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イースターSS.大死後界 死んだらどうなる?

「リック!そんな事言っちゃ駄目!」

「主よ、流石にそれは神殿を敵に回すぞ!」

 セワーシャが顔色を変えた。デシアスも今度ばかりは俺を窘めた。


「だがよ、リックがそう言うんなら…」

「内々の話とは別よ。

 リックの足元を掬おうって奴は山ほどいるんだから!」


「そ、そっか。

 でもさ、俺はそう思う。

 神殿の協議だって、いつかは死後の魂を救うものが現れるって話だろ?」

 兄貴は俺をかばうけど。


「どっちにしろ、人間死んでお終いと言う事はあるまい」

 デシアスも続いてくれた。


「当たり前よ。

 本当にそうなら、世の中悪い事したモノ勝ち、法も善意もヘッタクレもない、リックが言う世紀末ヒャッハーな世界になっちゃうわ!」

「今の世の中もそれに近い事は何度もあったけどなあ」

「そりゃリックがあたたたたー!ってブっ飛ばしてくれたおかげよ」


 セワーシャ、何だか昔話した世紀末救世主伝説大好きだなあ。

 聖女様がそれでいいのか?


 でも迂闊だったな。ショーキさんの葬儀の帰りに話すべき事じゃなかった。


******


 最近、寂しい事ばかりだ。

 いや、新しく特撮に情熱を燃やす若手が班長や監督に…おっと、今では各班長をナントカ監督って言うんだったか?

 でもそれは違うだろ。監督は本来一人。


「特技監督」だって本当は二枚看板になるべきじゃないのは解ってる。


 オショーさんやガウちゃんが言う事が正しい、ただ特撮は色々組織がデカく、予算もデカくなるのである意味仕方ない。


 必要なのは綿密な画作り、繋がりは勿論、ラッシュを見ながらの明るさや色あいの調整に至るまで、そして音楽とのなじませ方も含めてのチームワークだ。


 なんだかんだ言って、みんな俺を助けてくれた。

 でも、みんないなくなっちゃった。

 寂しいよ。


「よう!リッちゃん!二次会行こうぜ!」

「はい!行くよー!」


「リック、どうした?」

「あ…」


 ショーキさんに誘われたと思った。

 でも、そんな訳ない。

 なにせ今日は他ならぬショーキさんのお別れの会なんだから。


 ナート師が亡くなった時も、ポリちゃんが亡くなった時も、ヨーホー映画の偉いさんたちの集まりから抜け出して俺達と二次会に向かったあの人も、今じゃ俺達を天の上から眺めて、ポリちゃん捕まえて二次会してるかもしれない。

 いや、きっとうそうだ。


 そう思うと、何だかおかしく思えて、気がスっと楽になるな。


 待っててくれ、ショーキさん。

 俺は未だ頑張る。頑張って、世の中になんかいい事して…


 直接そっちに酒持ってけないけどさ。

 ちょっとは大盤振る舞いを許してもらえるよう「天に宝を積む」ってヤツをやるから。


******


 兄貴が死んだ。

 最初に会った時凄い美人だなーと思ったセワーシャも、怖いなーと思ったデシアスも、凄い爆弾娘だなと思ったミーヒャー令嬢も、いなくなっちゃった。


 賑やかだったクランの自宅も、今じゃアイラとディー、ブロムと5人の孫たち、そして終末に来てくれる兄貴たちの子供達と、その子達…


 あれ?凄く賑やかじゃね?


「リックさん、スプラシリーズ50週年記念、『スプラ・インベスガティオン(超捜査隊)』終了、お疲れ様でした!」

「「「お疲れ様でしたー!!!」」」


 その昔書いた、異世界の科学犯罪対科学調査対の、子供向け番組とは思えないドス黒い人間ドラマをベースにした企画、「怪奇捜査5団」を実現した1年のシリーズが終わった。


 一度は自主製作を終えたものの、やはりトリック特技プロならではの作風を求められ、ヨーホーテレビに企画と脚本、特撮設計を提供した。


 内容が企業犯罪や多国間犯罪に及んで、その筋から脅迫されたこともあったけど叩きのめしてむしろ浄化に役立った。

 よしよし。いや、そんなつもりで撮ったんじゃないけどね。


 一緒に祝ってくれる人はいる。

 家族も増えた。


 でもさあ。


 兄貴、デシアス、セワーシャ、ミーヒャーちゃん。

 一緒に祝って欲しいよ。

 会いたいよ。


 神様、みんなを守り、幸せな世界に迎えて下さい。


 アイラ。ディー、ありがとう。

 あれ、俺、泣いてた?ゴメン。


******


 アイラが死んだ。

 俺は、アイラがいなかったらどうなってただろうな。

 テラニエに帰って馬鹿王と馬鹿勇者をブッ殺して、極悪人として振舞ってただろうか?

