エピローグ
「さおり様ー、行きますよー」
翌日。朝は片付けやなんやらして、今はもうお昼。
あのあと、さおり様は私が寝入ったのを見計らって、また飲みに参加した様だった。何故わかったかというと、朝の片付けの時に普通に転がっているのを発見したからだ。
昨日の事がいろいろと台無しだなんてことは思ってはいない。本当に思ってない…………少しだけ思ってしまった。
片付けの後、普通に解散。朝野さん達に挨拶。そして、今私たちは帰ろうとしているところだ。
「はいはーい」
他の神様たちと話を終えてこちらに向かってくる。そんなさおり様の能天気な姿にため息を吐いた。
なんであんなに泣いちゃったかなー。
あんなに泣いたのは久しぶりというか、あの時以来だ。それでも、気持ちはすっきりしている。少しはわだかまりがあるけれど。
「んじゃ、行こうかー。絵美」
さおり様が元気良さそうに言う。昨日かなり飲んでたと思うのに、それを感じさせないほどだ。私なんて、少し頭痛いのに。昨日だけで自分のお酒への弱さがわかったから、お酒を飲むはやめようと決心した。人前であんなに泣きたくない。
「あ、さおり様。みんなのお土産何にします?」
「ん~、適当にいいんじゃない? どっかの道の駅とかサービスエリアに寄ってさ」
「そうですね。うちと佳奈美さんと、千恵ちゃんとこと、結ちゃんのとこ。あ、メイちゃんにも別で買った方がいいですね。それにお隣さんちにも──」
「ねぇ、絵美。どれだけ買って行くつもりなの?」
「どれだけって思いつく限りじゃないですか」
えぇ~、とやる気なさげにするさおり様。
「え~じゃないです。さおり様」
そう言うとさおり様が何故か不機嫌そうな顔になった。
「……さーちゃん」
「え?」
「昨日、さーちゃんって言ったじゃん。だから、さおり様じゃなくてさーちゃん」
私がさおり様をさーちゃんと呼ぶことを求めてくる。確かに昨日はそう呼んでたけど、それはお酒が入っていたし、思わず感情が先に走っていたこともあったから。
今、そう呼ぶとなるとすごく気恥ずかしい。高校を卒業した子が家族をちゃん付けで呼ぶのはなんか痛い。
「そんなことより早く行きますよ」
「さーちゃん! さーちゃん! さーちゃん──」
突然のさおり様によるさーちゃんコール。しかも、境内で。
「さーちゃん! さーちゃん! さーちゃん──」
そこに何故かわらべ様も参加してきた。周りの視線を浴びてすごく恥ずかしい。
「何でわらべ様も参加してるんですか!?」
「ノリッ!!」
とてもいい笑顔で力強くはっきりと言い切った。
「ま、それは置いといて」
わらべ様がこほんと一呼吸置いて、ポケットからある物を取り出した。
「えみっち、メアド交換しよ」
「あ、はい、いいですよ」
返事をして私も自分のケータイを取り出した。わらべ様の手に握られているのはスマートフォン。私の手にあるのはガラパゴスケータイ。
負けた。神様に現代の機器で負けた。
何とも言えない敗北感を感じながらもわらべ様とメールアドレスを交換する。
「いいなぁ、スマホ。絵美~、うちも変えようよ、スマホにー」
さーちゃんコールを中断したさおり様がわらべ様のスマートフォンを見て要求してくる。わらべ様は「どうだ~」と胸を張っている。
「……考えておきます」
「ほんとに!!」
私の考えておきます発言にさおり様が嬉しそうに舞う。わらべ様も帰るということで「じゃあねー」といって帰っていった。
「私たちも帰りますよ。さおり様」
舞っているさおり様がピタリと止まって、こちらをジトッと見つめてきた。その姿に私はため息を吐く。最近、ため息が多い気がする。
さおり様はその場から動く気がないようだ。
たぶん今、自分の顔は赤くなっているんだろうなと予想する。じっとこちらを見つめてくるさおり様に、私は少し息を吸って言った。
「行きますよ、さーちゃん」
それ聞いて機嫌良さそうにさおり様が歩き始めた。それを見て、またため息を吐いて思った。
あーもーすごく恥ずかしい!!
これでこの物語は終わりとなります。
ここまでお読みになってくださった方々。
本当にありがとうございます。
いろいろと説明不足感はありますが、あくまでこれは絵美の物語という事でお許しください。
いつか他のキャラの物語も書いていけたらなと思います。特にぐうたらな神様を主人公にした話とか。
でも、今の自分では書ける気しないんですよね。
話がそれましたね。
連載を始めて、不安な一週間ではありました。他の作者様に比べるとかなり少ないですが、毎日誰かがアクセスしていただいているのを見て、心から嬉しく思っておりました。
ご迷惑でなければ感想などをいただけると嬉しいです。皆さんのご意見を参考にしたいとも思います。
最後になりますが、この作品を読んでいただきありがとうございました。




