第20話 鍛冶士ローズとドールたち
シズクは、驚いていた。
ローズが鍛冶士……よりも、とても小さい双子?らしき子供が剣を合成していた。
「シズクは、『ドール』を見るのが初めてのようだな?」
「……この子達は『人形』なのですか!?」
「正確には意思を持つ人形……オートマタに近いがね」
ローズと会話している間も、ドール達はせっせと鉄を打っている!
――カンコンキン!カンコンキン!
……そして、もう一つ気になったことが……。
「ローズさんは……」
「ああ、見ての通り『鍛冶士』だ!」
「そう、このアルハンブラの正鍛冶士『ローズ・アルハンブラ』この街の代表だ!」
「まあ、今日はシズクを招いたのは、『浄水釜』の礼をしたいからだ!」
……礼に関しては、協会を通して十分な報酬が頂けるようになっていたはず。
「あのう、報酬は協会を通して頂けるとお伺いしていますけど……」
「そうだな、わが国としてアローナに対して礼をした」
「しかし、私自身、鍛冶士としてシズクに礼がしたいのだ」
――シュゥゥゥ!!
鉄を冷やす音がアトリエに響いた!
「ご主人!剣出来たぞ!」
「確認!確認!」
可愛いドール二人が、ドール達より大きな剣を二人で持って来た。
「よし!良い出来だ!仕上げを行う!」
「シズク、見ていくといい」
ローズのステッキが再び輝く……。
風の精神がローズを包みこみ……。
風の精神が集まりだすと共に、ドール達が剣を二人で支え……。
アトリエ全体を穏やかな風の精神で満たされる……。
「剣に……命を吹き込む……!」
「風の精神よ!剣の鋭き刃となり主と共に意思を貫け!」
アトリエ全体に広がっていた風の精神がドール達が持つ剣に集まる……。
「ご主人!風の加護!バッチリ!」
「完璧!完璧!風の加護バッチリ!」
ローズの加護の付与はアッサリとしていた。
無駄な動きは一切ない、あざやかな手際だった。
「ふむ、まあまあだな」
「この剣は親衛隊用の皆が使う剣だ」
シズクはローズの合成に拍手を送った!
まさか、剣を合成するときに『手伝いをしてくれるドール』の存在を知り、目をキラキラ刺せていた!
合成が終わり、椅子に『ちょこん』と座っているドール達が気になって仕方がない……。
シズクは『本能』のままにドールを撫でてみたくなって……。
子犬を撫でるかのように撫でてみた!
「……ご主人!こいつ何者!?」
「馴れ馴れしいぞ!馴れ馴れしいぞ!」
ドール達はシズクに対し『ジト目』をキメた!
シズクはドールを触って感じたことがあった。
『人肌くらいに暖かい肌』と『生命を感じる器』を感じ取った!
「シズク、紹介しよう。ご主人って言っているコイツが『カサ』で、同じ事を復唱するコイツが『ミラ』だ!」
「私の良き相棒達だ!」
「シズク!『カサ』だ!ご主人をよろしく!」
「シズク『ミラ』だ!ご主人の面倒見るのだ!面倒見るのだ!」
「お前ら!なんで私がシズクに面倒見られなきゃイカンのだ!」
「見てみろ!ご主人!」
「キッチンがゴミ溜めだぞ!ゴミ溜めだぞ!」
ドール達がキッチンの惨劇状態を危惧していた!
「相変わらずですねー。ローズさんは『鍛冶はアルハンブラの代表』ですが、家事はアルハンブラの不衛生代表ですね!」
シズクは、このドール達が欲しくてたまらなくなっていた!
愛らしさは元より、『武具の製作』も手伝ってくれるようだ。
どのような原理で出来ているかは不明だが、当面の目標としてシズクの工房にも『ドール達』をお迎えしたいとここから願った。
「どうだ?シズク。武器の合成一連の流れは感じ取れたか?」
ローズの台詞に合わせるかのように『カサ・ミラ』が完成したての『風の加護の剣』を持ちポーズをキメた!
「シズク!ご主人の凄さ判ったか?」
「シズク!覚えたか!覚えたか!」
ローズの作業を見ていて『ファバーダでの武器の合成』は感じ取れた……が、同じ事は出来ないことも判った。
――シズクの工房には『ドール』がいないからだ!
――ドールは売っているのだろうか?
「大体ですけど……フライパンと変わらないですね?」
シズクは率直な感想を述べてみた。
「あはははは!」
ローズは大声で笑った!
「そうだ!大体そんな感じだ」
ローズの言葉に同調するようにフィーナも語り出す。
「シズクさんの考え、合っているのですよ?フライパンだから……剣だから……盾だから……と考えること無く、合成に対し真剣に取り組む事が重要ですね」
「で、本題に入るが、シズクに『浄水釜』のお礼をしたい」
「まあ、私は『風属性』特化に近い鍛冶士でな……自分のお膝元の『釜の再付与』が出来ないというお笑い者だ」
「この国の鍛冶士としては情けない話だ」
「正直、再付与だけでも十分飯は食える」
「だが、鍛冶士の醍醐味はやっぱり『武具』の製作だ!」
「本来なら、アローナの工房にもアシストドールが居たのだが……」
「私の父に同行して今は居ないのですよ……」
「わ、私の工房にもドール居たのですか!」
シズクはとても残念そうな表情を見せた。
「で、今回の働きを評価して、シズクの工房へ『ドール』をアルハンブラから贈ることにした」
「ありがとうございます!」
シズクは大展開に大喜びをし、『カサとミラ』に抱きついた!
「ご主人!私達はコイツの工房へ島流しなのか?」
「流刑なのか!流刑なのか!」
「シズク!違う!違う!」
「カサとミラは『私のドール』だ!」
「そもそも、ドールとはな……」
――ドールが贈られることになり、ローズによるドールに関しての説明を受ける事になる。





