません?」


ルナさんと同じ感じの、何とも言えない生温かい目を向けてくる知り合いの方々に、私は何と言うか…色々な気持ちを込めて、目線を逸らした。


私が行く所は、別に野営が出来ない訳ではないのだが…如何せん私は、転移魔法により普通なら泊まりになる仕事を日帰りで終わらせてしまう。…仕事は早いけど、良くも悪くも泊まったからこそ味わえる醍醐味は、全く味わえない。基本的に武闘部の仕事は、日のある内に終わらせるから…たまに夜中の短い時間に仕事をする事あるけど。


「コトハは、基本仕事優先だもんねぇ…ふふ、任せて!!何ヵ所か良い所知ってるから。由榎ちゃんにも伝えとく!!それじゃあ、またねっ!!」


「はい、また。」


ルナさんの屈託のない笑顔に、私は苦笑いを返した。ルナさんに任せっぱなしで、悪いなぁって思ったからだ。…私も、何か返せる事はあるのだろうか。


燃やすと防虫や防魔の香りが立つ香木とかは…私達だったら結界でどうにかなってしまうし、キャンプ用品とかはルナさんの方が詳しそうだし…やっぱり、ご飯ぐらいしか私は使えないな。


「へぇ…夜風さん、ルナちゃんともう一人の友達とでキャンプ行くんだね。」


「は、はい。」


キャンプご飯どうしようかなぁ…と考えていたら、顔は知ってるけど名前は申し訳ないが知らない男のギルド職員さんに、いきなり話し掛けられてビクッとした。…え、えっと…事務部の中で見た事あるから、多分事務部の人…だと思うけど。


…何で私は話し掛けられたんだ?




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