序列戦!開幕!
学園の広大な中庭が、今だけは闘技場へと姿を変えていた。魔導結界で囲まれた舞台は白く輝き、観客席には全学年の生徒と教師がぎっしりと詰めかけている。ざわめきと熱気が空気を震わせていた。
「いよいよか……」
僕――ルカ=ヴォイドは、ごくりと唾を飲み込む。手のひらがじっとりと汗ばんでいた。
(ビビってんのか? 相棒。最高の舞台だぜ)
腰の虚無剣ネメシスが、心の奥に響くように囁いてくる。
「うるさい……緊張してるに決まってるだろ……」
心の声で返す僕に、ネメシスは愉快そうに笑った。
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「諸君! 本日は待ちに待った序列戦である!」
張りのある声が響き、会場の視線が一斉に上がる。実況役を務めるのは学院付属の若手教師、派手な赤マントを翻すリカルド先生だ。熱血でお祭り好きと評判の人物だ。
「序列戦は、各クラスの代表三名による模擬戦で争われる! 勝敗はもちろん、魔法の完成度、仲間との連携、戦術の巧みさも評価対象! 総合点によって順位が決まる! つまり——」
リカルド先生が指を天へ突き上げる。
「勝敗だけじゃない! たとえ敗北しても、工夫と連携を示せば評価は得られる! これは単なる試合ではなく、未来を担う君たちの力を測る場なのだ!」
観客席が一気に沸いた。
「おー!」「紅が優勝だろ!」「いや蒼の戦術が来るぞ!」
黒クラスの周囲では、ため息混じりの声が飛び交う。
「俺たち黒は……最下位確定だな」
「もう施設制限は覚悟するしか……」
不安そうに呟く仲間の声に、胸がきゅっと痛んだ。
(ほらな、孤立してる。いいじゃねぇか、虚無の居場所は孤独だろ?)
「……そんなの全然良くない!」
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「では、各クラス代表を紹介しよう!」
リカルド先生が声を張る。まずは紅クラスの入場だ。
「紅クラス代表——炎帝の後継と呼ばれるユリウス=バーンフォード! 不敵なる剣士フラン=グレイザー! そして、聖女候補アリシア=ルミエール!」
会場がどよめく。赤いマントを翻して現れるユリウスは、炎を纏うようなオーラを放ち、観客の視線を一身に集める。フランは金髪をかき上げ、不敵な笑みを浮かべ、アリシアは白衣のような衣装に包まれ、神々しいほどの光を漂わせていた。
「……紅は反則だろ、あれ」
マルコが小声でぼやく。僕も内心同意せざるを得なかった。
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「次、翠クラス代表——剛剣のガルド=ハインツ! そして仲間二名!」
入場したガルドは、大剣を肩に担ぎながら堂々と歩いてきた。庶民出身だが、その豪快さは観客の心を掴む。
「ガルドの剣技は本物だぜ。ただ、紅相手じゃ分が悪いかもな」
マルコが解説を入れる。ティアが「詳しいね」と笑うと、マルコは胸を張った。
「情報収集は戦いの基本だ!」
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「続いて、蒼クラス代表——戦術家ラース=ヴァレンティン! 雷撃のリーナ=エルダ! 水刃のリリス=エルダ!」
蒼クラスの三人が姿を現すと、観客の熱気がさらに高まった。冷静沈着なラースは氷の杖を持ち、双子のリィナとリオは息の合った歩調で進む。
「来たな、蒼……」
マルコの目が鋭く光る。
「ラースは氷壁で戦線を固める戦術家だ。双子の雷と水は合体すると感電コンボになる。めちゃくちゃ厄介だぞ!」
「なんでそんなに詳しいの!?」ティアとブランが同時にツッコむ。
「敵情視察は当然だろ! 俺をなめんな!」
その姿に少し救われるような気がした。
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「最後に……黒クラス代表! ルカ=ヴォイド! ブラン=クローネ! マルコ=ギルマン! 補欠、ティア=デルハイト!」
名前が呼ばれると同時に、観客席から笑い声が広がった。
「黒かよ!」
「最下位確定じゃん!」
胸の奥がちくりと痛む。だがティアがそっと背中を押してくれた。
(ククク、嘲笑の中に立つってのは最高だな。俺とお前にはよく似合う舞台だぜ)
「……黙ってろ、ネメシス」
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やがて実況の声が再び響き渡る。
「では第1試合! 黒クラス対蒼クラス、開始の時は迫った!」
闘技場中央に進み出る蒼の三人。対する黒の三人も歩み出す。観客の嘲笑と期待が入り混じり、熱気が肌を刺す。
「……僕にできるのか……」
震える手で剣の柄を握る。
(安心しろよ相棒。お前がビビってるなら、俺が暴れてやるだけだ)
ネメシスの声が鋭く響いた。
鼓動が、耳の奥でうるさく鳴り響く。
——そして、試合開始の鐘が打ち鳴らされた。
ここまで読んでいただきありがとうございます!
ついに始まりました――学園最大の行事「序列戦」。
黒クラスの空気の重さ「負けて当たり前」と思われている黒クラスが、この戦場でどんな爪痕を残せるのか……。
ルカたちの挑戦は、ここから本格的に加速していきます。
次回はついに 黒クラス vs 蒼クラス!
格上相手に、ルカの“虚無”はどう立ち回るのか?
そして黒クラスのメンバーはチームとしてまとまれるのか――ご期待ください!




