魔法士養成所「レグニアス」1
初めての小説です。読みづらい部分をもあると思いますが読んでいただけると幸いです。
ここは、魔法士養成所「レグニアス」
数々の名家の娘や息子が魔法という鍛錬を積むために集まる場所。
俺、赤月憐は思うのであった。寄り道は出来ない。ただこれは自分自身を成長させるために必要な儀式だと。
その儀式のために、ここからはそう「不知火蓮」としてこの養成所を過ごす。
自分自身の目的のために、着飾られた制服を身にまとい前に進み、心に自己暗示する。
絶対に助け出す。だから、待っていてくれ。「アリス」そして、「蓮希」。
「君は新入生かな?」
葉っぱが舞い、暖かい風が吹く季節。そう声をかけてきたのは黒髪長髪ロングの綺麗な女性。とてもじゃないが落ち着きっぷりが新入生には見えない。恐らく先輩だろう。
「はい。今年から入門をさせて頂きます。」
赤月憐ははっきりと、それでいて堂々と答える。
「やっぱりそうよね。顔つきが僕今日からここにお世話になります!って言ってたもの。この養成所は色々と面倒なことも多いけど、きっと結意義な3年間になると思うわ。私の名前は南草奈由、もし何か困ったことがあったら言ってちょうだいね。」
優しくて親切な先輩もいたものだな。事前情報だと、人間関係はギスギスしてることが多いと聞いたことがあるのだが。
「はい。もしあれば遠慮なく相談させて頂きます。」
優しい顔つきでそう答えると手を振り建物の方に歩いていく。
俺はその背中に一礼をし、講堂を探し歩いていく。
ここは16~18の間の年齢で形成された養成所であり、入るのはそれ相応の魔法士でなければ入ることは叶わない。そして学年の中でも特別優秀な者には薔薇のワッペンが左胸に縫い付けられてる。そのもの達をローズと呼んだ。そして、その逆は持たざる者と呼ばれるらしい。
ただこの養成所だと名家の生まれであるものや、元々が優秀な生徒が多いこともありローズになれるもの方が約7割を占めるらしい。生徒数は学年ごとに120名。持たざる者は1つ、ローズは3つのクラスに分けられる。要は凡人はひとつに集めてとこうっていうのがここの考えらしい。
それが俺がここに来るまでに入れた知識。
そして、俺は当然持たざる者の1人っていうわけだが、ここに来るまで色々な生徒を見かけたがこっちを見る目は下に見る目つきばかりだ。いい意味で俺の下調べ通りだな。
最初に声かけてくれた南草先輩は何故あんなに優しかったのだろう。とても不思議だ。
「隣いいかしら?同じ持たざる者同士嫌とは言わせないわよ?」
講堂の椅子に座り、そう考え込んでいると短髪赤髪の吊り目のとても偉そうな女性が声をかけてきた。
「もちろんだ。」
ちゃんと相手を見ながら言う。こういうのは舐められたら行けないからな。
「それにしてもあれね、これからここの校長と在校生代表とそして1年生である首席が話すお偉い席とは言えここの講堂はとても広いわね」
そう、今はそのお偉い人達の最初の挨拶を聞くために全ての生徒一同がここに集まっている。
「養成所もかなり広いしな。ところで、君の名前は?」
そう聞くと、少女は嫌そうな顔で答える
「まずは、自分から名乗ったらどう?ただ今回は特別に私から名乗ってあげる。私の名前は千堂千種よ。貴方の名前は?」
「俺の名前は不知火蓮だ。」
つくづく一言余計なやつだな。
「珍しい苗字ね。ま、私も人の事言えないか。同じクラス同士よろしくね。そろそろ始まるわね。」
そう答えてもらうと、ステージが光で照らし、在校生代表、今年の首席、校長、の順で話していく。長い長い話しで正直中身こそほぼ無かったがまあ必要な時間だっただろう。
お偉い方たちの挨拶も無事終わり、教室へと戻る途中床に落ちてる何かを見つける。
「ペンダント…?」
ただ中は開かない。強力な魔法がかけられている。
恐らくこのレグニアスでこれを開けられるのはほぼいないだろう。ただの推測だがな。
俺は眼に力を込め赤くさせ、魔法を発動する
「ディスペル」
魔法を打ち消す魔法だ。俺の眼はすぐ元の黒色に戻った。
中を開けてみると黒髪ショートで目は青眼をした美少女と青髪ロングで同じく目は青眼の大人の女性が写っていた。
