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本の世界の鍛冶士 柊シズクの物語  作者: 川崎タイチ
鍛冶士見習い シズク編
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第07話 鍛冶屋『柊』の営業開始!

 加護を受けたシズクとフィーナは宿屋『ラパン』で早めの昼食を食べてから『鍛冶屋』に戻っていた。


「シズクさん、鍛冶屋のお名前どうしますか?今日から鍛冶屋再開になりますし、記念に看板とか合成とかもいいですよ?」

 フィーナは父の鍛冶場の名称変更を申し出た。


「名前変えちゃっていいのですか?この街で営業をずっとされていた鍛冶屋さんですよね?」


「ええ、構いませんよ。……というより、鍛冶士の名に併せて、お店名とか決めてもらった方が馴染みがでますね」


 シズクは鍛冶屋の名前を『鍛冶屋 柊』とすることにした。『柊』という名前が意外と気に入っていた。フィーナとシズクが『鍛冶屋 柊』に戻ると、鍛冶屋の前には10人程の人が集まっていた。シズクは何か失敗したのでは?と心配に少しなったが……実際、まだ『フライパン1個』だけしか作ってない。シズクは集まっている人に訪ねた。


「あのう……鍛冶屋で何かありましたか?」


 集まっている人から話を聞くことができた。


「あら?お姉さん、初めて見る方ですね?旅の方ですか?今日から鍛冶屋さんが再開するとギルド長のミッキーさんが教えてもらいまして、待っている所なんですよ」


 開店前にも関わらずシズクは予想を超える人盛りに驚きを隠しきれずにいた。その内の一人の女性が『フィーナ』の姿を確認すると……。


「お!フィーナさん、もしかしてこの『お嬢ちゃん』が新しい『鍛冶士』なのかい?」


「ええ、そうですよ!今日の火の刻に加護を受けたての新人さんです!まだまだ初々しいお年頃ですよ!」


「そうか!そうか!なら助かるよ!うちの調理器具が加護の力が弱ってきて困っていたんだよ。早速だけど付与してもらえないかね?煮炊きするのもこれじゃあもうダメで困り果ててたんだよ」


 街の人は『加護の再付与』の為に集まっている。合成して使い込んでいくと『加護の力』が弱体化していく。定期的に『加護を付けなおす』必要があるとフィーナから端的に説明を受けた。『鍛冶職人』だけでなく、他の『 職人見習い』は『加護の再付与うちなおし 《更新》』を最初に経験していくとのことだ。『加護の力加減』などの経験を積むことができる。


「す、すみません!まだ一度もやったことないので、うまく出来るか解りませんが、頑張ってみます!」


「ああ!大丈夫!大丈夫!『フィーナさん』でも『再付与』出来るんだから適正があるなら大丈夫さ!」


 さりげなくだが、皆、『フィーナは鍛冶職人としてはポンコツ』であると『街の総意』であるかのように語っていた。


「ひどいです皆さん……!鍛冶屋の娘が適正『無し』とか、……まあ……笑い話ですけど……」


 肩を落とすフィーナだが、街の皆はフィーナに対して『心の通った愛情』ある日常風景だとシズクは思った。大きい街ではない為か『フィーナの顔なじみ』のようだ。


「では、鍛冶屋2年ぶりにオープンですよ!皆さん!」


 フィーナが『鍛冶屋の再開』を一番喜んでいるようにシズクは感じた。この2年の間『父の暴走』により『街の住人』に不便をかけていた事への『後ろめたさ』と『申し訳ない気持ち』でいっぱいだったのだろう。そして、街の皆はフィーナを攻めることなく、『ずっと気にかけて』いたことも感じ取れた。この想い大切にしないといけないとシズクは心から想った。


 シズクとフィーナが鍛冶場に入り、一人目の客から預かった『お鍋』を『再付与うちなおし 』を始めることにした。


「フィーナさん、どうやって付与するのですか?先ほどの加護を受けたときのような詠唱えいしょうって鍛冶士にもあるのですか?」


「そうですね、『言葉』は『感覚を掴む』きっかけに過ぎませんね。『言葉をきっかけ』にして『付与するイメージ』を膨らませていくのです。そうすると『おのずと』属性の付与が可能になりますね。ものは試しに『私が唱えていた詠唱えいしょう 』を使ってみますか?」


