第80話 2人の想いとドールヘッド
ドアの立っていたのは……。
「こんにちは、心桜さん!どうです?調子の方は……って100年経っちゃいましたね」
そこには……。
見覚えがあるって……!
白銀のロングヘアーをなびかせて、優しい声で語りかける。
……間違いない!
「って!!フィーナさん!」
私は、フィーナの変わらない姿に衝撃を受ける……!
100年前のセカイにフィーナがいる事に。
そして、100年後のセカイなのか?
「って!?シズクさん!……な……訳ないですよね……?」
「エルシュ……?完成したのですか!!」
――エルシュ……。
「それが……シズクです……」
「って、フィーナさん……どうなってるの!」
シズクが驚くのにも無理もない。「時」という概念が完全に破綻している!
全く容姿が変わっていないフィーナの姿に驚くのも、そして……。
「フィーナさん……いま、100年経ったって……」
そう、100年経った事だ!
そんなはずはなかった、ここは100年前なら判る。
だが、確かに、フィーナは100年経ったと軽々しく言ったことだ!
あと……私を見て『エルシュ』と言った……そう、エルチェは『私によく似ている……』
……それは、私自身も……自覚していたこと。
でも、あえて触れていなかった。
……ピー、ピー、ピー……。
ドルフィードリーミーのエルチェは『髪の色』こそ異なるが、髪型とかは私に似ている……。
どうして、私はエルチェを私に似せた?かはよく想い出せないが、エルチェは私に似ている。
――だから、私たち……エルチェと私は『ユニゾン』できるの?
……目の前のセカイから色が消えて――!
……脳裏にノイズが走り激痛と、『聞き覚えのある嫌な音』が『ピー、ピー、ピー』っと脈打つ音が鳴り出す……!
その音は次第に大きくなり意識を持って行かれそうになる。
でも、今、そこに戻ればきっと私は……。
「そうですね、私は『転移の絆』でこちら側に来てますので、昨日シズクさんと工房でお会いしてますよ?」
――パッと色が戻る!
「って!!!シズクさん!顔色真っ青!!」
――私は、一瞬の間だったか、呼吸が完全に停止してたかのような苦しみに囚われた!
「……だ、大丈夫……」
フィーナがに触れていなかったら、死んでいたかも知れない。
「シズクさん、大丈夫……ですか?」
「まさかとは思ってましたけど、エルチェの製作に関与しようとか!いくら何でも無謀過ぎです!」
「……まあ、想いがあれば……可能とは想ってたましたけど、ホントに『この時間軸』に来ちゃうなんて」
「私がお願いした『工房』でコツコツと頑張っていれば、もっと知識を経験を付けて鍛冶士としての精神が……」
フィーナは意味深な発言をしようとしたが、私の事を想ってくれたか『今は』グッと飲み込んだように想えた。
でも、確信した、エルチェは私の……分身なんだなと。
私の欠損している部分を補ってくれる存在。
「フィーナさん、卑怯と言われても、バカになって聞きます。エルチェは私のドールなのに、どうして心桜さんの想いがこんなに詰まってるの?」
「私の……私の!パートナーなのです!」
「ここで心桜さんはずっと100年前もの間想いを叶えるために紡ぎ続けたこのドールのパーツをくみ上げて、何故エルチェになるの!」
心桜さんの想いの重さは凄く判る……でも!私のエルチェを想う想いが……。
「確かに、それを私に聞くのはどうかと想います……」
「そうしたのは、『シズクさん自身』なのですから。だからエルチェがファバーダに誕生したのです」
「そして、そうなったのはエルチェさん本人に『ご自身の工房に戻った時』に聞いたらどうですか?」
「そもそも、そうしたのはシズクさんです」
って!!私!!!なんで!もう!、いつの私!
私がもう一人いるの!
「あのー……シズクさん?私が言うのもなんですが、『私とおばぁの時』もそうでしたが、結構ぶっ飛んだ事やり遂げてますので、『この先の物語』でそうなるのかもです?」
「……実を言うと、『シューティーングスターダイアリー』に『シズクさんとエルチェの日記』も格納してるのです。その日記のページ数が『1年分以上』」あるのです」
「っと言っても、実はシューティーングスターダイアリー、これって、手帳の大きさですが、『実は電子ペーパー』なのですよ?」
「パラパラーって捲れますが、その対象とする人のダイアリーを必要に応じて書庫から引っ張り出すんです」
「あと……ご承知だと想うけど……これ紡いだの『シズクさん』」ですよ?
「私から言えることは、この手帳紡ぐより、『ドール』の方がテクノロジー的に簡単かと……」
私がそんな凄い手帳を紡いだ……。
仮にだけど、作家の私なら『細かな設定』とかを『プロット帳』で『裏設定』で作るけど……。
……裏設定?
作家シズクならやりそう……。
どうしてかと言われたら、『私の作品はノンフィクション作家』なのだけど、私の書きたいのは『ラノベ』であって、賞レースの本ではないから。
その鬱憤を自分の作品の『同人誌』な感覚で物語を構成する。
私が作家として賞を取れたことも、根本的に『裏設定』の膨大な質量を自分で書いているからだ。
その膨大な量の裏設定から『本線を1本紡ぐ』やり方を取っている。
「ナキちゃん……ありがとう……作家の私なら……やりかねないわ……」
「エルチェの物語だけで指輪ストーリ4時間三部作を超える自身はあるわ!」
私は、深く深呼吸し……。
「とりあえず、『エルシュ』のヘッド作っちゃおう!心桜ちゃん!」
「って!ごちゃごちゃ言って、私置き去りにして、軽ーいノリで言われも困る!!!」
「一番大事なヘッド部よ!そんな軽いノリで出来てたまるか!」
当然、心桜は激しく激高した!!





