第44話 ミカの想い・エルチェの暴挙・ナキの目標
「って!ミカさん!また来たのですか!」
「……早速施しを受けてますね……」
シズクはジト目で見た……!
ミカは肉をほおばりながらシズクに答える。
「二つ目の街灯安定させ易かったでしょ?」
……ミカの言うとおり『雑念』が少なかった気がした。
――二回目だからか?
「ナキ、こういう『職人的作業』をするときは人払いをしてするものよ?」
「もし、シズクでなかったら『火のスフィア』が下手したら爆発して『噴水前が火の海』だったわよ?」
「たまたま、シズクのキャパシティが『人の域を超える』程の才能があったから問題なく紡いじゃったけどね」
ミカの引き締まった表情を観てシズクは察する。
「これって……けっこう危険なの?」
「ただの街灯だよ?」
食べ終えた串を咥えながらミカが答える。
「そうよ。この街に流れる精神の流れを利用する街灯」
「このファバーダ?だっけ?このセカイで実現できているのって『カーハーツヴァイ』だけだよね?エルチェ」
シズクはエルチェを観る……。
「……そうですね……」
エルチェが少し表情を曇らせている。
「ミカさん、確かにこの計画をしたのはエルチェとナキちゃんです」
「でも、最終的に完成させたのは私です」
シズクはエルチェとナキをさりげなくかばった。
「シズクはこのセカイの理をまだ『うわ水を掬った』程度の経験よ」
「それなのに街に流れる精神の流れを掴むような高等テクをやったって事」
「ラノベやゲームのセカイならまだしも、ちょっと無謀過ぎるよ」
――課金中毒者のミカに説教を言われるシズク。
「……でも、失敗する気が全然ないんだけど……」
――諭すミカに抵抗をみせるシズクだった。
「ミカさん……サポート、お願いしてもいいですか?」
「……まあ、良いわ。vTunesカード一万円で手を打とう!」
……シズクはジト目を決め……。
「本宮大社に……」
……ミカはジト目を決め……。
「……神を脅すとはなかなかのゲスね!」
シズクは意外と冷静にミカを言いくるめた。
「ミカさん、私に鍛治士としての才能がある……あるとは思います」
シズクは自分の才能を自覚をして……。
「……才能より、この街の人の想いを素直に受け入れ、紡いだまでです」
「才能は努力や皆の想いがあって、初めて成功すると思います」
「私は……ただ、この街の一員として役割を果たしているだけなんです」
「難しい事を成し遂げる時、この街の想いが支えてくれている……」
「……だから、私は失敗しません。だけど、期待が大きく120%みたいに成功しすぎる事も……フライパンの時にありましたけど」
「それに、エルチェは『私のドール』です。彼女の気持ち……気付かないわけないです!」
シズクは『エルチェの暴挙』に近いと思われる大きな仕事を受け入れ、想いを形にした。
ミカはシズクの想いと行動に『呆れた表情』をみせ答える。
「……あんたって、やっぱり努力と才能のバランスが取れるんだな」
「本宮大社で出会った時からずっと感じてたけどね」
「よしわかった!今回は特別だ!私も手伝ってやろう!」
天照大神であるミカの協力でアローナの街灯設置を進めることになった。
◇
「よし……!終わった!」
シズクは街灯設置を全て終わらした……!
なんとか『闇の火の刻』以内に全ての街灯へ『スフィア』を装着出来た。
「……わ、私の右腕が!!」
ミカの右腕が……!
「……筋肉痛で今にも悪しきモノを吐き出しそうだ!!!」
引きこもり生活のお陰で、右腕が悲鳴を上げた!
ネットゲームで鍛え上げたマウスを持つ右腕では重荷だったようだ……!
「ミカさんのお陰で作業がスムーズに行きましたね!」
「……というより、私が『水属性』なのもあまりお役に立ててなかったですね……」
ナキは『水属性』の為、今回のような『火属性』の付与ではただの人だ。
ただ、火災には役立ちそうだが……?
ファバーダは『属性』が最優先されるセカイであるために、火属性をナキが扱うには厳しいセカイだったが……?
「そういえば、ミカさんは『太陽神』であるなら、『闇の刻』なのに……どうして役に立ったのですか?」
ナキはドストレートに失礼な事をミカに訪ねた。
「……なかなか失礼なガキね……!」
ミカはジト目を決めナキに説明をする。
「……我が右腕に封印し!!!」
「シズクさん、ご無理通してすみませんでした……ミカに指摘された通り、少し街の発展を急ぎすぎましたかね?」
ナキは中二病のミカを無視しつつさりげなく呼び捨てにした……!
「……って!ナキ!サラッと無視するなや!」
若干うさんくさい関西弁で答える……?
「そんなことないよ?ナキちゃん。何処かの『中二病・ゲーム脳の神』と違って、ナキちゃんはこの街の一員として活躍したんだから!誇って良いわ」
中二病を放置して、シズクはナキを褒めた。
「まあ私程になると『例え闇の刻』であっても『鍛えあげた右腕』で闇を振り払う事、造作もないのだよ!ナキよ!……って、さりげなく呼び捨てにしなかった!?」
太陽神であるミカが熱く『右腕の闇』を語り出すのを無視し、三人はミカから距離を置き……。
「ナキさん、シズクと私だけではとても実現出来なかったと思います。ナキさんが『街の人との絆』を構築してくれたから『街灯』が完成したんです」
「これでアローナにも『カーハーツヴァイ』や『アルハンブラ』と同様のシステムがでました!」
「アンデッドからの恐怖もかなり軽減されますね!」
シズクは『街灯』だけで大きく街が発展するとはピンとは感じていなかったが、エルチェの『アンデッド』の一言で、『このセカイは異世界』だったと改めて思った。
シズクのセカイでは『夜にアンデッドが発生!!』なんて事はもちろんないからだ。
ナキが取り組んだ公共事業の『大綱』がシズクには少し見えた。
……整備されていない荒れた道……。
……暗い夜道……。
シズクの街灯に整備されたレンガ作りの道。
どちらが安全か言われるもなく後者だ。
シズク達の功績で『アローナの街』に闇の刻であっても『経済活動が可能』な街へと進化した!
港街であるアローナにとって大きな一歩になる。
「もしもーし?シズクさん、エルチェさん、ナキ?誰か忘れてませんかー?」
さらに三人との距離を置かれるミカ。
「さて!シズクさん、エルチェさん!ラパンで夕食にしましょう!」
「バニラさんがきっと美味しい夕食……ご用意してくれてますよ!」
「ナキ様!ぜひ私も夜の宴に!!!」
闇の刻、闇に堕ちる太陽神であった。
――夜だから当たり前といえば当たり前か?
「仕方ないですね……ミカも行きましょう!」
女子高生であるミカも小学生であるナキの手に堕ちたのであった……!
天照大神であるミカが求心力や存在力が無いのは『闇の刻』――。
ファバーダは全てにおいて『属性』が最優先される世界。
太陽を司るミカにとって『昼』と『夜』に大きく影響される。
4大属性神は、『属性時間』に大きく左右されるが、『昼』と『夜』ではまた違った理がある。





