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透明人間
気付いたら、透けていた。物理的な話じゃない。存在強度の話。
クラスの喧騒の中で。街の雑踏の中で。僕は背景の一部に溶け込んでいる。
声を張り上げないと届かない。手を伸ばさないと触れられない。そこにいるのに、いないものとして扱われる。
便利だね。責任も、期待も、失望もすり抜けていく。誰の記憶にも残らない幽霊。
でもね、たまに寂しくなるんだ。誰かに「そこにいるね」って言われたくなる。輪郭線を描いてほしい。色を塗ってほしい。
透明な血が流れている。誰にも見えない傷口から、ポタポタと。




