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本の世界の鍛冶士 柊シズクの物語  作者: 川崎タイチ
鍛冶士見習い シズク編
6/120

第06話 鍛冶職人シズク誕生 スキルLv1!?

  シズクが賢者の証を見つめて倒れてからしばらくして……。


「う……うん……わ、私、倒れたのですか?」


 目覚めたシズクにフィーナは倒れた状況について語った。


「スフィアに精神力を奪われたみたいです。……かなり感受性がお強いですね?時々おられるのですよ。ご自身に合う証を触られると精神力を著しく奪われる人が……でも、近づいただけで倒れた方は初めてです」



「そろそろ、水の刻になりますので鍛冶職人になるのでしたら、加護の儀式を始めましょうか?」


「あ、はい!よろしくお願いします。受けると体質的に変わるものですか?」


「分かりやすい所で、時間ですかね?鍛冶職人だと『光の火の刻』に火属性を付与すると出来上がりが抜群に上昇しますから。体感的に判ると思いますよ?逆に言えば、水の刻の合成はやっぱりデリケートになりますね」


 ※ ※ ※ ※ ※ ※  ※

 この世界の時間は『光=《日照時》と闇=《落日時》』『火・水・風・土 』となっている。また、1日の時間は32時間程度だ。この時点で、1年の長さは判明していない。私とフィーナさんの年齢は一緒ぐらいと推測は出来るが、16歳とは限らない?胸囲だけ見ると、フィーナさんは私より遙かに年下だ。あとこの世界の人は、時間に応じて属性が緩やかに流れていくため、『正確な時計』は必要ないようだ。ただし、お昼ご飯の鐘は正確に打刻される。これも『スフィア』を使った鐘が可能としている。


 ――『シズクの鍛冶職人日和 第一章 ファバーダ・アストゥリアーナに来ちゃった!? 第△節 チョットまて!一日が長いぞ!』《執筆中につき後日変更の恐れあり》

 ※ ※ ※ ※ ※ ※  ※


「では、加護の儀式始めたいと思います!目を閉じ、手を組み、願い求めよ」


 アナはシズクに『鍛冶職人の加護』を与える儀式を開始した。『導きの証 光のスフィア』を取り出し……


の者、『シズク=ヒイラギ』に鍛冶職人の加護を与えんとする。理を守り、自らの生命と共に『噓偽り』なき精進をスフィアと共に……亡き者となるまで歩め!」


 ――――『……』


 何も起きなかった?


「あ……れ?シズクさん?お名前って……本名ですか?通名だとダメですよ?」


「あ……?ん?え?あああ!?もしかして、私の国では『柊 シズク』です」


「あ……ファーストネームが逆だったんですね?心で想う名前が反転していると、想いが私と合わないです」


「では……改めて……目を閉じ、手を組み、願い求めよ」

の者、『柊 シズク』に鍛冶職人の加護を与えんとする。理を守り、自らの生命と共に『噓偽り』なき精進をスフィアと共に……亡き者となるまで歩め!」


 アナの加護の詠唱えいしょうと共に協会内部が煌びやかに光りシズクの元へ集まりだした。体全体をベールのように包み込み、『鍛冶職人の加護』が付与された。


「どうですか?シズクさん。ぼんやりとですが、火の加護を感じ取れるようになったと思います」


 シズクは『目には見えないが、協会の……このファバーダの住人として迎え入れられた』事が体全体で感じ取れた。


「……あのう、今は……火の刻から、本当に水の刻へと変わるのが判ります!……言葉には表現すると難しいですが、森や滝に行った時の肌触り?といえば……いいのでしょか?」


「やはり、シズクさんは感受性がとても高いですね。『鍛冶職人の加護』を受けて鍛錬を積んでいない状態で、本来そこまで感じ取るのは難しいですので。うーん、正直、冒険者になられた方がその素質十二分に活かせると思いますよ」


 シズクはすぐに返答した。


「いえ、鍛冶職人一本で……とりあえず行きます!」

「二足のわらじで成功したってあまり聞きませんので……」


「それでは、私の鍛冶職人のブローチをお貸ししますね。私は適正がほぼ無かったので、『火の加護』のブローチしか作ってないですが……先ずはフライパンやお鍋の製作ですね。武器を製作するとなると、『他の属性』のスフィアが必要になりますね。その頃になれば、そこそこ稼げるようになっていると思いますよ?『鍛冶屋の仕事』に関しては……相当溜まっていますので。あと、私はブローチ型にしましたが、証に関しては『自由に好きな物』を証にできます。但し、ベースとなるアクセサリーと『スフィア』はご自身で揃えてくださいね。手段は選びません」


 シズクはフィーナから『鍛冶職人 火の加護』が付与されたブローチを受け取った。


「では引き続き、ブローチの所有者変更しましょう。本人の証でないと、ただのアクセサリーです……先ほど倒れられたように、精神力が抜けていくだけになっちゃいますね。武器とかと違いまして感受性が高い人ほど、他者の証を持つことは危険です」



「それでは、始めます」


「『鍛冶職人の証』 をフィーナより受け継ぎ、『鍛錬』を共に積み、高みを目指せ」


 詠唱えいしょうが終わると、先ほどとは違い、ブローチのみが微かに輝きを魅せた。


「アナさんありがとうございました。これでシズクさんも立派な鍛冶職人になる準備は整いましたね」


「あの、ブローチを付けてフライパンを作るだけでいいのですか?」


「そうですね、ここから先は『ご本人さんの感覚』的なものですね。ある者は念じ、ある者は血を通わすかのように。人によっては『材料を抱いて一晩寝て合成』とか『へんた……』おっと、導く者として恥じる言い方でしたね。『趣味の人』的な行為に及ぶ方もいらっしゃいます」


 シズクは異世界ライフを満喫出来る可能性に『ワクワク』してきた。いち早く『鍛冶場』に戻ってフライパンの合成を始めたいと考えていた。


「一度鍛冶場に戻って、自分用に1つ合成してみようと思います。フライパン自体は昨日作ったので、今度は属性を付与する練習をしてみたいですね」


「多分ですけど、打ち直しすれば昨日作ったフライパンにも属性付与が出来ると思いますよ?打ち直しも練習しておいた方が、『属性のグレードアップ』の際にも役に立ちますので」


 『普通のフライパン』にも『属性レベルのアップグレード』が出来ることにシズクは驚いた!?これは『ハイパー・デンジャラス・スーパー・インフィニティー・クロスフィールド・オーバードライブ・ロマン砲なフライパン』を合成できそうである。40秒で支度するには、超高速に朝食の目「玉焼きトースト」を作成する必要があるからだ。


「なんか楽しみになってきました!元々、コツコツと何かをするのが好きな方なんで。戻って合成したいですね!」


 シズクは『鍛冶場』に戻り、再度フライパンの合成をすることにした。

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