 一人でキリエリアで頑張って、ディーと結婚して、今と変わらなかったかな?


 あまり考えるべきじゃない。

 俺の今の幸せも寂しさも、君を囲んでる家族も、君がいたからだ。

 待っててくれ。俺もそっちへ行くよ。


 神様、アイラを、大事な妻を守り、幸せな世界に迎えて下さい。


******


「リックきゅん~」

 ディーが変らぬ可愛らしさで俺を抱きしめてくれる。

「リックきゅんの言う事がね、正しいと思うんだ~」

「死後の世界、魂の不滅の事?」


「こんなのさ、人の考え方次第なのかな~って思ってたけどさ。

 多分さ、記憶の中だけじゃないな~って、思うよ~」


 俺もそう思う。常に、アイラがいる気がする。

 兄貴も、セワーシャも、デシアスも、ミーヒャーちゃんも。

 そう思うと裸で愛し合ってるのを見られているようで、恥ずかしくもあり。


 翌朝も、変わらぬ愛らしい裸身を朝日に照らされながら、ディーは言った。

 みんないるんだよ、って。


 そう言ってくれたディーも、いなくなってしまった。


******


「ようリッちゃん!また頑張ろうな!」

「あんまりオプチカルに頼ると金がいくらあっても足りないよ!」

「リッちゃんなら1秒1万デナリくらい出せるだろ?」

「リッちゃんよ、計算ばっかに頼んじゃねえぞ?時には直感を信じろよな!」

「いっそアルゴ号、空飛ばせませんか?」

「イアソン役は俺に任せろ!久々に一緒の仕事だぞリッちゃん!」

「待て!俺が監督してやる!特撮じゃなくて全部本物を用意してやる!」

「セプさんそういって結局『王国泥棒』じゃあミニチュアと合成使ったじゃないか」

「それ言わないでよテンさん!」

「そうですよ。あなたに任せたら予算が何億デナリあっても足りませんわ?」


「「「わははは!!!」」」


「みなさん、食事の準備が出来ましたよ」

「きゃー!マイト様ー!」「ははは、剣聖夫人も相変わらず愛らしい!」

「にぎやかすぎ~、あたし部屋戻るね~」

「待って下さい!発明少女さんのお陰でウチのアニメは女の子にも大人気なんですよ!」

「うが~!恥ずかし~!」


「リック、あんたの言う通りだったね!死んだら驚いたわよ!」

「そうよリックさん」

「待ちかねたぞ、我が息子よ!」

「お前も、こっちに来たかあ」


 そっか、そうか。

 みんな、幸せそうだ。何よりだよ。


「お前は大勢の人達に慕われたんだな」

 父ちゃん!

「ごめんね。ろくに育ててあげられなくてごめんね」

 母ちゃん、そんな事ないよ!

 父ちゃんと母ちゃんがいたから、俺を産んでくれたから、俺はこんなに幸せになれたんだ!


 俺の子供も孫も、随分増えたんだぞ!

 褒めてくれよ!


 夢だった。

 涙が止まらなかった。


******


 俺はまだ生きている。

 随分老けた。皺だらけだ。髪も真っ白だ。

 この間見た、レポー君が守ってくれたゴドランの映画が、最後に見る映画かもね。

 出来れば次回作も見たいなあ。


 そりゃそうと、今見た夢は、本当に夢だったのか?

 死んだ後の事を、神様がちょっと先に見せてくれたんじゃないのか?

 それは、この世の誰にもわかりゃしない。


 だから。

 信じるんだ。

 わからない事だから、信じるんだ。

 待っててくれ、アイラ、アイディー、兄貴、セワーシャ、デシアス、ミーヒャーちゃん。

 ヨーホーのみんな、お母さん、お父さん、お兄さん。

 父ちゃん、母ちゃん。


 その時まで、みんなの魂が安らかで喜びに満ちたものでありますように。


******


 復活の主日を終えた夜に。

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