ただ美少女の方には見に覚えがある。
「これは、学年首席の、、確か名前は十六夜雪か。」
さっき講堂でスピーチしてたな。それも完璧な。
少々届けるのは面倒だが、これは他に見られないほうがいい。何故ならこの大人の女性の額にある紋章に俺は見覚えがある。
恐らく人間ではない、何か。異種族である証だ。俺はペンダントをそっと閉じ。心の中で思っていた言葉が出る。
「まさかな、異種族なんて他にも沢山いる。龍神なわけないよな。さて、なんて言い訳するかな。」
どうやって開けたのかなんて聞かれるのは当然だろう。凄く面倒臭いものに当たってしまったなと思いながら十六夜の元へ向かうのだった。--俺の目的が君であるかを確かめに。
俺は扉にノックをし、近くに居たものに声をかける。
「すみません。十六夜雪はいませんか?」
「え?あ、それならあそこの席に座ってるけど…」
受け答えをしてくれた女子生徒は少々気まずそうにしてる。答えは知ってるそれはそう…
「おい、てめえ。持たざる者が何をしにこのローズの教室に入ろうとしてんだ?」
そう怒鳴り声をいきなりあげてきたのは長身である少し細身の男だ。どうにも俺がこの教室に入ろうとしたことが余程気に入らなかったのか凄いイラついているらしい。
まさかここまで露骨に下に見られてるとは思わなかったが、大体予想の範囲だ。
俺はなるべくこの養成所での生活を穏便に過ごしたい。ここは癪だが下手に出ておこう。
「すみません。どうしても今話しておきたいことがあったので、別に何をしようってわけではありませんが少しお借りしてもよろしいでしょうか?」
うんうん。我ながら完璧なアプローチだな。
「誰が首席である雪様が落ちこぼれであるてめえなんなんかとお話するわけねえだろ?なぁ?」
一体こいつは十六夜なんなんだ?彼氏か?
「まあまあ。そんなふうに言わないであげてよ。神童君。君は私にお話があるんだって?しかも急だなんて。気になっちゃうじゃない。別に何も企んじゃいなさそうよ、大丈夫気にしないで。」
十六夜雪。遠目でも見たし、写真でも見た。だが実物はそれ以上に綺麗で整った顔つきをしている。
こちらに目を合わせ、顔を合わせ伝えてくる。
「雪様がそういうなら、仕方ねえ。」
神童は嫌々ながら納得した様子でこっちを凄く睨んでくる。気にしないのが1番だろう。
事を済ませに外にでも行くか。ここじゃ流石に話せないし。
「じゃあさっそく、少し外にいいか?」
「は?ここで話せよ。なんで外に連れ出す必要がある?」
また神童が噛み付いてきた。
「ここで話せない内容だからだ。」
こいつは本当に十六夜の何なんだ。まあでも、下手に出てばっかで舐められるのも癪だしな。少しここはやれるぞっていう風に俺は目で訴える。口を出すなと。魔法士なら分かる。魔力が目に込められてることを。
「ストーーップ。1回2人とも冷静になって。別に外で話すのでもいいじゃない。神童君もピリピリしないで。それに何も企んじゃいないって。それに私に危害を加えられるわけないでしょ?」
優しい顔、優しい声色で十六夜雪は声をかけてくれた。そのおかげか俺も少し冷静になれた。
ただ気になる言葉がある。危害を加えられないか、随分舐められたものだな。
「じゃあいこっか。えっーと?」
名前を言おうと思ったのだろうがこちらのことは彼女は知らない。当たり前のことだが。
こちらから名乗るとしよう、お礼も兼ねて。先程どこかの女性に名前を名乗らず飽きられた目でみられていたからな。人は学ぶ生き物だ。
「不知火蓮だ。さっきはありがとう。」
「不知火蓮君ね。覚えた。こちらこそ。」
同じく優しい顔と声で彼女は答える。
外に出たあと、彼女は真剣な顔で真っ先に顔を見て言ってきた。深々とお辞儀をしながら。
「 先にごめんなさい。私に一目惚れしたのだろうけど、私は今は恋愛に現を抜かしてる訳にはいないの。だからごめんなさい。」
こいつも馬鹿だったのか?てか、俺は告白をする前に振られたのか?別にする予定はないが。
俺は呆れて言葉に一瞬詰まったが、勘違いされても確かに仕方がない部分も合ったなと、心の中で非を認めつつそのまま言葉にする。
「いや待ってくれ、早とちりだ。確かに俺がそういう風な態度にみえたかも知れないがこれは誤解だ。」