 フィーナは手際よく釜に火を入れた。今回は『鍋 火属性』なので実際に『火にかけながら』詠唱えいしょうするとより『効果的らしい?』が……この行為も『きっかけに過ぎない』とのこと。『手順』などが重要ではなく『最終的に最高得点』の付与がでるようにの『雰囲気作り』の行為だ。


「あ!試しにおねいします!」


「ゴホン!ではでは、私のあとに復唱してみてくださいね!あ!ブローチも付けてですよ?」


「彼の者の愛用する『鍋』と『主』との『想いを紬ぎ』『蘇り』、そして、再び歩みだせ!」

 

 フィーナの詠唱えいしょうの言葉をそのまま借り受け、シズクは……


「なんか、舌を噛んで失敗しそうなので、ちょっとだけ……アレンジをば……」


 シズクは『慣れない詠唱』で『舌を噛んで』『大爆発!』のイメージが大幅に先行したのである。『危うく鍛冶屋を吹き飛ばす』可能性だった。『とある錬金術師のアトリエ』を思い出していた。


 そして、改めてシズクは『鍋に属性の付与』を開始した。目を閉じシズクなりのイメージを膨らませて唱えた!っと同時に『悪ふざけ』の邪念が沸いた


「 I'll be back!!」


 釜の火が踊り出し、そして、作業場が『炎の精神』が集まるりだした。そして『炎輝く精神』が『鍋』へと『帰還』した!


 ≪プロット帳:危うくアトリエが大爆発!を記帳した!≫

 ≪プロット帳:熱き溶鉱炉・親指立ててまた戻る!!を記帳した!≫


 しばらくすると『加護の効果』が『安定』してきたことを感じ取れた。無事合成は成功した!


「シズクさん出来ましたね!『イメージ』掴めましたか?」


「ええ……危うく『アトリエ』を吹き飛ばしそうでしたが……」


「アトリエ?ですか!いいですね!鍛冶屋って正直『漢』って感じが……何か引っかかってたので」


「あのう……アトリエはチョット個人的にマズいと思いますので……」


 シズクはアトリエは結構素材集めに翻弄と『輪廻転生』する可能性も考え、『ご遠慮』願った。『鍛冶屋 柊』にするつもりだったが、若干気持ちが揺らいだ。『鍛冶屋 アトリエ 柊』悪くはないが……柊のインパクトが落ちる事を危惧した。


「そうですか……名前に関しては、ゆっくりでも結構ですが、営業再開で皆さんに紹介しやすいように考えておいてくださいね」

「折角なので、『ライブラ』で『鍋』の属性レベルを確認してみます」


 フィーナは『属性付与レベル』を『ライブラ』の能力で確認をした。


「……ふむふむ……仮に10段階として『12.8』になってますね!大成功過ぎです!」


 シズクは予想以上の成果に喜び安堵した……が、フィーナはあまり喜んでいないようだ……やはりフィーナの鍛冶職人としての不甲斐なさに落胆をしているのだろうか?


「これでOKですね!何とかなりそうで良かったですよ!」


 しかし、フィーナは喜ぶシズクを少し注意した。


「ダメですね、属性が強すぎます。10段階評価で10以下にしてください。これでは使い手に負荷がかかりすぎです!あと、耐久度が大幅に下がってしまいます。鍋本来の機能を逸脱した属性値です」

「……ですが、今回はこれでもOKとしておきます。依頼された『持ち主の叔母様』には属性値が『ある程度低下』するまでは、大火力での使用を控えるように伝えます。でも、メリットもありまして、お湯が沸くスピードは相当速いはずですね。」

「初めての『再付与うちなおし』で気合い入りすぎただけですので、シズクさんお気になさらずに……」


「あははは……ちょーっとイメージしたのが『アツイ展開の名シーン』だったので『気合いマシマシ』になっちゃいましたね!」


 シズクは自らの発言に対し、心の中で『ラーメン』屋をイメージしてしまった。


 ……が、結果的に『ラーメン屋店主』のノリは良い方向性だった。肩肘張っていた1回目の『再付与うちなおし 』と違い、『丁度いい加減の再付与うちなおし 』を10人以上トントン拍子でこなすことが出来た。


 シズクはフィーナの協力で『初仕事』を何とか乗り切った。気がつけば夕方になっており、今日の鍛冶屋の営業は終了となった。

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