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月食再生  作者: L3vGimm
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戦いの余波・エクストラ

闇の炎炉――その閉ざされた領域からはるか彼方、現実が歪み、影さえも生き物のように息づく世界。そこは、闇そのものの本質から生まれた異空間であった。


偶然に存在する場所ではない。あらゆる暗がりも、絶え間なく形を変える漆黒の平面も、すべては緻密に造り上げられている。星々をも凌駕する野望を抱く組織――その隠された中枢として機能するために。


虚無の中心には、黒曜石で作られた巨大なテーブルが鎮座していた。磨き上げられたその表面は、この空間に差し込むわずかな光すらも、吸い込んでしまうかのようだ。


テーブルの右側には五脚の椅子が並んでいる。それは固形化した影によって形作られ、まるで今にも元の闇に溶け戻ろうとしているかのように、絶えずうねり、蠢いていた。左側には同型の椅子が四脚。そしてテーブルの最奥には、他を圧倒するような玉座が一つ。空間全体を染め上げる深紅の輝きの中で、その鋭利な縁取りが一層、禍々しく浮かび上がっている。


この場を照らすのは、見えない天井から吊るされたシャンデリアの炎だけだ。それは常識を超えた赤い色をしており、周囲のすべてを血の色と漆黒の影で塗りつぶしていく。


テーブルを囲み、十人の者たちが着席していた。彼らの組織の未来を決する、重要な会議が始まろうとしていた。


中央の玉座に腰掛けるのは、組織の長。全身を黒いローブで包み、その顔は仮面によって完全に隠されている。ただ一つ、左目だけが、シャンデリアと同じ凶々しい紅蓮の光を放っていた。


その右隣には飛江波祐人が身を乗り出し、指を組みながら長の方をじっと見つめている。さらに隣の紫苑綾は、議論の重みを感じさせながらも、表情は穏やかに保たれていた。その隣には炎黒田恒一が、大きな手をテーブルの上に置いて座り、その隣には入川翼が、歯を食いしばるようにして身を置いていた。


右側の影の椅子は一つだけ空席となっており、その不在が場の空気を重くしていた。


テーブルの左側には、顔の見える者が三人、そして残り一人は深い闇に包まれ、その容貌はうかがい知れない。


最初に口を開いたのは、深紅の髪をなびかせた少女だった。その髪は赤い光を受けて、まるで液体のルビーのように輝いている。


十八歳の藍沢希望が椅子にもたれかかり、美しい顔を不快そうに歪める。


「またあのガキ、来ないで会議始めるの? 本気で言ってる?」


重苦しい沈黙を切り裂くように、彼女の声が響いた。


「ガキ、ねぇ」


隣に座る男が低く喉を鳴らして笑う。二十歳の星直瑠だ。嵐の夜のような色の髪をした彼は、楽しそうな瞳で希望の方を向いた。


「お前だって、あいつと大して年変わんないだろ。少し年上なだけで、先輩面かよ、ノゾミ」


「うるさいわね! 直瑠はおじさん化してるだけよ。何でも知ってる風な口きいて」


頬を染めて反論する希望。彼女の神縁『恋の絶望』は、自身の感情をエネルギーへと変換する能力だ。鋭利な花弁、炸裂するハート、標的を逃さない矢――すべてが彼女の想いの形をしている。


直瑠の持つ『不変の愛の絆』もまた、強力な能力だ。味方との間に絆を紡ぎ、傷を癒し、力を高め、戦いの中でさえ心の乱れを鎮めてみせる。彼が守り続ける限り、その力は幾らでも増幅していく。


二人の言い争いがエスカレートする前に、別の声が割って入った。


「まったく、二人とも落ち着けよ。いつまでもそんな痴話喧嘩みたいなの、見てるこっちが疲れる」


口にしたのは十五歳の少年、黒瀬陸だ。フードと仮面で顔を隠した彼の神縁は『重力操作』。物体を羽根のように浮かせ、あるいは超重圧で押し潰し、大地の重力さえも意のままに曲げてしまう。


「そんなことはどうでもいい」


話題を転じるように、祐人が静かに告げた。彼は『血液操作』の使い手である。生物の体内の血を操り、武器へと変え、あるいは内側から爆発させる――その力は恐るべきものだ。


「青木ヶ原の作戦は、完全なる成功だった」


「ええ、その通りよ」


紫苑が頷き、確信に満ちた瞳を輝かせる。彼女の『密度操作』は、あらゆる物や生物の質量を変化させる能力。自身を軽くして飛び、あるいは地面ごと敵を重くして動けなくする。作戦遂行において、彼女の存在は欠かせない。


「彼がこの会議に出席していなくても、任務は完璧に遂行されたわ。それが全てよ」


「まったくだ」


炎黒田が低く唸るように応じた。彼の『大地』の能力により、この地下何マイルもの岩や土、鉱脈の一つ一つまでが、彼の感覚器官となっている。


「いつものことだ。俺たちが顔を合わせること自体、滅多にない男だからな」


「……だからって、最初のメンバーだからって、いつも特別扱いはどうかと思うぜ。俺たちだって、それぞれの役割を果たしてるんだ」


入川がテーブルの端を握りしめ、指の節が白くなるほど力を込めて言った。


すると、仮面の長がゆっくりと手を挙げた。それだけで、場の空気が凍り付き、一瞬にして沈黙が訪れる。


「この会議は、彼のことを話す場でも、青木ヶ原のことを論じる場でもない。もっと重要な問題がある」


長の声は低く、空間に響き渡る。


「お前が名を明かし、居場所を晒した以上、ヴォルタリス一族は間違いなく動き出す。――雷光陽輝」


左側の最も奥、今まで闇に隠れていた人物が遂に口を開く。その声は冷ややかで、決意に満ちていた。


「問題ない。予定通りの行動だ。誰の助けも必要ない。俺の家族、俺の民にしたこと……必ず償わせてやる」


長の紅い瞳が一層、強く輝きを増す。


「それがお前の選択か。ならば我々は次の計画段階へと進む。お前を待たずして、だ。異議はあるか?」


「……ない」


雷光の答えは短く、そして絶対的だった。


「よろしい」


長がゆっくりと立ち上がる。その声が、この闇の異空間全体に轟き渡る。


「時は来た。我が組織『アンブラコア』の名を、まず日本中に、そして世界のすべての国々へと轟かせる。この世は、我々の力を恐れ、そして――敬うことになるのだ!」

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