そういいつつ俺はペンダントを出す。
それを見るや否や、自分の首元を確認し無いことにようやく気づく。
ただ感謝の言葉を述べられるかと思いきや、相手から出た言葉はその真逆だった。
「なんでそのペンダントが私のだとわかったの?一応先に忠告しておくわ。下手な言い訳はしない方がいい。」
そう突き放した言葉で伝えてくると、十六夜は魔力を右手に込めている。さっき優しい言葉で止めてくれた十六夜はどこに行ったのやら。
「なんでって、そりゃ中身を見たからだ。」
そう言うと驚き半分、怒り半分ってところで睨んでくる。
「どうやってペンダントの魔法を解いたの?あれは防護魔法の上位にあたる物がかかっていたはずよ?それを何故貴方が解けるの?誰かに依頼した?そうなのであればなんでそこまでしたの?いいから質問に答えなさい。」
十六夜は最初とは打って変わって怖い物言いで迫ってくる。それだけ、その秘密は、十六夜にとって大事なものだって言うこと。そして隣にいたあの女性のことも。
「そんな質問攻めされても一気には答えられない。少しは落ち着け。まずどうやって魔法を解いたのかだが、俺は基礎魔法より、無属性魔法の方が得意だから。証拠にかかっていた防護魔法はハーデンロックという魔法だろ?俺はその魔法を解ける術を持っていた、ただそれだけだ。そして、どうして先生方に届けなかった理由はただ1つ。俺がそいつらを信じてないからだ。こんな魔法をかけるくらいだ、余程大事な物で人見られたくないものだ。だが、これは開けなきゃ中身が見れない。それを他人に見せるより俺が見てあげた方がもし何かあった時に事を荒立てないと思ったからだ。現にそこに写ってるのは異種族だろ?流石に悪いことじゃないにしろ、変な噂くらいは立つ。その点俺はそれをしない。」
「ふふ、ふふふ。はーはっはっはっ。貴方そんなふうに喋るのね。面白いこと言うのね、それと余程自分を信じているのね。」
十六夜は大きく笑いながら笑顔で、だかしかしどことなく戸惑った顔で俺の方に向き直した後真剣な物言いで伝える。
「いいわ。貴方を信じてあげる。それで?私に何をして欲しいの?それを取引にしようとしてるんでしょ?確かにそのペンダントは大切なものよ。だけどね、無理な要求は飲めないわよ?」
俺も同じく真剣な目で顔で十六夜を見て言う。
「何もしないで欲しい。俺はここで穏便に生活がしたい。それには十六夜、お前は良くも悪くも目立ちすぎる。だから、俺からの望みはただ一つだ。俺に関わるな。俺は何も見なかった、何も十六夜雪には出会わなかった。それでいいか?」
十六夜はその提案に少し戸惑いながらも、自己暗示するかのように頷きこちらを向く。
「わ、分かったわ。それが不知火君の望みなら、それを私は受け入れるわ。でも最後に一つ聞かせて、私の見解では貴方はそれ相応の実力者。今のやり取り一つも無駄がなかった。魔法力だってそう、私の防護魔法を簡単に破っている。なのに何故、貴方は持たざる者なの?」
それは確かにとてもシンプルな疑問だ。
そして俺は笑顔で答える。
「わかった。そのぐらいは教えてやる。この養成所の入門試験だがあれは基礎的な魔法や属性魔法における詠唱スピードであったり、魔力量で測られている。俺はその点その基礎魔法がダメでな、無属性魔法はある程度できるんだがそれはここでは評価されない。だからこそ、実際に優秀な魔法士というものは単純な魔法力だけ測れないと俺は思ってない。魔法の発動スピードもそうだが、現場では状況判断1つで生死が別れる。だからこそ魔法士であるなら常に冷静であるべきだ。そしてそれも同じくここでは評価されない。だから俺は持たざる者なんだ。」
以外にも十六夜は少し納得した様子だった。なんだ、少しでも突っかかって来ると思ったのだが。
「なるほどね、不知火君がの言いたいことはわかった。確かにここの学校のテストは実力は基礎魔法のテストしかない。」
それを言い終えると十六夜はため息をしながら教室に戻ろうとすると、1度立ち止まり笑顔を向けこちらに振り返る。
「そういえばさっきの話しかけないって約束守れそうににないや!」
驚いた。どうしてだ?なにかしたのか?
