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本の世界の鍛冶士 柊シズクの物語  作者: 川崎タイチ
港街アローナ・ビルド編<街灯ビルド>
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第33話 シズクの銃と美味しいお肉?

 ミッキー達の予定では、あと1日かけて現地に行く事になっている。

 ミアスを運転するミッキーの精神力温存を兼ねているらしい。


「……って!シズク!お前ホ……にミアスを転……よく平……られるな!」


「何言ってるかわかんないぞ!!!!」

 エルチェは切れ気味に答えた。

 シズク達は昨日と走行順を変更した。

 シズクが後ろだと『ミッキー達のケツ』を永遠に見続けなければならないからだ。

 さらに言うと、クリスが後ろ向きに乗車しているので、気にもなっていた。


 シズクにはある考えがあった。

 その為に、あえて・・・先頭を走行する事を提案していた。

 そして、しばらく走行していると……昨日同様に力尽きるバニラだった。


「し、シズク!休憩だ!」

 バニラが運転するミアスのスピードが低下していく……!


「……エルチェ……よしやれ!」

「あいさー!」


 シズクの合図でエルチェはボウガンを持ち出した!

 ボウガンの矢にはロープが括り付けられている!


 ――カシューン!!

 ボウガンの矢が勢いよく飛んでいき、ミッキー達のミアスに引っ掛けた!?


「シズクOKよ!」

「……よろしい!エルチェ軍曹!」

 シズクは何処からか不明だが『軍用ヘルメットとゴーグル』を取り出し装着した!


「シズ……!!何……!……って!……な!?」

 シズクにはミッキー達の声が聞こえていないようだ!?


「……ではぶっ飛ばすよ!エルチェ!しっかり捕まる!」

「アイアイサー!」


 シズクはチンタラ走るミッキー達への苛立ちを晴らすかのように全力で加速する!!

 ――ここは勿論、異世界だ!

 ――だだっ広い広野。

 障害物一つない広野だ!


 ――シズクはミアスで出せる最高速を目指す!


 ――ギュィィィィィィン!

 まるでH2のようなスーパーチャージャの音を奏でるミアスのパワーユニット!

 颯爽と加速する?……ミアス!?

「……やっぱり音だけだね……」

 シズクはミアスのトルクの無さに残念そうだ……!

「シズク!十分早いから!?」

 丁度小さな丘をジャンプ台変わりに、ミアスは宙を舞う!?


「うーん……私のボルドールより全然遅いよ!」

 エルチェは後ろを振り返ってみると、バニラ・ミッキークリスの三人は虹色の液体を口からマーライオンしている!

 彼らは完全にシズクのライディングのテクに魅了されていた!

 ――言い換えれば、車酔いだ!


「ちょっと!シズク!後ろの三人ゲロってるよ!」

「……ええ!?根性ないな……バイクで酔うって……」

「根性が足りないわ……!」

 シズクは爆走を自重し、ミアスを停車した。

 後ろの3人は顔が真っ青になっている!


 ◇

 シズクの頑張りにより、バニラ達の考えていたプランよりかなり早めに到着できた。

 シズクはバニラ達の案内通りの場所に到着したが……?


「……ミッキーさん、本当にこの場所で合ってるのですか?」

 シズクは到着した場所に違和感感じている。

 大きな湖と豊かな森林が広がる湖畔だからだ。

 よく観ると、湖畔には小さな船小屋まで建っている。

 そこにはペンションのようなたたずまいの船小屋だ。


 ――シズク達は、『火のスフィア』を回収に来たはずだが……。

「火のスフィア回収に来たの……ですよね?」

 水辺の美しい『雰囲気的には水のスフィア』だが……。


「ん?ここはハルネの地の真っ只中だから、火の加護のモンスターだ」

「ここら辺のモンスター討伐すれば小さいながらも火のスフィアを内包してる」

 ミッキーはシズクの疑問に答えが……?

「……まあ……デカいの……」


「ん?ミッキーさんいま何かボソッと言わなかった?」

 エルチェがミッキーを問い詰める!?


「いやいやいや!なにも口走ってないぞ!」

 シズクとエルチェはジト目をキメる!!!

 もう一度言おう!……シズクとエルチェはジト目をキメる!!!


 シズクとエルチェは、ミッキー達の行動を怪しんでいる!?

「ワシらは何も企んでいないぞ!」

 そわそわするミッキーの後ろでは、『ロングソード』の手入れを入念にするクリス、そしてバニラは『ミドルソード』を二本取り出している!

「今度こそは料理してやるわ!」

 バニラは料理人でもあるが……『ソード二本で料理』とはどういう意味合いだ?

「お前!暗黒騎士なのにミドルソード?なんか暗黒騎士っぽくないわよ?」

 禍々しさ溢れる『どす黒いロングソード』を片手にクリスはバニラを茶化す。

「ナイトの貴方が『暗黒剣』持ってる時点で変態だわ!私の方がマトモよ!」


 ……シズクとエルチェはジト目をし、『バニラとクリスに指を指した』!!!

