↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
本の世界の鍛冶士 柊シズクの物語  作者: 川崎タイチ
アルハンブラ浄水釜 再付与(うちなおし)編
PR
16/120

第16話 『ナキの本』と『浄水釜のスフィア』

 フィーナは加護を2つ以上同時に付与するのは難しいとは言わなかった。

 むしろ、出来ないと言いたそうだった。

 しかし、シズクが再付与したポットには『火属性と水属性』の加護が宿っていた。


 ――シズクは不可能だと思われていた事を成し遂げた!

 しかも『火と水』だ。対極にある属性を付与したのだった。


 だが、考え方を変えれば、コーヒーという嗜好品を楽しむ道具だ。

 理に適っているのではないかとシズクは考えていたのだ。

「ナキさん如何でしょうか?」

「元々は火属性の加護を受けていたポット、水属性のドリッパー、そして火属性のサーバー」「この3つは本来であれば『火と水』両方の加護を受けるべきだと……」

 シズクが出した答えに対し、ナキは語り出した。

「これらの道具は『戦いの道具』ではない……したがって『火と水』が対立ではなく、お互いを称え合い、助け合い存在するべきだということかな?」

 シズクが言いたかった言葉をナキは的確に紡いだ。

「はい、私はこう考えました」

「ポットは熱を求め、そして癒しの水を求め……」

「ドリッパーはコーヒーを美味しく、そして湯の温度を落とさず、適温で抽出し、香りを立て、楽しませて……」

「サーバーはベストな状態でコーヒーを最後の一滴が落ちるまで支える器だと」

「これらを実現するには『火と水』の力が供に協力する必要があると想いました」

「だから、『火と水』両方の加護を与えるべきだと私は……想い……加護を与えました」

 シズクはナキに自分の出来る精一杯で『コーヒーとお菓子のお礼』をした。

「シズク……貴方の想い、とても嬉しいわ……」

「では、折角なので水瓶の再付与が終わったら、コーヒーを淹れてみましょうか」


 水瓶の再付与は『水属性低下』の回復をした。

 元々キレイな『井戸の湧き水』を汲み置きして、使い勝手が良いようにと設置された物だ。

 シズクはナキのいる部屋の『玄関』から出て、井戸から水を汲み、補充もしておくことにした。


 ――外は不思議な空間だった……。

 ――満点の星空……。

 ――微かに見覚えのある『神社』……。

 シズクはぼんやりとだが……『この場所を知っている』気がした。

 ……この世界は『神様の世界』ではないかと感じた……。


 井戸の湧き水から水を汲みナキのいる部屋へと戻った。

 再付与をした水瓶に水を入れ、再付与は無事終わった。

 ……シズクとナキは『コーヒー』もう一杯楽しむことにした。


「ありがとう、シズク。これで私の大好きな『癒しのひととき』を楽しめるわ」

「お礼として、この『本』を差し上げるわ」


 ナキは『人では理解できない』言葉を紡ぎ……一冊の文庫本を出した!

「色々な本を読んでいるシズクからしたら『よくある悲しい物語』かもしれないけど、もしよかったら読んでね」

「ありがとうございます!」

 シズクが『読んだことが無い本』を貰うことが出来た。

 ……しかし、表紙の『字』が読めなかった。

「この本を読むには、その世界へ行けば読むことが出来るわ」

「あのう……他にも異世界があるって事ですか!?」

「ええ、あると想えばある……ないと想えば無いわね……でも、その本はファバーダでは読めないから、自分の世界に戻ってから、『興味があれば』読むといいわ」

「では、私はそろそろ『浄水釜』に戻ります。フィーナさん達を待たせしておりますので……」

「お別れの時間ですね、また会える日を楽しみにしているわ」


 そして、シズクが部屋を出ようとした時……。

 ――来たときのドアが無い!

 ――元々……ドアは一つだけだった?

 記憶が曖昧だった……。


「シズク、私が渡した『本』の最後のページを開くといいわ」

 ナキの言う通り『よくある物語の本』の『最後のページ』を開いた!


 ……そして最終ページを開くと……!


 最後のページを開く瞬間に、ナキから一言……

「そちらの世界の……『私』……仲良く……」

シズクは、彼女の言葉を最後まで聞くことは出来なかった……だが、彼女の想いは『ふんわりとだが』受け止めた。

 シズクは本の最後ページを見てはいるが、『とても大切な事が書かれている』が、シズクは確認が出来なかった……。

そして、『本能的』に本を閉じ、目線を上げると……!


 目の前には『巨大なスフィア』とスフィアを支える『大きな台座』の前に立っていた!

 スフィアに大量の水が流れ落ち、伝って水が台座に流れ落ちている。

 ――まるで流れ落ちる水を浄化しているかのように……。


   ◇


 シズクは早速浄水釜の再付与を始めようと思った……。

 ――っと、その時。

「シズクさーん!再付与無事に出来たみたいですね!」

 フィーナが最深部まで入ってきていた。

「フィーナさん、私……まだ何もしてないですけど……?」

 シズクは『ナキサワメ』とコーヒーとお菓子を楽しんで、ついでにコーヒーグッズの再付与を実行しただけだ。

 一連の出来事をフィーナとアルバラードに説明すると。

「シズクさん!その方は……このレリクスを守護精霊様ですよ!」

「ええ、ナキさんからその事は伺っていますけど……」

 シズクは『とても優しい老婆の精霊』の話を語った。

「あのう……シズクさん?そのお話本当ですか?」

「前回の再付与は『死人』が大量に出るほどの惨劇があったくらいですよ!」

「ああ、だから我々は、第二階層で皆待機していたのだ」

 シズクは二人に対し、人生で最高の『ジト目』をキメた!

「でも……シズクさんの話だと、前回と大幅に違いますね」

「私の父が行ったときは、精霊様とスフィアの前で『壮大なバトル』がありましたけど」

「まあ、だから今回は『年頃の娘の鍛冶士を……』っと、フィーナさんからの提案で……」

 ――電光石火のスピードでアルバラードの腹部に蹴りが入った!?

 ……アルバラードはその場でうずくまっている。

「シズクさん、完璧120%の再付与ですよ!」

「父がやったときよりスフィアの輝きがキレイですよ!」

 フィーナはシズクの仕事に大満足のようだ!

「私、本当に何もしてないのですけど……」

「そうなんですか?何か心当たりありませんか?」

 心当たりあるといえば……。

「強いて言うなら、水瓶を再付与うちなおししたぐらいかな?」

「丁度、スフィアの台座になってる……よく似てはいますが、大きさがかなり違いますよ?」

 フィーナはとても驚いた顔をした!

「それって!コアですよ!浄水釜の心臓部ですよ!」

「今まで外装の再付与うちなおし出来れば及第点だったんですよ!」

 フィーナはシズクの働きにとても満足している。

「アルさん、起きてください!戻りますよ!」

 シズク達は事故・けが人も最小限で再付与うちなおしが終了した。


 今夜は、『浄水釜の再付与うちなおし成功』と、『シズクの歓迎会』が『アルハンブラの迎賓館』で開かれることになった


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。