「ど、どうしてだ?」
「だって、私もっと貴方のことを。不知火蓮君のこと知りたくなっちゃったんだもん!だから、約束は守れないの。へへ!あっ!それとペンダントありがとう。見つけてくれたのが蓮君でよかった!」
そういうと複雑な気持ちでこちらを見ながら足早に教室に戻っていく。恐らく何かに勘づいている様子で。
見とれてしまった。その綺麗さに、美しさに。
「さて俺も戻るとしよう。最初から遅刻だなんて、目立つのはこれ以上ごめんだからな。--蓮君、か。」
----戻りながら十六夜雪は心の自分と会話する。
不知火蓮がもし固有魔法の持ち主だとしたら基礎的な属性魔法に縛られないのも納得だ。だが彼はその実力を隠そうとしていた。何故なのか、我々魔法師は大体のやつは自分の実力を見せびらかすのが好きで強いやつほどその例外ではない。彼の本当の目的が何かしらあるのだとしたら私はそれを知りたい。
「名前覚えたからね、蓮。」
十六夜雪はにやりと笑いながら教室へ向かうのであった。
俺は教室に戻り最初の授業の時間だ。なにやら最初はこの世界の歴史かららしい。少し長い話になるがこの世界について知っておいて損はない。
「皆も知っての通りですが今一度話しておきます。とても大事なことですから覚えてない人はきちんと聞くように。」
そういうと真剣な眼差しで女性の声の高い少し小柄な先生がみんなに向けて話しかける。
「この世界は606年前にとある神により作られました。ただ以前から世界自体はあり、12種族の間で異種族戦争が繰り広げられてました。まあ、ここは私もあまり知りませんがざっくり。この戦争で人間以外の異種族が勝ちました、ただ人間の力に魅了されたその種族は人間のための世界を作るといい世界を表と裏に分断しました。ただ人間だけではなく、この世界には妖魔、妖精、エルフ、機械種の4種族と人間を合わせた合計5種族が居ます。そこにプラスして魔獣や魔物達がいます。彼らは種に分類されず魔力を持つ動物たちです。ですが実際妖魔以外の種族はこの606年間で見つかった形跡は未だありません。隠れて過ごしているだろうと言う推測ですが未だ本当に存在するかは謎に包まれています。そしてこの世界で有名な4大国、北大国イベルニア、東大国バーベル、西大国ルルーシア、そして我ら南大国ブロッサム。他にも小国はありますが元々はこの4大国で争い続けていたのが150年~530年まで。そしてそこから先は、妖魔が魔獣や魔物達を大量に増やし俗に言う使い魔をこちらに送るようになってからは一時的な共闘制約が結ばれています。そして今は打倒、妖魔として世界各地の魔法師達が奮闘してるわけです。さてこれがざっくりとした世界の歴史です。理解できましたか?」
なんという完壁なスピーチなんだろう。幼少期に得た知識と全く同じものではあるが聞き入ってしまった。これは満点を上げたいものだ。
そんなことを考えてると後ろの席のやつが手を挙げた。
「はい、名波くん。なんでしょうか?」
手を挙げたやつは名波というやつらしい。なんとも目立ちたがりやだなんと思っていたら次は大きい声で返事をした。
「はい!先生の言ってることすげえ分かりやすかった!でもなんで最初がこのお話なんだ?普通は、魔法の授業とかだろ!魔法士じゃなく魔法を持たぬもの達でもそんなことは分かりきってるはずだぜ?」
先生は優しい顔で先程と優しい声色で返す。
「名波君。それはですね、貴方たちがもたざるもだからですよ。」
笑顔で答えくれた先生だったが、その笑顔は少し恐怖と圧力を感じた。
今日の終わりを告げる鐘がなり、皆が寮に戻ろうとする。俺含め遠征されてる奴らが殆どなので皆は寮生活だ。今日は初日ということもあり午前で終わりだ。後ろの席から項垂れた声が聞こえてくる。そしてその声を聞いて、二人の女性が近づいてくる。
「名波、あんた盛大に聞きたいこと聞いてくれたじゃない。一応感謝しとくわ、ここじゃ先生達も例外じゃなく、同じ感じで接してくるって分かったんだしね。無駄じゃなかったわよ。」
こちらの女性は講堂であった、確か名前は。
当人の名波も誰だお前はと言わんばかりで見つめる。
「ああ、自己紹介がまだだったわね。私の名前は千堂千種。そして隣にいるのは。」
そうすると隣にいた女性は笑顔で1歩前にでる。
「自分の名前は自分言いますわよ、せっかく出会えたのですから。私の名前は佐城来夏です。」
佐城はお下げでタレ目のTheカワイイ系っていう見た目だな。
そういうと千堂は俺の方を見ながらニヤついた表情を浮かべる。こいつもしや性格悪いな?