「おいおいおいおい!バニラ!クリス!そんな物騒な代物は閉まっておけ!」

「嬢ちゃん達がビビっているぞ!」

 シズクとエルチは『この3人は確信犯』であると認識した!

 シズクは変態三人は「ヤバいモンスターをぶッコロ!」予定であると確信した。


 シズクは、一応……魔法剣士の加護を受けては・・・・いる。

 魔術師と戦士の加護を受けることで『魔法剣士』となっているが……。

 当然ではあるが、『剣』を持って来ていない。

 ただの女子高生にもちろん『剣のスキル』は無い。

 シズクはエルチェと『ユニゾン』する前提のようだ……!

 シズクのレベルはLV3である! 職業LvもLV1だ。

 ちなみに、シズクのLVが中途半端にLv3になっているのは、この旅の前にエルチェに注文していた『デザートイーグル風の銃』の試射ことでLvが上がっている。

 製造が難しいかと思われていた『銃』ではあったが、『エルチェとシズクの知識』を『ファバーダ』と『シズクの世界』でユニゾン能力でやりとりをしてエルチェが試作していた。

 ミッキー達のミアスに矢を打ち込んだ時に使った『ボウガン』も『デザートイーグル風の銃』製造途中の産物だ。


 ……但し、難アリだ!

 ファバーダで精密な武具の工作が出来ない。

 更に言うと、『火薬』がないからだ。

 『火薬』に関しては『火のスフィア』が存在している為、ファバーダでは必要ないからでもある。また、『良質な鋼の錬成』ができない。

 ファバーダでは良質な鋼が必要な『日本刀』や『高性能な銃』が作る方法がまだ確立していなかった。


 ファバーダは『属性と精神』が大きく影響される世界である。

 また、『魔法』があるお陰で、銃や弓の発展も微妙だった。


 見た目とブローバックする構造はできたが、実際の銃のように弾丸を飛ばして攻撃は出来ない……が、副産物として『1発花火』をあげる事ができる銃になった。


 ――『1発の花火だけだが……』


 秘密兵器として『デザートイーグル風の銃』を持ってきた。

「さあさあ!私たちの武器はどうでもよくてよ!」

「明日の『狩り』備えて豪華な夕食を作るわ!」

 怪しげな武器をそそくさとバニラは仕舞い、今度は料理用ナイフを持ちだした。

 サバイバルキャンプ2日目の夕食の準備にとりかかる。

 湖畔でBBQをする事になったが……。

 大自然の中で昨日始末したバウンスの子を美味しく頂くことになった。

 1日経過したことにより『熟成』が進み、更に極上の肉になっていた。


「ああ……いい感じに熟成しているな!」

 ミッキーは肉の熟成具合に満足しいる……?

 肉の表面をそぎ落とし、赤身をスライスした。

 スライスした肉に岩塩をパラッと振り掛け……

「シズク、バウンスの生肉だ。今回の主催だからな一番に味わってくれ」

 差し出された肉にシズクは躊躇した。

 シズクは食中毒を気にした。

「シズク、バウンスの肉なら大丈夫だよ。馬肉……と考えたらいいかな?」

 躊躇するシズクにエルチェは助言をした。


 シズクは生肉を……食べた……!

 ……。

 ……!?


「な、なに!?凄く甘い!?これホントお肉!?」

 サッパリとした赤身の肉だ。

「……だろう?バウンスの肉は捌いてから『時が一周・・・・』したタイミングが最高の味わいなんだ。このタイミングのBBQが最高の贅沢だ」

「アローナの街だとバウンスの肉刺しは食べられないからな」


 ……?

 シズクは疑問に思った。

 1日経った肉ならば昨日のキャンプポイントから間に合いそうだからだ。

「あのう、ミッキーさん」

「昨日のキャンプポイントからならアローナまで十分帰れますよね?」

「どうしてアローナじゃあ提供できないのですか?」


「……?」

「……ああ!シズクは知らないのか……そりゃーすまんすまん」

「……シズク。この肉は謎肉だ!……判ったな?お前は何も知らなかった……良いな?」


 ……エルチェがシズクに『心』へ語りかける……!

「――あ……ごめんねシズク。バウンスは密猟だから!」

「――基本的に、狩って食べたらダメなんだよ」

「――まあ、『鍛冶士シズク』が同行で……アローナの領地だから大目に見てくれるけど……基本死刑だね!」


 ……シズクは『ジト目』をミッキー達に思いっ切りキメた!!!

 そして、皿に切り分けられたバウンスの生肉を味わった!


「……まあ、ヤッテシマッタノはシカタナイ……」

 シズクは肉の味に満足しているようだ……!


「……お!シズク姉さんもイケる口か?」

「……バニラ姉!御大将の許可が出た!帰り道でも、もう一匹行っとくか!?」


「私は何も知らないからね!二匹目はダメだよ!!」

 シズクは暴走しそうな筋肉野郎を止めた!


 その後密漁した肉をシズク達パーティーは堪能し2日目の夜は更けていった……!


 ……そして明日は、火のスフィア回収の為の狩りが始まる……!

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