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本の世界の鍛冶士 柊シズクの物語  作者: 川崎タイチ
風の移動要塞・カーハツヴァイ エルチェの物語編
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第48話 風の移動要塞・カーハツヴァイの人形師④

 工房に戻ったシズクとエルチェたちはその足で輪廻側であるシズクたちの世界へいったん戻った。

 図書室に帰還するとシズクは即座にスマートフォンを手に取り、七海にメッセージを送信した。


 ……『七海さん。今どちらにいますか?』

七海から返答が直ぐに届いた。


 ……『ん?今、水槽楽部の部室で水槽のメンテナンスしてるけど……』


 シズクは予想外…ではなく、予想通りの展開だった。


 高野山で出会った時間に関して大きな疑問を感じていた。

 ファバーダに転移した際は、いつも通り放課後に図書室から転移をした。

 その後、数日間は工房で過ごし、カーハツヴァイへと出かけた。

 いつも通りなら『転移前と同時刻』に戻れるはず……。


 ――当然、今回も同じ結果だった。

 ……しかし、カーハツヴァイで『七海達と出会った』事で『タイムパラドックス的展開』が起きるのではないかと危惧した。

 カーハツヴァイで出会った七海ななみは、確かに川崎 七海ななみ本人だったからだ。


 七海ななみ本人に会って話を聞くことにした。


 ◇


 『水槽楽部部室』はプールの隣にある別棟にある。

 別棟丸々一棟を不当に占拠していた。

 ただ独占しているだけでなく、『隣にあるプール』までも占領していた。

 水槽用の『水』やら『浄化装置』等をプールの下まで配管されている。


 ――まさにラノベ展開・漫画展開満載の部室になっている。

 さらに付け加えると、部として『水槽楽部』は存在を認可されていない。

 だが、『水槽楽部』として存在できている。


 水槽楽部の正式名称が

 ――『和歌山県東女子高等学校生徒会水槽楽(有志にる団体)部』だ。

 水槽楽部全員が『生徒会役員』にあたり、東高校の生徒会として『ごく普通の生徒会』を運営しながら『悪行の数々を繰り返している』


 シズク自身はアクアリウムには全く興味は無かったが、水槽楽部のメンバー、特に『七海ななみ』とは深い仲だった。学年とクラスが一緒……だが、理由は別にあった。


 自転車置き場を過ぎ、今年に入り新しくできた『バイク置き場』の前を通りかかる。

 15km以上通学の生徒は『バイク通学』が認められている。


 可愛い原付やらスーパーカブ……中には『ホンダ PCX』までズラリと並んでいた。

 近年バイク通学が出来る学校自体少ないため、遠くからわざわざ通学する強者まで通学している。


 ――その中で……。


「YAMAHA R1、痛バイク仕様……」

 シズクはジト目をしながらR1を眺めながら通過する……。

「……ないわ……」

 シズクは痛車やアニメ絵が苦手というわけではなく、『学校へ乗って来るのか!?』というTPOに引っかかる……。


 ――そもそも……誰のバイクだ?


 痛バイクの隣には見た事あるバイクも停車していた。

 特徴のあるパーツと『見覚えのあるステッカー』がポイントで貼られていた。


「……たしか七海ななみちゃんの家って学校から遠くなかったような……」

 15Km以内は……だが、『生徒会の課外活動』でバイク通学を許されているらしい。

 七海ななみちゃんのCBR250RRが駐車しているが……。


 ――七海ななみとはカーハツヴァイで出会った。

 仮に一瞬でカーハツヴァイ・高野山まで行く手段があるのだろうか?

 色々と『時間』の矛盾が大きすぎるからだ。


 水槽楽部の入り口まで来ると、部室一階は遮光されていた。

 コケ対策で外部の光を遮断しているらしい。

 外部から見ると『秘密結社の支部』状態だ。


 ――恐る恐るシズクは部室のドアを開け中に入る……。

 薄暗い部室で黙々とメンテナンスをする七海ななみがいた。


七海ななみちゃん、まだ部室にいたんだね?」

 ――授業が終わり夕方から部室にいるようだ。


「授業が終わってから『生徒会の仕事』が一段落してから毎日来てるよ」

「水槽って毎日手をかけると水槽は答えてくれるからね」

「日々の積み重ねが『水景』の維持に繋がる……かな?」


 七海ななみは手際よく水槽のメンテナンスをしながら話してくれた。


「それで……私に用があるのかな?」

 七海ななみの方から本題に入るきっかけが貰えた。


――シズクは早速本題に入る。

「……異世界……カーハツヴァイにさっきまでいなかった?」


「ん?カーハツヴァイ?」

 七海ななみは聞いたことがなさそうな雰囲気を出した。

 ――シズクは予想していた。

 カーハツヴァイで出会った七海は、『同じ時間軸』の七海では無いと考えていた。


「もしかして、並行セカイの事かな?」

 ――七海は異世界に関してやはり関わりがあるようだ……!

「でもちょっと違うんだよね。紙一重の差?なんだろうけど、人で観測できる変化……じゃないと言ったらいいのかな?」

「たしかに存在はするけど……花梨カリンちゃん的に言えば『事無ごとなきセカイ』」


「……それって、『あの世……天国』って事にならない?」

 シズクは天国と行き来しているのかと感じてしまったが……。


「でもないかな?創造のセカイというべきかな?」

 ――創造主達が住む異世界と捉えているのだろうか?


「たしかに、それなら『納得はできない』けど、まだ受け入れやすいかな?」

「私が『鍛冶士』として重宝されているし……」

 鍛冶士もある意味でいう『創造主』なのかもと思ったからだ。

 想いを紡ぎ力を付与し、人々の役立つ道具を創っている。


 ――だからこそ、ファバーダでの『エルチェの創造主』である人形士『心桜こころ』に会いに行く。


「んで、その異世界での人形士さんが『心桜こころ』さんなの」

「異世界側で『七海ななみ』ちゃんと出会って……会いに行くなら私達のセカイからの方が『ずっと近道』ってことになったの」

七海ななみちゃんの家に行けば会えるって……七海ななみちゃんがいってた……」


 ――提案してくれた七海ななみ本人に経緯を説明する変な構造だ。


「……なるほど……合理的だね」

「私ならそう言うかな?」

「でも、いいのかな?何か気になるけど……私がOK出したなら良いのかな?」

 七海ななみは少し考えて、『結果的には大丈夫っぽい感』の表情をした。


「それじゃあ、多分だけど家に居ると思うけど……今日晩ご飯食べに来る?」

「今日は『都合が良い』かも……双葉が合宿で夜来ないと思うし」

「それからなんだけど、私は『関われない』から」

 七海ななみの言う『関われない』は面倒事が嫌とかではなく、どうやら『物理的』とか『空間的』に当たるような話素振りをした。


 シズクは七海ななみの家に『心桜こころさん』に会いに行くだけでなく、夕ご飯もご馳走になれるようになった……!

 七海ななみの家はシズクの家からそう遠くない場所だ。


 ――但し、田舎道のため『ノーガードの川』や『側溝におちない』ように注意する必要がある!

 付け加えていうなら田舎の為、と猪突猛進型モンスター『INOSISI』に襲われる危険もある!

 夜間の外出は『異世界のような危険』を伴うのだった――!

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