「俺の名前は名波透。こちらこそよろしくな!」
3人の視線は俺に集まる。まあ、流れと言うやつだろう。
「俺の名前は、不知火蓮だ。よろしく頼む。」
名波は笑顔で手を肩に回してくる。
いきなりでびっくりしたが悪気は無いだろうな。
「おうよろしくな!因みに3人は知り合いか?なんか目線で通じあってかなって。」
「講堂の時に席が隣だったのよ。それで入門初日寮に真っ先に帰るなんて寂しいじゃない?話は変わるけど、折角だからこの4人で親睦会でもしない?これから3年間同じ教室で生活していくんだしさ。」
千堂が皆に提案する形で投げかけてきた。恐らく近づいてきたのもこれが目的だろうな。
「私も同じこと思ってましたの。お二人のはどうですか?」
まあ、そうだろうなと思ってたがグルだろうな。
ただ誘ってもらえてる身としては悪い気は一切しない。
「ああ俺もいいぜ!蓮も一緒に行くだろ?」
蓮、か。これも自然と悪い気はしないな。
こうやって距離を詰めてくのが名波の良い所なのかも知れないな。
「お誘いありがとう。俺で良ければ是非一緒に行かせて欲しい。」
「やった!そうとなれば決定ね近くのカフェでも行きましょう。」
千堂は嬉しさそうに先頭を歩いて教室を後にする。 そして門を出ようと向かう途中騒ぎが起きてるのが見えてくる。
「うわぁ、結構揉めてそうね。あそこにいるのは、てかメンツすご。監督生メンバーほぼ総出じゃない。」
「確かにすごいな。」
千堂と名波が圧巻してる中。俺は不思議だったことがある。
「監督生ってそんなすごいのか?ボランティアとかじゃないのか?」
「ふふ、面白い冗談言うんですね。」
笑いながら、佐城が言ってくる。因みに俺は至って真面目なんだがな、、
だが、なんだかんだ説明はしてくれるみたいだ。
「監督生は、この学校の頂点。基本的にその学年において強者がなる者とされています。あそこにいるのは現監督生会長の3年生習志野凛さん。言わずとしれた、養成所最強の魔法士です。そして隣に居るのが補佐である同じく3年生十六夜咲夜さん。そして副会長である、2年生南草奈由さんです。プラスして、詰められてるのが1年生学年首席である十六夜雪さんです。」
俺はいくつか疑問が流れてくるので質問してみることにしてみた。きっと佐城なら優しく答えてくれるだろう。他の二人は馬鹿にしてきそうだが。
「幾つか質問したい。まずなんで詰められてるのかって言うのと、十六夜ってそう多くはない苗字だが兄弟か親戚か?。そして監督生は何を目的とされてるんだ?」
驚いた顔で3人は見つめてくる。
「不知火君恐れ知らずね。少し怖くなってきたわ。」
「驚いた本当に何も知らないんだな、蓮は。」
そんな常識なのかと不思議だがとりあえずこの二人は無視だ。無視。
「知らないことはこれから知っていけばいいんです。まず1つ目の質問からお答えしましょう。恐らく詰められてる理由は監督生入りを断ったからでしょう。」
「監督生入りを断った?なんでだ?勧誘してくるのが自由なら断るのも自由だろ?」
佐城は首を振りながら答えてくれる。
「そうもいかないのです。この学校は創設されて早100年近く経ちます。その間その学年の頂点とされて入門された方は必ず監督生に入るという決まりなのです。要は伝統というやつですね。」
「伝統か。」
嫌な言葉であり、懐かしい言葉でもある。
「はい。そして2つ目彼女達は列記とした姉妹です。お姉様も方かなり腕の経つ魔法士ですよ。3つ目の質問ですが、監督生の役割それはこの学校の風紀を守り導くことです。なので監督生に入るものは、同じ学生に敗れることは許されない。一応補足ですが、殆どの学生達が監督生入を熱望されてます。それは監督生に入ることによって得られる地位や学校を出た後に優位なスタート地点から始められるからです。ですが入れるのは一部の限られた指で数えられる程度の人達だけです。だからこそ私は不思議です。どうして、十六夜さんは断ったのでしょう。お姉様もいらっしゃることなのに。」
俺は少しモヤモヤする気持ちをぐっと堪えた。結局どこに行っても伝統がどうのこうのか。まあ分かってはいたがな。
「そんなこと簡単だよ。入りたくないに理由なんていらない。」
佐城は驚いた表情で、他のバカ2人は?を浮かべている。
「答えてくれてありがとう。この学校について更にしれたよ。まあ俺らが何言ってもどうにもならないしここは普通に通ろうか。」
3人は頷いてくれた。
「俺も賛成だ。流石にいきなり混ざって、敵を増やしたくないしな。」
俺は少し安堵した。正義感の強い名波の事だから止めに入るとかいう馬鹿なことをするのかと思ったのが一安心だ。
そして近づき声が聞こえる所まで来た。
「だから、何度もお伝え申したはずです。私は監督生にはなりません。入ることはできないんです。」
十六夜が必死な物言いで伝える。
「ダメだ、これはルールであり伝統そのものだ。例外は何びとたりともない。」
口の左下にホクロがあり、お団子頭の可愛らしい格好とは1点、習志野は突き放すように伝える。
「そもそも首席の挨拶だって辞退したはずです!首席じゃなくたっていいと伝えたはずなのに。どうして私なのですか!」
習志野は頭を抱えながらもう一度十六夜に伝える。
「首席だからだ。実力があるものが上に立つことは義務だ。そうやって世界はなりたつ。ここも例外ではない。」
「まあまあそう熱くならないでよ、凛ちゃん」
そう宥めるのは補佐である十六夜咲夜。妹同様に美しく綺麗で違う点といえば、髪が長く少し跳ねてるところだろうか?
