第55話 カーハツヴァイと高野山
シズクは軽快に飛ばし高野山……ではなくカーハツヴァイに到着するところだ。
……到着する……?
「って!ホントにチャンポン状態じゃない!」
シズクは道路標識を見て驚きを隠せない!
文字がファバーダの言葉で書かれているが、標識は国土交通省が設置した看板そのものだ。
さらに電光掲示板に……。
『本日午後4時よりアローナより行商人が第二駐車場にて露店販売……』
「第二駐車場!高野山でしょ!アローナ!カーハツヴァイじゃない!」
アローナ側、紀美野町側からアプローチしたときは高野山に入れなかったから確認できなかった。
――シズクは高野龍神スカイラインを抜け、高野山の街へ入った。
奥の院へ続く道の所々に異世界感半端ないの建物を数々を横目に通り過ぎ……。
奥の院入り口にある駐輪場にたどり着く――。
――シズクはジト目をキメ冷や汗を流す。
「普通にライダーいるじゃない……」
シズクは『いつもの早朝ライダー』の皆さんを眺めながら奥の院を通り過ぎる。
しかし、寺院に関しては異世界の建屋に変化していなかった。
元々高野山自体が日本の異世界のような場所だけによく馴染んでいた。
歩く人はファバーダの住人と高野山の観光客がチャンポン状態になっていた。
所々にあるお土産屋などの店員がファバーダの住人と高野山の住人のチャンポン状態だ。
異世界が入り乱れる高野山の状態でシズクがとっても気になっていた建物が目に入ってきた。
『あなたのコンビに』なコンビニ高野山店が気になっていた。
待ち合わせ場所は奥の院の駐車場を右に曲がった奥にある集落だが、シズクは気になったためコンビニまで遠回りをしてきた。
「……普通にファミマじゃん!」
何となく都の訛りが出てしまった。
――CBRをコンビニ前に駐車し店内に入る。
自動ドアが開き……。
『タラタラタラン♪タラタタタ♪』
シズクはジト目をキメた!
「普通のコンビニじゃん!」
ご丁寧にコンビニ奥には『ATM』まで設置されていた。
シズクは財布を取り出し、『SBJネット銀行』のデビットカードを刺した。
――IC対応だ!
表示された文字が……。
「え!ここはファバーダ語!?」
――シズクは普段の三倍は独り言が増えた!
書いている内容は当然日本語と全く同じだった。
――シズクは試しに出金してみた。
『ご利用ありがとうございました』
――当然、SBJネット銀行は手数料無料で出金できてしまった!
「強いわ……異世界でも手数料無料だなんて……」
試しに1万円出金してみると……!
「1000ゴールド分の札束が出てきてしまった……」
ファバーダのお金は想いだすと、最初に『再付与』のお仕事をした時に3,000ゴールド分の札束を受け取って以来だ。それ以降はフィーナやエルチェが立て替えて貰っていたが……?
「4ゴールドでパブで1杯飲めて、20ゴールドで『お宿で一泊』位だった……気がする」
少し冷や汗をかきながらコンビニの商品の値札を見てみると……。
――スマートフォンで電卓を起動し計算した。
「……なんだ値段変わんないじゃん!」
美味しそうなサンドイッチを日本円に換算すると240円だった。
シズクは少し残念な気持ちになったが、アローナとでは物価が5倍差 くらいがあった。
「アローナで3,000ゴールドを一日で稼いだけど、日本円で三万円かな」
「うーん……稼ぎ悪いね……」
女子高生が一日で三万円稼げる商売ならかなり良いと感じられるが……?
250万のバイクをポンと買えるシズクでもあった。
シズクの錬金術は相当な腕があるようだ……!
「アローナで過ごす分にはいい稼ぎなのね……」
――アローナでの報酬を『円』に換金できる事が解った!
シズクはコンビニを出て再度奥の院入り口へ戻った。
名水探偵事務所がある集落は奥の院から先にある。
パン屋の前との事だが……?
奥の院駐車場を通り過ぎ、奥の集落へ到着すると……。
「パンのいい匂い……」
香ばしいパンの匂いが漂ってきた。
パン屋の前には……
『名水探偵事務所』のアンティーク調の表札が門の所へ小さく掲げられていた。
丁度、探偵事務所の前に見たことないバイクが停まっていた。
シズクは横並びにCBRを停めた。
「珍しいわね……250CC?……あ!400CCか!」
和歌山ナンバーのカワサキ製バイクが停車していた。
ナンバープレートの外周に『緑の枠』があるため400CCと推測した。
「……650CCだ!」
――聞き覚えのある声だ!
振り返ると見覚えのある『金髪美少女』が立っていた。
「……ふむ、シズク?だったか?」
「……私の記憶だと……30回前の……いや、31回前だったか?」
『高野山・大門前』で出会った、七海の事を『ゼロディバイド』だと力強く言っていた少女だ。
「あのう!私のこと……判るのですか?」
シズクは心桜の件もあることから、『時間軸』か『世界線』的な何か違う高野山へ来たと考えていた。
「……ふむ、おぼえている……と言っても、既に31カ月経過しているが。正確に言えば31回目の11月だ」
「え……輪廻……」
シズクは散々聞かされている『輪廻側』と『二律背反側』の事を思いだして直ぐに理解した。
「……ふむ、理解が早くて助かる」
「……私的には……この秋の高野龍神スカイラインを走り廻れて意外と満足をしているのだ!」
「……しかし……困ったことに、永遠に11月というのも困ったものだ」
「……バイクとは別に『ジムニー』を購入したのだが……納車が12月なのだ!」
独特な喋り口調を気にしながら、シズクは問いかける。
「あの!私、心桜さんを訪ねて来ました」
「……エルチェの事だな?」
「……心桜さんから聞いている。『正確には川崎心桜』からだが」
シズクの疑問に対して『解』をあっさりと提供してくれた。
「じゃあ、エルチェは……」
シズクは少し安堵したが、エルチェの想いが感じられない『このセカイ』へ不安も拭えない。
「……まだ存在していない」
「エルチェ……存在してない!どうして!」
安堵から動揺へと変わるシズクを見て『花梨』は寄り添う。
「……まあ待て!少し変なことを言うけど、理解して貰えると助かる」
「……長い話になり兼ねないし、何より寒い。探偵事務所に入って話そう」
「……心配するな。きっとシズクにとって『悲しい』事にはならないはず」
「……このセカイの理について、シズクは理解する必要がある」
シズクはこのセカイについて花梨から詳しく聞くことになった。





