第10話 再びファバーダへ!大金を手に入れ、スライムレースで大博打?
ファバーダから帰還して翌日の同時刻『図書室』に来た。
放課後の図書室は『シズクの貸切り状態』だ。シズクの学校では、『フェンシング部』『ウェイトリフティング』、変わった所では『水槽楽部』という一風変わった部が多く存在する。
シズク自身も部活には所属している。もちらん『文芸部』だ!今年に入り、『とある文芸大賞』を受賞する実力のある部だ。
――ただし、『部員は1名』である!
文芸部の部室は『放課後の図書室』を利用して行われている。この学校では、本を読む人が少ないわけではないが、昼休みですら数人が『貸し出しの返却』に来る程度である。東高校の立地条件が『コミュニティセンターの隣』の為、『所蔵されている本』自体が少ない為だ。
時々ではあるが『水槽楽部員の川崎さん』が、『お魚図鑑』や『熱帯魚の育て方』の本を借りに来る。同学年の中でも……東高校で2番目の美少女だ。あと、同じクラスでもある。
今日も、川崎さんが『オーバーフロー水槽を自作してみよう』という本を借りに来た。シズクは『図書室の本は全て読んでいる』為、内容は覚えていた。塩ビ管を加工して色々と面白い構造の水槽を作成できるらしい。今貸し出し中の本は『この1冊』だけだ。貸し出し中の本を『転移出来るのか』も気になっていた。
『水槽楽部の川崎さん』が図書室から退室して、昨日同様『シズク一人』となった。
ほぼ同時刻になったので、再び『ファバーダ・ストーリ』を取り出し、『ファバーダ』へ転移することにした。今回は、転移する際に『ポケットにスマホ』を、入れようと思ったが、万が一『スマホだけとんでもない異世界へ飛んでしまう』かもしれないので、『小さなメモ帳』にした。
次に、『お気に入りのトートバッグ』に『お気に入りの手袋』を……と思ったが、『島製作所の超高性能軍手』を入れておいた。
あと、転移された時の服装だが……制服のまま転移していたことから、服はそのまま飛ぶことができるようだ。ならば、『デンドロビウム』のように……それはさておき、シズクは『身につけている物はどうなるか?』の実験をすることにした。
「準備完了……っと、ではでは、『ファバーダ・ストーリ!!』」
――シズクは『ファバーダ・ストーリ』を取り出した!
「異世界転移!『ファバーダ』へ!」
――『ファバーダ・ストーリの最後のページ』を開いた!
――そして、目を閉じ 『パタッ!』と本を閉じた!
――ゆっくりと目を開けると……!
『鍛冶屋 柊』に転移していた!昨日戻った時は『工房』から『図書室』へ帰ったが、転移した場所は、『うたた寝をしていたソファー』の前に転移した。
シズクは転移が成功し、すぐに持ち物をチェックした。
肩に『トートバッグの中に軍手』、『 ポケットにメモ帳』が入っていた!シズクは『グッ!』っと握り拳を作り、『この物語最高のドヤ顔≪推定2回目≫』をキメ……!
「あら?シズクさん、お帰りなさい!転移されてポーズ決めている人初めて見ましたね」
「うわ!?居たのですか!?」
「そろそろ来るかな……と思ってまして、お待ちしておりました」
「あのう、来る時って判るのですか?」
「いえいえ、今回は何となくです。昨日来られた時よりかなり朝早いですね。今は『光の刻』に入ったばかりです。」
夜が『闇の刻』日中が『光の刻』で、日の出したばかりの早朝だ。
「こんな朝早くから工房に……」
「毎朝、ここの掃除が日課になってまして……いつでもお父さんが帰ってきたら鍛冶が出来るようにと、掃除してたのですよ。それが癖になっちゃって」
「私が……しかも異世界から来る私が使っちゃっていいのですか……?」
「ええ、本当に興味が無い方なら再びこの工房へ来てくださることも無かったと思ってます。戻ってきてくれてありがとうございます」
フィーナはシズクが再び『工房』を訪れた事を『心から』喜んだ。
「ではでは、朝食にしましょう!あとですね……昨日の再付与の報酬もお渡ししますね」
フィーナは『スッと』報酬の札束を出した!
「え!?これジンバブエドルと違いますよね!?」
シズクはあまりの札束の太さに驚いた!全て1,000札だとしても10万円以上はある分厚さだった。仮に全てが1ドルとしても100ドル分……だ。
「そうですね、これで、3,000ゴールドありますね。4ゴールドでパブで1杯飲めて、20ゴールドで『お宿で一泊』位ですから……結構な金額ですね」
「こ、こんなに貰っちゃっていいのですか!?これで1ヶ月生活余裕で出来そうですが……」
「……うーん、これ位は頂かないと『素材の調達』・『炉の燃料』・『工房の維持管理』・『人件費』が出ませんよ?今回は初めての再付与 ということで、割引してますので。正規の手数料でしたらこの倍は頂きます」
……シズクは、フィーナのふんわりとした笑顔からは想像できない位の商売人魂のオーラを感じ取った!お金は受け取らず、素直に経理は任せることにした。生々しい話だが、シズクは給料制でお願いした。しかし、フィーナはファバーダでの生活の為の『準備金』としても含め、シズクに 『3,000ゴールド』を頑なに渡された。
「よし!スライムレースの第12レースに全額ぶち込みます!」
「ダメですよ!シズクさん、私と同じくらいのご年齢でしょうから、『カジノ』行っちゃだめです!」
冗談はさておき、シズクは『カジノ』の存在を知った!
「身につけている物は、『元の世界』から持ってこれるのですね?」
「そうですね……私は転移出来ないので詳しくは判りませんが、皆さん『装備品』はそのまま来られて、『新たに新調した装備品』も持って帰られていますよ?ですが、シズクさんのように……全く雰囲気が違う所からの転移は珍しいですかね?大体ですけど、『文化レベル?』は変わりません」
「私って、やっぱり『未来?』っぽいですか?私の住む世界から見ると、『1,000年程前』に感じますが……」
「そ、そんなに!シズクさんの世界と違いますか!?……」
シズクはこのファバーダには科学が無いように感じていた。ラノベ脳的にいえば、『禁忌の果実』『カルト信仰集団的』な事になりかねないのである!……っと心の中で思っていた。
……スフィアと共生する社会構造が『科学の発展』が遅れているのだろうと推測した。
「フィーナさん、この世界には『科学』ってありますか?」
フィーナの顔は、重い表情に変わり……
「『科学』ですか……」
シズクは『禁断の果実』に――