「私はやるべきことがあるからこの養成所にはいったのです。だから申し訳ないのですが監督生になることはできません。」
やるべきことか。そういえばさっきも言ってたな、俺も似たようなもんだし気持ちはわかる。だかそれと同様に監督生会長である習志野も引き下がらない。これじゃ一生進まないな。 くだらない伝統だ。
「お前がやるべき事は監督生になり、生徒を導くことだ。変なことに現を抜かすことじゃない。とっととそのくだらないやるべき事っていうのは捨てろ。」
十六夜雪は悔しそうに涙混じりにもう一度訴えようとしている。---くだらないことか。
「名波、佐城、千堂、悪い。行ってくる」
「は?行くってどこに。おい待てよ!」
名波の言葉を無視して俺は魔法で十六夜雪の前にテレポートする。瞬間魔法。近い距離に飛んでテレポートできる魔法。
「サページ」
急に前に出てきて皆びっくりしている。どうやってきたんだって、一体いつからいたのかって。
「貴様一体何をした。何をしに来た。」
習志野は驚きつつも俺を睨んでくる。
南草先輩は驚きつつもウィンクして何かを伝えてくる。頑張れとでも言ってるのだろうか。本当に優しい人だな。
「お前が言った、そのくだらないことを俺は守りに来た。」
俺は振り返り、十六夜に伝える。たった一言、それだけで伝わるはず。
「約束破ってごめんな」
十六夜は少し照れくさそうにだが少し嬉しそうに俺の目を見て言う。
「ほんとだよ。そっちから言ってきたのに。」
俺はその笑顔に安堵し、習志野の方に向かい直し思いを伝える。伝えなきゃいけない。クソみたいな伝統を無くすために。
「会長は、この学校を良くしたいんだろ?なら何故十六夜に拘る。首席だからか?たかがそんな肩書きに拘るのか?」
「そうだ。その肩書きに拘らなきゃ行けない。何故なら1年生をこちらとしても勧誘しなきゃ行けない。その判断が入学テストだ。首席を入れない理由はないだろ。」
習志野はわかってない。本当に何もわかってない。
「確かにそのテストがきちんと機能してたらのはなしだがな。ここのテストは基礎魔法の詠唱スピード、威力、範囲を測る実力テストと同じく基礎的な学力を測る学力テストの2つに分類される。それごときが本当の実力に関与するわけないだろ。」
習志野は俺の言った言葉を本当に理解できてないみたいだ。
「それの何がダメなんだ?魔法士にとって必要なものが詰まってるじゃないか。詠唱スピードだって発動1つで生死を分ける。それに威力共に範囲だって相手を致命傷にさせることができる強力な武器だ。学力テストもそうだ、知識が無ければそれを活かすことはできないのだから。」
俺もその言葉に続けて返す。
習志野の顔を真剣に見ながら、眼差しを向けながら。
「魔法士に必要な物が何かわかるか?」
習志野のも目を逸らすことはなく、頭をフル回転するが答えはわかってない。知らないのだ。
「持ってる技の数でも威力でもない。確かにそれは強力な武器だ。知識だって必要だ。その魔法を知ってるか知らないかで対処が変わるからな。だが本当に必要な物は、何時でも冷静に物事を判断しそれを仲間に伝えることができる状況判断能力であり、周りを見る能力と危機管理能力だ。戦場に出た時、冷静な判断ができないやつがいると仲間は危険に晒されるし、危機管理がなってないやつは自分自身を死なせることになる。その判断があのテスト如きで測れると本当におもってるのか?それに魔法は基礎だけじゃない。」
俺はそれを言うと手を突き出し、一言唱える。
「換装」
赤薔薇の模様の剣とその鎧が身体を一瞬で纏う。
他の監督生や、生徒達は呆気に取られていた。だってこれはそう。ただの武装術ではない。頭も身体も手も足さえも鎧で覆われている。これは最上位魔法、完全支配武装術。
「俺はお前らみたいにローズではない。持たざる者だ。だが無属性魔法や、剣技に関しては誰にも負けるつもりはない。それとも俺とここで模擬戦でもしてその実力とやらを確かめるか?」
習志野は少し悔しそうに驚きながら、十六夜雪は嬉しそうに目をキラキラさせながら、南草先輩は手を頭に当てながら、観衆はどよめきながら、そして十六夜咲夜は不敵な笑みを浮かべながら習志野に伝える。
「凛ちゃんここは手を引こう、それにさ。」
小声で何かを伝えているようだが聞こえない。それを聞いた習志野は目を見開きながらこれだ、という顔で俺の方に向き直す。
「先程までの無礼を詫びさせてくれ。それと君の名前を教えてくれ。」
