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本の世界の鍛冶士 柊シズクの物語  作者: 川崎タイチ
鍛冶士見習い シズク編
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第11話 動く要塞『アルハンブラ』

「かがく……ですか?」


 フィーナの表情が少し曇ったように感じた。


「家学とは貴族や王族の方が嗜む学問ですよ?鍛冶職人は時に『貴族』の方の武具を制作することもあります。しかし、この田舎街におられる当主様は……あまり無縁だと思いますよ?」


 シズクがこの世界には『科学技術』はほぼ発展していないことを察した。


「あ、いえ、忘れてください……ちょっと色々な合成をと思っただけでなので」


 歯切れの悪い言い訳をしたが……シズクは『貴族・王族』の話になったことに『表情を曇らせた』フィーナが気になった。ラノベ脳的に『第3話 領主様に○○される街娘!?』的な事だけは避けて頂きたいと願った。丁度貴族に出荷するのに『いい按配あんばいに脂がのったJK』である。


「昨日帰ってから考えたのですが、やっぱり冒険者としての加護も受けようかなと思ってます」


「し、シズクさん!鍛冶屋を……」


「いえいえいえ!その、実際に武具を使ってみて調整とか体感したいのです。それでなのですが、『魔法剣士』って加護受けられないでしょうか?」


「魔法剣士ですね……『戦士の加護』と『魔法使いの加護』を受ければなれますが……最初から魔法剣士でって人は珍しいですね。大体の方は、戦士である程度実力を付けてから魔法使いの加護を受けられます。その逆はあまりありませんね。どちらかと言うと、魔法使いの方は『賢者』を目指しますので。元々、『魔法剣士』自体がかなり少数派です。端的に言いますと、『魔法剣士』はステータス的に中途半端なんです」


 シズク自身は冒険者として『ファバーダ』で活躍するつもりはないが、興味はある。『塔とか洞窟探検』はやっぱり経験したい。


「……やっぱり、戦士からですか……」


「あ、いえいえ、いきなり魔法剣士でも良いと思いますよ?昨日の合成を見ていると……、賢者をオススメしたいかなと……」

「強いて言うならですが、腕力が低い方は魔法剣士となり『トリッキー』な戦い方で戦績を上げていますね。シズクさんの選択はまちがってはいないですよ」


「あとで協会の方で加護を受けに行きましょう!」


 ……シズクとフィーナは『フィーナお手製の朝食』を食べながら鍛冶屋の営業に関して話した。


「……ってことはフィーナさん、当面は加護の再付与うちなおし が中心になるのですね?」


「はい、昨日は生活雑貨≪フライパンとお鍋≫でしたが、昨日から『ミッキー』さんが訪れる冒険者さんにも『鍛冶屋の営業』が開始したと伝達して頂いてます。ですので、今日は各属性の再付与うちなおし出来るようになりましょう」


「各属性の加護が必要って事ですよね?今、火の加護を受けた鍛冶職人のブローチ付けてますけど……他の属性はどうしたらいいのでしょう?」


「私が使う……予定でした各属性のブローチをお貸しますので大丈夫ですよ?……というのもそろそろ……」


 フィーナが『何か』があることを匂わした時……。


 ――地面が微動しだしてきた……!


「じ、地震!?」


「いえいえ……港の方を見て頂ければ……」


 フィーナと共に鍛冶屋の外に出て、港の方を見てみると……!


「う、動くお城!?」


「ええ、『動く要塞アルハンブラ』です」


 ――シズクは要塞の大きさに圧倒した!


 ――海の上に巨大要塞が現れていた。『フランスで有名な修道院』のようだ!



「あのう!朝には無かったですよ!お、大きい!!この街よりも大きいんじゃないですか!」


「そうですよ!そうですよ!大きな移動要塞ですので。私達の街は、移動要塞の港街です。今日から忙しくなりますよ!!シズクさん!」


 街を見渡してみると、海の上に停泊している『アルハンブラ』と街を繋ぐための『吊り橋』をかけていた!


「……フィーナさん、この工房……人いっぱい来ないですよね!?」


「工房もですが、まずは食料の買い出しの方が多く街を訪れますね!今日のお昼位になれば、商人の皆さんが沢山この街に来られますよ。特に、アルハンブラは一番大きな要塞ですので」

「アルハンブラ級の大きな要塞ですと、専属の鍛冶職人は乗っておられますので、『鍛冶職人』としてのお仕事がドカーン!と増える心配は無いですけど……シズクさんが有名になったらわかりませんせんよ?ですが、滞在中はお客様が増えますので、武器の『再付与うちなおし 』する機会が出てきます。専属の鍛冶屋さんにも不得意な属性ってありますので……あと、『水属性』が一番要りますね!水筒とかの再付与うちなおし のお客様来られますよ!」


 生活雑貨や武器の『再付与うちなおし 』は稼ぎの屋台骨らしい。武器等の制作は本当に珍しいとのことだ。


「アルハンブラに私もお邪魔してもいいのでしょうか?すっごく興味あります!」


 シズクは『異世界に来た実感度120点満点』の動く要塞に興味津々だった。小さな街で『のんびり異世界生活』も良いが、やはり異世界を満喫したかった。


「入国審査ありますが、『鍛冶士見習い』として同行出来るように『ミッキー』さんにお願いしましょう。今日すぐにって無理ですけど、明日には行けると思いますよ?そのためにも、『水属性』の加護を受けに行きましょう!」


 明日は『アルハンブラ』に行って異世界ライフを満喫する事が出来そうだ。その為に今日は『水属性』の加護を受けに行くこととになった。シズクは『アルハンブラの鍛冶士』を訪ねるといいとフィーナから告げられた。アルハンブラの鍛冶士は、『父の愛弟子』との事だ。

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