さっきまでの態度とは売って変わっている。アドバイスを入れたのかそれとも悪知恵を入れたのか。どっちだっていい。
ようやく納得してくれたようだ。とりあえず一安心だ。
「俺は不知火蓮です。こちらこそ生意気言ってすみませんでした。」
習志野は笑顔で伝えてきた。裏がありそうな笑顔で。
「そうか、不知火これからよろしくな。また近いうちに挨拶にでも行くよ。それと雪、済まなかった。無理強いしてしまって、もう勧誘は諦めよう。じゃあまた。」
近いうちに?なんか凄く嫌な予感しかしないが、まあ今はいいか。
南草先輩はウィンクをし咲夜先輩はこちらに一礼し去っていく。
さて、問題が解決してよかっ---
「うわっ!ど、どうした。」
十六夜が胸に飛びかかってきた。少し泣きながら、そしてはにかみながら目を合わせこう伝えてくる。
「ありがとう。蓮っ!」
「別にいいよ。やりたいこと、やるべき事を否定される気持ちは辛いから。俺がしたくてした事だから気にするなよ。」
笑いながら俺も答える。俺はこういう時上手く笑えてるか不安になる。満面の笑みを浮かべる十六夜。まあ、終わり良ければ全て良しか。
「おーい、蓮!大丈夫か?ってかあれなんだよ!換装つって鎧纏ってめっちゃかっこよかったな!」
「名波あんたはやっぱりバカね。あの魔法も知らないなんて。」
名波と千堂が心配してか駆け寄ってきてくれた。それに佐城も一緒だ。
ただ千堂は少し俺を睨んでいる気がする。
「あれ私たち来ちゃいましたけど、もしかしてお邪魔でしたか?」
佐城は冗談も言えるみたいだ。
まあ抱きついてる男女がいたらそう思うか、誤解だが。
「いや、そんな事ない。あれは完全支配武装術。剣技の一つだよ。んな事言ってないで、親睦会行くんだろ?早く行こうぜ。」
早く話題を変えなければ。これ以上詮索される訳にはいかない。
ただ皆の目線が十六夜の方に向いている。
「えっ、私に何かついてるかな?」
「いーや、ずっとくっついたままだなーって思ったただけだよ。入学早々お盛んなことで。」
そう千堂が十六夜に伝えると我に返ったように十六夜はすっと俺の元から離れてく。何故かちょっとだけ寂しかったのは心の内に秘めておこう。
「おい!千堂何もそんな言い方ないだろ。そうだ!俺らこれから親睦会行くんだけど、十六夜さんもどう?」
何も考えず物事を言えるのはもはや名波の良いところだろう。
「何考えてのよ、あんた!ローズが私たちに関わることないでしょ??もし、来たとしてもバカにされるだけよ?」
と、小声で千堂が伝え説得している。こればかりは千堂に道理だな。十六夜が人を馬鹿にするやつでは無いことは知ってるが、周りからの目もあるし俺らには必要以上に関わらない方がいいだろ。
「いいのっ?私行っても邪魔じゃない?」
まさかの返答に俺も驚いていたが、名波以外の2人も同じく俺と一緒で驚いているらしい。
そして、千堂以外の3人が千堂の顔を見る。確認ってことだ。
「な、何見てるのよ。別にいいわよ。ただ喧嘩売ってきたらただじゃおかないわよ。」
やっぱりこいつ一言余計だ。そういうと、十六夜は顔を大きく口を開け笑顔をみせ、やったー!と拳を突き上げていた。空気が少し和み、俺ら5人は親睦会をしに食事をしに行くのであった。
親睦会が終わりすっかり夜になり、名波、千堂、佐城は3人でこの後日用品を買い物したいと離れた。つまりこの暗い夜道を十六夜と二人きりで帰るということになる。先程のことがあったせいか少し気まづいな。
そんなことを思い描きながら歩いていると、十六夜の方から切り出してきた
「親睦会楽しかったね。」
十六夜自体も少しこの状況が気まづいみたいだ。
言葉が少しだけ詰まってるような気がする。
「ああ、そうだな。千堂と喧嘩でも起こるかと思ったが、一瞬で3人と仲良くなれてたな。」
十六夜は笑いながら少し嬉しそうに話す。
「えへへ。まあね、これでも人と仲良くなるの得意なので。」
確かに人の心に飛び込むのが凄く上手だ。俺と違って。少し羨ましく感じるな。
「ねぇ。蓮」
さっきとは売って変わって少し小声で、震えた声で話しかけてくる。
「な、なんだ?」
「今日はありがとう。それとごめん。目立ちたくないって言ってたのに私のせいで、凄く目立っちゃったし、監督生にもきっと目をつけられてる。それにあの魔法は軍の中でも使えるのは少ない魔法でしょ?それを見せてまで、どうっ---わっ!」
俺は変わらず震えた声で下ばかりを向いている、十六夜の頭を手で撫でながら伝える。
「言ったはずだ、今日は自分の意思で行動を起こしている。馬鹿みたいに伝統伝統っていうのもウンザリだったしな。それに、約束自体を破ったのは俺の方だよ。俺が近づくなって言ったのに俺の方から俺の意思で近づいた。助けなんて必要じゃないかもしれないのにな。」
十六夜は大きく顔をあげ、そんなことないって顔をしてる。
「だから、何か罰があるとしたら俺のせいなんだよ。そうだ、なにか1つ言うこと聞いてしんぜよう。」
そんな冗談を言う俺に十六夜はまたはにかみながら笑う。
「本当に優しいんだね。--ねぇ、何でも1つお願い聞いてくれるの?」
まさか本当にお願いされると思ってなかったからびっくりしたが、まあいいだろう。
「何でもとは言ってない。無理なものはできないぞ、俺にできることならだ。」
「じゃ、じゃあ大丈夫だと思う。出来ることだから。---私の事、名前で、雪って呼んで欲しい。」
下を向いて照れながら言うその姿に、少し、ただ凄く何とも言えない感情に襲われた。
「わ、わかった。ゆ、雪。」
「えへへ。やったっ!んじゃ、蓮!私こっちだから、また明日!今日は本当にありがとう。3人にもまたよろしくって言っておいて!」
照れてるのを隠すのか少し足早に寮に雪は向かっていく。
今日は色々なことがあった、クラスメイトと出会い、雪との紆余曲折、そして監督生にまで目をつけられた。恐らく俺の穏便な生活はもう消えただろう。だが後悔はない。だってあの素敵な---誰か大切な人に似てるその笑顔が見えたのだから。
色んなことがあった初日から早1週間が経とうとしている。この養成所は3階まで階層があり広いのだが屋上もある。その屋上がとても穴場で、昨日放課後見つけたのだが風当たりがよく気持ちよく今日は一人で昼飯を食べるために立ち寄ってみた。
やはり、誰もいなかったのでようやく1人になれると嬉しい気持ちになった。ここでは集団行動ばかりだから、1人になれる時間は貴重だ。ご飯を食べようと口を広げると--
「なんや、私も居るのに何事も無いようにご飯食べてるのは喧嘩でも売ってるんか?」
「うわっ!!」
そこに居たのは白髪ボブで赤眼で細身だが少し丸みがある女性だった。
びっくりした心臓が止まると思った。なんでこいつここで寝てるんだ?俺、ほぼ授業終わって最速できたのに。
「さぼりやで、昼前の授業さぼったんや。」
こいつ俺の心読んでる。まあ、流石にこの状況なら多少は読めるか。
「はぁ、優雅に寝てるところ邪魔せんといてな。
てか君、入学早々監督生と問題起こした憐じゃん。有名人だよ、あんた。」
そうだ、本当にそれで困っている。どこにいてもその話ばかり。ローズからは睨まれるし。持たざる者からは目をキラキラされ、希望だと持てはやされるし。
「いい迷惑だよ、ほんと。俺の名前はってもう知ってるか。君の名前は?」
横になっていた身体を起こし、背伸びをしながら答えてくれる。少し意地悪そうに。
「椎名真澄貴方の好きな十六夜雪と同じクラスよ。」
こいつ、意地悪いな。何だここは?こいうやつの集まりなのか?
「答えてくれてありがとう。先着が居たのに悪かったな。別のところで食べるとするよ。」
俺も座ってた体を起こし歩き、入口のドアノブまで手を伸ばした時--。
「まあ、まってや、もう少し話そうや。せっかく一緒になれたんやしさ。」
以外だ、さっさと出ていけって言ってるのかと思ったが。
「何か裏でもあるのか?」
俺も少し意地悪そうに言ってみる。どう反応するかな?
「ふふ。私は話したかったんよ。あんたとね。ねぇ、だってそうでしょ?----赤月 憐君?」
その名前は本当の俺の名前。皆が、ここに居るやつが知るはずのない。本当の名前。何故知っている?こいつは何者だ?何が目的だ?聞きたいことは山ほどあるが上手く言葉がでてこない。それはこいつが読めないからだ。
「誰だそいつは?俺は不知火蓮だ。誰かと間違えてるようだが---」
椎名は話を遮って続けて話す。
「私は貴方の過去を知っている。隠しても無駄。血剣騎士団元団長の赤月憐。私はね---貴方を探していたの。」
そう話しかける椎名は史上最強にそして最悪に不敵な笑みを浮かべていた。まるで、妖魔のように---。
ここまでご愛読ありがとうございます。初めてなので至らぬ所が多かったと思いますが楽しめたでしょうか?これからも赤月憐達の物語を近々書き上げる予定なのでどうぞよろしお願いします。




